表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テイルス・オブ・アンタクティカ  作者: せりもも


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/57

晩餐

 食事は、申し分なかった。

 いや、食卓に着いた面々を考えると、無駄に手がこんでいた、というべきか。


 アペリティフとして、ごく軽い発泡酒が出たが、これは、完全に、失敗だった。

 ジュスティビエーヌは乾杯の前に飲み干し、おかわりを要求したし、カイトは、オレンジジュースを注がれて、かんしゃくを起こした。水と間違えて一気飲みしたサンジュは、最初から、酔っぱらい(アルコールは、始めてだった)、付け合せに盛られたブルーチーズを食べて、吐きそうになった。


 次いでサラダを見たジュスティビエーヌは、生の草を食べさせる気かと怒り出し、カイトは、肉、肉、と連呼した(生ハムが載ってございます、と、ジーヴスが控えめに述べたが、飢えた餓鬼には、通じなかった)。ドレッシングの酸っぱい味は、サンジュにもなじまなかった。


 続くワタリガニのなんちゃらスープを一気飲みしたジュスティビエーヌは、口にやけどを負ったと騒ぎ、カイトは、カニの殻なぞ入れるな、とにかく肉よこせ、とブチ切れた。サンジュも、この汁には、小さな具しかない、と、悲しくなった。


 ようやく待望のステーキが運ばれてきたときには、一同は、待ちくたびれていた。

 しかし、目の前に置かれた肉を見て、サンジュは、途方に暮れた。

 サンジュの知っている肉は、たった今、狩ったばかりの鹿や兎の、骨付き肉である。それを、火であぶって、がぶりとやる。

 しかし、目の前のそれには、骨がついていない。いったい、どこを持てばいいものか。それに、なにやら、どろりとしたソースがかかっていて、つかみどころがない。

 ふと目の前を見ると、ジュスティビエーヌが、親指と人差し指でつまんで、ぽいと、口の中に放り込んだ。なるほどと思い、真似をした。隣では、カイトが、とっくに食べ終わり、おかわり、と叫んでいる。


 デザートとして、さまざまなケーキの盛り合わせをワゴンに乗せて運んできたジーブスは、げっそりしていた。


 髪の毛が一筋だけ乱れ、額にすっと流れている。

 彼がテーブルまで行き着かないうちに、老婆と子どもは、歓声をあげてワゴン目指して、一直線に駆け寄った。

 危ないところで、ジーヴスは、横へ飛びのいた。

 そんな執事に目もくれず、ジュスティビエーヌとカイトは、ケーキのワゴンに飛びつき、両手でケーキをわしづかみし、次々と口に放り込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=231030255&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ