謎と指輪と女の子
ようやく続きです‼
忙しくて書けませんでした。これからもこんな感じで投稿していきたいです。
よろしくお願い致します。
「………っ⁉」
目の前に現れた、茶色のコートを着て全身を覆い、顔も仮面で隠している人物。カイトも驚いたが、むこうもカイトの存在にそれなりに驚いたようだ。その様子を、いかに目の前に相対している人物が怪しさMAXであろうとも無視はできず、カイトは接触を図ろうとする…前にラビィが前に出た。
「近づくな」
さっきまでの応対とはまるで別人のラビィの態度をカイトは怪訝に思ったが、相手は予想以上に慄いている様子。そのままラビィが畳みかける。
「何もしないで立ち去れば危害は加えない。でも、妙な動きを見せたなら…殺す。」
カイトはその言葉を冗談だと思えないほどラビィからは気迫が出ていた。それに圧倒されカイトが何も言えないでいると、
「どうして、また、聖獣使いがいるんだよ、くそ」
捨て台詞を残して後ろへと滑るようにしていく。一瞬呆気にとられていたカイトだが、姿が見えなくなると、一気に思考が再開した。
正直、今のやりとりで聞きたいことがたくさん増えたが、さっきのラビィの態度を見て、ラビィにどうも話しかけづらい。どうしようかとカイトが逡巡していると、ラビィの方から話しかけてきた。
「で、、次の質問って何なの?」
「え?あ、ああ…えっと、何について話してたんだっけ?」
「ええと、契約を破ったときの代償がどうたら~って話なの」
「そうだった、そうだった…そう、それ結局どういう事?代償っていうと、法律に則って裁判で裁かれたりするってこと?」
「法律?ああ、国法のこと?そうじゃなくて、強いて言うなら、強大な神によって、なの」
「神か…そういうやつってこっちの世界には実在するのか…まあ目の前に証拠がいるしな」
ふわふわ浮かぶラビィを見つつ、カイトはため息まじりに言う。ラビィみたいなのがいるなら神が完全に実在していても不思議はあるまい。
「実在するっていうか、実際に契約を破ればその罰が自動で与えられるからそう信じるしかないの」
「じゃあ死を代償にしたら破った途端に心臓が止まったり……⁉」
「そゆことなの。でも、罰を設けない場合もあるの。それは大抵お互いの利害が一致して、互いに相手を利用する前提だけどなの」
いとも簡単に言ってのけるラビィに戦慄を覚える。そんな危ないものを結ぼうとしていたのか。改めて断ってよかったと安堵する。
「で、もし俺らが契約したら、その時の罰はどうなる予定だったの?」
「それも無いの。」
「………とてもじゃないけど信じる気にならないね。さっきラビィが罰がないときは相手を利用する場合って言ってたのもあるし」
「無理もないなの」
と、ここまで会話を続けて、カイトは今一番気になることを聞いていないことを思い出した。
「……で、さっきの誰?」
「知らないの。でも敵意を感じたの。」
「それで、殺すとか何とかは…あれブラフだよね?こんな小さいラビィにそんなこと…」
「楽勝なの」
「マジかよ‼‼」
ありえないと思っていたことがあっさり覆され、少し悲しく感じる。それと同時に、ほんとなのか?と思う気持ちも出てくる。こんなふわふわしてて、丸っこいラビィがそんなこと出来るなんて到底考えられない。いや、十分魔法という線が考えられるのだが、魔法が実在するかどうかまだカイトは分からなかった。聞いてみようと思い立ったところで、ラビィに遮られ、
「嘘だと思うなら実践してあげようと思うの」
「怖いからマジやめて」
………聞くに聞けなかった。
それからタイミングを逃ししばらく森を歩き続け…
「そろそろ外も暗くなってきたし、どこか適当なところで火起こして寝ようなの。」
「この世界でも夜ってやってくるのか。まあ当たり前か。」
と、一人で問題提起して、自分で解決しているカイトをほっといて、さっさと奥に行った。そして
「火起こしたの」
と言われカイトも奥へ。そこに火を起こしたたき火があった。
「どうやって着火したの?」
「軽い火魔法位なら使えるの。」
「いとも簡単に疑問が解決したよ‼」
…とこんなやりとりがあった後、寝ることになった。
そして歩き続けた疲れが出たのか、一気に眠気が襲ってきた。そういえば異世界召喚された前って寝てたんだよな…などと考えながら、カイトは眠りに落ちた。
………カイト…カイト、カイト
誰かが呼ぶ声がする。そちらに意識を向けるとダイレクトに周りが見えた。教会のような場所にいるようだ。その奥に誰かがいる。
………私にはまだしなければならないことが…
目を凝らしてみてもいまいち相手の姿が分からないが、声から察するに女性らしい。自分の名前を呼んでいたが自分はこんな知り合いはいただろうか?
………あなたにこれを…
再び声がする。さっきより注意深く聞いていたので、よく聞こえた。透き通るようで、か細くて、鈴のような声。初めて聞いた声だ。間違いない。こんな声を一度聞いたら、誰も二度と忘れないだろう。だというのに、どうしてこんなに懐かしいような気がするのだろう。
………あなたにこれを…
再び同じフレーズ。あなたにこれを?手を出すが何もない。
………手を開いて……そして握って…
言われた通りにしてみる。すると、何か手に冷たい感触がした。固い、指輪のようだ。手を開いてしまっていいのかどうか逡巡する。
………そのまま手を握って…そのまま…
そして急速に意識は覚醒状態へと向かう。今見たことはすべて忘却の彼方に消えて。終わり際に少し何か嗅いだことのあるいい香りがした。これはなんだっけ…
そしてカイトは起きた。そして目を開け、…目の前に知らない女の子がいた。
これからもよろしくお願いします。




