第三夜
昨日とは比べ、静かな朝だった。
まだ誰も起きていないのだろうか…
俺は恐る恐る目を開ける。
「あっ、おはようユウタくん」
サヤカが笑いかける。
「おはよう。あれ、アイは…」
まさか、今度はアイが…
「アイならミカを迎えに行ったよ。私も行こうと思ったんだけどユウタくんがいたからね」
「ご、ごめん…」
「ううん、気にしないで」
「はー…やっと着いた…。あっユウタおはよ!」
アイが帰ってきた。
「み、ミカ…なんだよそのあざ…」
後ろにいたミカは、顔に大きなあざができていた。
「ごめんね、ちょっと転んじゃって…。思いっきり顔ぶつけちゃったんだ…」
「あそこ、結構岩が多くて危ないもんね」
サヤカが言った。
「岩…?ミカのいた場所にそんな岩あった?」
「ああ、昨日野夜様子見に行ったでしょ?あの時にちょっと移動したのよ」
アイが言う。
なるほど、だから俺は知らないのか。
納得したつもりだが、どこか違和感を覚えた。
「ということは、みんな生きてるってこと…?」
「ほんとだ、生きてる!」
当たり前のことだけど嬉しい。
「ケンが人狼だったってこと?」
「そんなのどうでもいいじゃないか。みんな無事なんだから!」
俺は無理やり笑ってみせる。
みんな無事なんだ、ケン以外は……
「そ、そういえばいい場所見つけたんだ!魚がたくさんいる所。あそこで食料を確保しよう」
「さすがアイ!じゃみんなでいこっか!」
「さんせー!」
「あの…私も行っていいかな……」
「当たり前じゃない!仲間なんだから!」
「うん…!」
それから俺たちは一日中、遊びまわった。
テントに帰り相談した結果、ミカは昨日より少し近い所で寝ることになった。やはりまだ警戒はといていないらしい。
しかしミカは、笑いながら了承した。
今日は楽しかった、と言っていた。
「それじゃ、今日もミカの様子見に行ってくるね」
「ありがとう、アイ」
「頼んだ」
大丈夫、今日は誰も死ななかったんだ。
明日も平和な朝が来る。