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バレンタインに間に合わなかっ短編(セミフィクション)

登場する人

 俺(まあ私)

 Y(男、Farfrom努力)

 M(女、リアルではデレ無し)


 2010,2/14(日)……



 「二人とも、今日の模試の結果どうだった?」


 木を枯らすほどの風が吹き荒れる中、三人は落ち葉のサクサクとした踏み音を楽しみながら駄弁り帰っている所だった。


 城壁の中に作られた高校に入学してから三年、三人は同じクラスで同じ吹奏楽部に所属する腐れ縁だった。


 「ええっと、613点。生物が満点だったのでね」

 「チクショウ物理選択者Disってんじゃねぇぞ。毎回物理より生物の平均点が高いって何なの死ぬの?」

 「俺物理満点だったんだけど」

 「「知るかい!!」」

 「てかあれだろ、お前地理とか散々だったろ」

 「数学と物理と化学が9割行ってんだから大丈夫じゃね?」

 「ぐぬぬ……」


 正直、よほどの事が無い限り三人の順位は固定だった。俺はそう簡単にはYに勝てなかったし(殆ど努力らしい努力もしてない所が腹立たしい)、Mさんにはそう簡単には負けなかった気がする。


 それでも、三人はいつでも試験の度に互いの成績を開示し、何が勝った何が負けただの傍から見たら下らない論議で盛り上がっていた。


 とりあえず二人は俺を貶められればいいらしい。そんなんだから俺も合計がどうのとかそう言うのには興味が無く、あの問題良かったよな~とか俺の物理舐めんなよとかくっだらない話で盛り上がっていた気がする。


 雪が降ってきた。お濠の水面みなもに粉雪が落ちてはふっと散って消えていく。雪のお陰か知らないが身を凍えさす風もほぼ無くなっており、ただただ幻想が周囲を埋め尽くすのみ。


 まあ下らない談義の中にあってはそんな情景もどうでも良いわけで、三人は色々論戦をかましながら行きつけの本屋の前にやって来ていた。


 「ってまた此処か。お前も毎回好きだな」

 「何の本が入ったかとか、何が売れたかとかそう言うのを見るのが良いんだよ」

 「はあ、まあ良いけどさ、ちゃんと英語の課題もやってこいよ」

 「何それ」

 「「いややれよ。お前二次試験で使うだろうがよ」」


 頭にふりかけられていた粉雪を払い落し、Yは狭い本屋の中へと消えて行った。


 「あいつ大丈夫かな……」

 「英語以外満点でも受かんないかもね」


 一応彼が受ける大学はちゃんと英語もかなり高配点であるのだが、当の本人に基本やる気が無いので何と言うか不安だ。まあ何とかするだろ自分の人生。


 一人減った。百メートルちょいのバス停まで来るとまた一人減る。ただそこまでは。


 「んで、Mさんはどうなん?」

 「まあ……行けるんじゃないかな。うちの受けるとこはそんなにレベル高くないし」

 「そうでもないと思うけど……何か、皆合格出来ればそれでいいんだろうけどね」


 それが出来ないから、皆最大限の努力をするのだけれど(まあ何事にも例外はあるわけで、それははるか後方に転がっていたりした)。


 「とりあえず、650くらいあれば良いんじゃね」

 「数学がね~、1Aも2Bも9割方取れればもっと上まで行けるんだけど」

 「俺は数学と物理と化学だからな~、Yが聞いたら発狂して喜びそうだ」

 「発狂はしないでしょ畑田君じゃないんだし」

 「いや俺発狂しないし」


 そうこうしているうちにバス停のある所まで来た。二人きりの時間は終わりだ。後は潮風にあおられながら家路に着くだけ。


 「んじゃ、また明日ガッコで。数学の宿題当たってんだからちゃんと解いてこいよ」

 「あ、畑田君」

 「ん、どした……っと」


 金のモールで縛られたストライプのビニール袋、中から甘いにおいがする。


 「へえ~、ナイス女子力」

 「まあバレンタインだしね。Yにもあげたやつだし、あげるよ」

 「ん、ありがとな。後でブログにでも上げるかな」

 「あ……」


 「あいつには、出来れば内緒にして欲しいな」


 ……………


 「ん」


 肯定とも否定とも取れないようなあいまいな返事で、俺はその場を後にした。


 頬が上気していた。炬燵に入ってるときみたいだった。



 そしてその役一月後。俺は熊大、Yは九大、Mは福教大にそれぞれ合格を決めたのだった。



 三月末日、俺はMさんを見送るべく空港までやってきてた。


 「またそうやって金を使う……」

 「親が予約したんだからしょうがないでしょ」

 「チクショウセレブが……頑張れよ」

 「うん……あ」


 思い出したかのように、荷物の中をまさぐる。藍色の地味な紙袋に何か入っている。


 「もう使わないから……あげる」

 「ん、ありがとな」

 「それじゃ、またいつか」


 改札をくぐり、スーツケースをガラガラ引かせて彼女は小さな島から九州一の都会へ旅立って行った。



 紙袋の中には、彼女が高校時代使っていたらしいリボンが入っていた。

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妄想が生み出した虚構の産物です。大筋は実際にあった事です。


高校時代モテ子だった私は同級生の女の子から脱いだ制服をわざわざ『脱ぎたて』とか言って渡されるくらいモテ子だったのです。すんません嘘つきました半分嘘です。制服脱ぎたては本当です。


そもそも発端は『来年妹が入学するから同級生から制服とか体操服とか貰って来い』と言う母からの無茶苦茶なミッションでした。マジ止めて下さい俺社会的に死にます。ちゃんと熊大進学決めたんだから。


ブラスの同級生に助けを求めたら意外と簡単に了承してくれて、そんな悶着もありたしか二着くらい貰ったのかな。体操服も多分一式か二式くらい。お名前の所に畑田と書かれた中学時代の私の体操服のネームタグをつけて何とかするっぽいです。


あの頃は私もガキだったので、別に何もイけない事はしてませんよ。


あと、実はYもMもマイミクです。と言うかMさんごめんなさい多少反省してます。

苦言を呈させていただくなら、折角希少な男子がいるんだからブラス時代にチョコくらいくれてもよかったじゃないですか。



あ、今年はチョコは四人から頂きました。みんな美味しかったです。お返しは真面目にしようと思います。今年は買ったもん+αにしようそうしよう。ぶっちゃけ大人数に作りでもしない限り手作り高いんだぞ自重しろ。

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