叶わない願いのさき
ファンタジー系を書いてみたいな~なんて思いながら、書き始めたけど。
これファンタジーか?とよくわからない感じになっていた。
この街から10㌔ほど離れたところに、お屋敷がある。
今はだれも住んでいない。
だけど、変な噂は絶えない。
誰かが住んでいるとか・・・。
夜な夜な、笑い声が聞こえる。
屋敷の電気が付く。
怖いけど、見てみたい。
そんな思いを子供の時思ったものだ。
俺は、もう50歳になる。
あの時の思い出を胸に、その屋敷の前に来ている。
俺はもう長くない。
死ぬ前に、一度見てみたい!
屋敷の周りを一周する。
木々が生い茂っている。
しかし、正面入り口だけは、誰かが手入れでもしているのような?
綺麗に整っている。
まるで、入ってこいと言われているような・・・。
日も暮れてきた。
いよいよ中に入る。
敷地内に入ると、誰かに見られているような違和感が。
玄関は開いている。
中は暗い。
一歩中へ足を踏み入れると、蝋燭の灯が点く。
おやおや、お客様ですか?
燕尾服の老人が目の前に現れた。
俺は、あ、いや、・・・・・
慌ててると、老人が話し出す。
ようこそ、ワンダーランドへ。
ここは、悩みを持つ人しか入れない館。
あなたは、ここへ導かれてきたんです。
あなたは今、大きな悩みを持っておられますね。
老人はニコニコと話してくる。
まぁ、ここではなんですから、中へどうぞ。
老人が歩くと、廊下の灯りが一つまた一つと点いていく。
さぁ、ここのドアの中へどうぞ。
人一倍大きな扉。
老人はドアの前に立っている。
俺は、ドアを開ける。
ぱぁぁぁぁぁぁ
まばゆい光りに包まれて、ドアの閉まる音。
後ろを振り返ると、何もない。
目の前を見ると、草原。
草のにおい。
風のにおい。
水の音。
懐かしさを感じる。
俺は、草原の中を歩いていく。
何もない。
しばらく歩いていると、椅子が一つ置かれている。
疲れてきたから、そこに座って景色を眺める。
あら?お客さん?迷子さんかな?
僕はどこから来たの?
ん?僕?誰のことだ?
周りには俺しかいない。
そして、話しかけてきたのは、女性だ。
懐かしいにおいのする女性。
椅子から降りると、バランスを崩し転んでしまう。
あらあらと女性が体を起こしてくれた。
僕、けがはない?
女性は優しく、声をかけてくれた。
お、おれは・・・・
ん?
ん?
あれ?
女性を見上げる。
あれ?
俺、縮んでる。
子供になってるじゃないか。
そういえば、老人がワンダーランドとか言ってたな。
まさかな。
俺は、女性にいきさつを話した。
女性は、笑いながら聞いていた。
面白いお話ね。
僕が、真剣に話をしていることを伝えると、女性は頭をなでながら、ごめんね。
と、話を聞いてくれた。
話がひと段落すると、女性が迷子の僕を自宅に招いてくれた。
家の中は、いいにおいがする。
僕のおなかがぐぅ~っと鳴り、女性がニコニコと暖かいスープを出してくれた。
今日は、泊まっていきなさい。
女性と話をしながら、ベッドへ入る。
女性が僕の頭をなでながら、子守唄を歌っていた。
・・・・・ちゃん、会いに来てくれてありがとうね。
お母さん・・・・・。
・・・・涙目。
目を覚ますと、あの館だ。
館のエントランスに横たわっていた。
あの老人は居ない。
俺は、母に会った。
母は、俺が小さい時に亡くなった。
もう一度会いたいと、ずっと思っていた。
少しの間だけ、母のぬくもりを感じた。
俺は、館を後にして、病院へ向かった。
母の分まで長生きしたい。
もう少し、抗ってみようと思う。
自分も死ぬと分かったら、母に会いたくなるのかな?そんな気分に陥ったけど、実際はそうなった時しかわからないですよね。




