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転生勇者は異世界で少女たちと戯れたい。  作者: 上城ダンケ
第二章 ヴァルヒルダとの邂逅
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俺にとっての理想郷?

 俺の目の前に一体の魔人がダッシュしてきた。ひえーやめてくれ!

 そしてものすごい勢いで俺に向かって槍を投げたきた。

 俺の腹部目がけてものすごい勢いで飛んでくる。こんなの避けられないだろ!

 しょっぱなでいきなり死ぬのかよ……。


 まだ何もやってないんだ俺は……。


 あ、この場合の「何」って、まさにナニのことだから!


 俺の脳内をいろんなものが走馬燈のように駆け巡った。

 フレイアの胸、ルラルの唇、そして太もも、ちいさくてかわいいおっぱい……。


 ああ、全部まだ触ってない! 感じてない!


 ルラルちゃんの唇だけチューしたけど……あんまり覚えてないし……一応、指で触ったけど……。

 と、とにかくっ!

 こんなハーレムが約束された世界で、何も出来ずに俺は死ぬのか!


 あ、この場合の「何」も、やっぱりナニのことだから! くどいけど!

 俺は覚悟を決めた。さようならフレイア。

 一度でいいから君の豊満な胸を思い切りこの手で感じたかったよ……。


 「サンダースピア!」


 フレイアの叫ぶ声と同時に、鋭い金属音がした。俺の目の前で槍が弾かれ、飛んでいった。フレイアの右手に金色に輝くサンダースピアがあった。サンダースピアで魔人の槍をはじき飛ばしたのだ。


「大丈夫? ロファール!」

 大丈夫だありがとう、と答える間もなく、フレイアは魔人の集団へ突進し、右手から次々と魔法弾を放って一瞬で三体の魔人を倒した。

「す、すごい……」

 俺が呆然としていると、向こうからフレイアが叫んだ。

「後ろ!」

 ん? なんのこと?

 振り返ると、俺の背中のほうで、数十本の矢が空中静止している。フレイアが防御魔法で防いでくれていたのだ。

「はやくなんとかして、もう持たない!」

 フレイアが叫ぶ。


 俺は深呼吸をし、巨大な盾をイメージした。矢を跳ね返すんだから、風の属性でも与えるか。

「ストームシールド!」

 全長五メートルはあろうかという巨大シールドが出現した。


 やっぱロファールの魔力すげぇな。

「いくぜ、ストームシールド最大出力!」

 俺はシールドから竜巻が起こり、何もかも吹き飛ばすイメージを思い浮かべた。


 とたんに、ものすごい轟音とともにシールドから竜巻が発生し、すべての矢を吹き飛ばした。それどころか、接近していた魔人をも吹き飛ばした。


 さらに俺は敵頭上にハイジャンプした。そして上空からもう一度、仲間を吹き飛ばさないよううまく方向を調整して、ストームシールドをお見舞いする。蜘蛛の子を散らすように魔人が散る。

 次々にジャンプして、俺は甲板上から魔人を一掃した。


 こいつ、オリンピック選手並みになんでもできるぞ! 頭の中でイメージした通りの動きができる。

 ちょっと試しにバク転やってみよう。

 ひゅんひゅんひゅん。

 思わず三回もバク転してしまった。

 勝てる。この身体機能なら、勝てる。もりもり自信が湧いて着た。


 フレイアが俺の方へ駆け寄って着た。

「なかなかやるじゃない」

「まあな」

「とりあえず敵を蹴散らしてくれてありがと。でもね、魔人は頭を破壊しない限り死なないわ。もうすぐ、蹴散らされた魔人が舞い戻ってくるわよ。今度は頭を狙ってね」

 さっそく、魔人が十数体甲板に降り立った。

「いくわよ!」


 フレイアの手にはボウガンがあった。両手でボウガンを構えている。二丁ボウガンだ。先端は青白い炎が光っている。フレイア、炎系すきだね。


 俺も真似してみよう。ストームシールドを消して、俺はボウガンをイメージした。

 属性は雷とかどうかな。

「サンダーボウガン!」

 はい、出ました。これまた豪華絢爛、めちゃ強力そうな巨大ボウガンですよ。何度でもいうよ、ロファールすげえ。


 魔法で作った武器には弾切れという概念がないようで、何本でも矢が出てくる。俺とフレイアはひたすら魔人の頭をボウガンで撃った。


 しかし、敵が多すぎる。数十体だった魔人はあっという間に数百体になった。甲板上のいくつかの砲台は魔人によって破壊されてしまった。


 砲撃手の少女たちは後方へ退き、素手や杖で魔法弾を撃っている。

「キリがないわね!」

 フレイアが叫ぶ。彼女のボウガンが消え、杖になった。フレイアは杖を空中で素早く動かす。おそらく呪文だろう。

 次の瞬間、一本の金色の光が杖の先から放射された。光の筋がものすごいスピードで魔人の頭部を薙ぎ払って行く。

 あたりに肉の焦げた匂いが充満する。ざっと百体ほどの魔人が倒されたようだ。


 フレイアは何回も何回も、光の筋を出して敵を薙ぎ払った。千体以上は倒したのではないか。


「やった、フレイア、だいぶ魔人が減ったぞ!』

「そ、そうね……」

 フレイアの様子がおかしい。フレイアが杖をついた。

「どうした、フレイア?」

「ちょっと魔法力を使いすぎたかしら?」

 フレイアの息が荒い。ちょっとセクシーじゃん、と冗談を言いたいところだが、流石の俺もそんな心の余裕はない。

 せっかくフレイアが千以上の魔人を倒したのに、今や空が見えないほどの魔人が飛来しているからだ。

 やつら、どれだけいるんだ?


 俺は周囲を見て見た。魔法使いの少女たちの多くが魔法力を使い果たし、倒れている。


 うーむ、これではドラゴンが来る前に全滅するぞ?

 せめて銃があればなあ。この世界って、結構ローテクだよな。ボウガンじゃなあ……


 ちょっと待てよ?


 組成魔法って、イメージしたもの作れるんだよね? フレイアやほかの魔法使いちゃんたちが銃を出さないのって、多分、銃を知らないからだよね。


 もしかしたら、銃出せるんじゃね?


 俺は自分が開発に携わっていたゲームの基本装備、魔装マシンガンをイメージした。炎、氷、雷、風、呪、などの魔法ステータスをランダムに魔法弾に装備させ連射する、ゲーム序盤ではかなり有用な銃だ。

 はい、イメージできました。

「魔装マシンガン、ダブルで!」


 予想通り、魔装マシンガンが組成された。いっちょ試し打ちするか。


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!


 文字通り魔装マシンガンが火を吹いた。魔人で真っ黒な空に、ぽっかり穴が空いた。相当数の魔人を排除したようだ。


 つえええええ!


 ということはだよ? もしかして、あれ組成できるんじゃないのか? 去年の春イベントで超レアアイテムとして用意され、何人もの廃課金をカード破産に追い込んだ、Sホロ武器「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」を出せるのでは?


 あれ、あのゲームのなかではチートすぎて、イベント先行実装とか言ったくせに、結局一年近く実装できてないんだよね、めちゃ苦情来てるんですけど、って今さらあの世界での仕事思い出してどうする。


 いや、思い出さねば。


 俺は設定資料を思い出そうと必死に努力した。

 魔法動力・複数銃身。銃身は魔法力で高速回転。装填の段階で全属性魔法コーティングがなされ、全属性の敵に有効。

 威力は小型ミサイル並み。一秒間に百発発射でき、ラスボスですらあっという間に倒せる。

 ガチャは一回三百円、「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」の出現率は表向き0.01%、本当は0.001%でさらにサーバー側で俺がコントロール。


 この設定は思い出さなくても良かった。


 むむう……見えて来たぞ……。

 こら、雑念消えろ、残業手当もらってないとか今はどうでもいい。

 ……よし、見えた!


「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改!」


 黒と白を基調に無駄にヒラヒラがついた悪趣味なガトリング砲が出現した。俺は両手でガトリング砲を構える。例によって嘘みたいに軽い。


「いくぜ魔人ども!」

 俺は「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」のトリガーを引いた。


 ズガガガガガガガガガガガガガッツ!


 耳をつんざく轟音とともに、毎秒百発の全属性魔法コーティングされた魔法弾が空に向かって発射された。なお、特殊スキルは「全弾必中」。


 毎秒百発かつ全弾必中。つまり、一秒で魔人百体を倒す。おれはこれを数分打ち続けた。敵が万単位いようと、楽勝だ。魔人の姿は影も形も無くなった。


 ただ、やはり、ちょっとしんどいな。息切れする。後半数秒は、毎秒五十発程度までパワーダウンしたな。かなり魔法力使うみたいだ。ちょっと休憩。


 魔法力の消耗激しいけど、これはチートすぎるな、「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」。こりゃ本実装無理だわ。春イベでお蔵入りしたのも当たり前だこれ。


 ということで、あっちで作ったいろんな装備を思い出したら俺最強ってことがわかった。少なくとも組成魔法についてはそうだよ。


 こんなチートが用意されていたなんて、マジこの世界、俺にとっての理想郷だな!


 と、その時は思ったんだよ。

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