新たな恋の予感!?
小山梨沙:ルックスがまあまあ良くて、成績もそこそこ優秀な大学3年生。天真爛漫でとても優しいが、考え込みやすい性格。「ダジャレ、ビール、相撲」の3つが好きで中身がおっさんだと言われることも。すぐに彼氏ができてしまう。(ENFJ)
大森和也:ルックスがまあまあ良くて、成績もそこそこ優秀な男子大学生。淡々とした性格で人によって態度を変えず、正直に物事を言う。クールに見えるが、実はあまりクールではない。梨沙に好意を持つ。(ISTP)
笹岡明音:小学校から大学まで一緒の梨沙の親友。常に冷静で落ち着いている。すぐに彼氏ができる梨沙のことを心配している。(INTJ)
倉本七海:梨沙と明音と大学時代に出会い、仲良くなった。ムードメーカーで明るい性格。すぐに彼氏ができる梨沙のことを羨ましく思っている。(ESFP)
川越雄太:和也の友達。梨沙とは高校が同じで、高校時代に片思いをしていた。盛り上げ役だが、周囲への気遣いができる性格。梨沙への気持ちがまだ残っている。(ESFJ)
松田有希:梨沙と同じクラスの友達。気が利くお姉さん体質で、サバサバしている性格。和也と小中学校が同じだった。(ISTJ)
インターンシップの授業が毎日あるからか、『チームゆかり』で集まる時間がだんだん増えていた。
集まるごとに4人の心の距離が近くなってるし、絆も深まっているのを感じる。それに…私の和也くんへの気持ちも少しずつ明らかになってきているようだ。
「なあなあ、みんな。夏休み、4人で遊び行かない?」
雄太が目を輝かせながら提案すると、和也くんが「いいよ。」と即答。私も頷いたが、有希ちゃんが渋い顔をしているのに気づいた。
「ごめん。私はパス。夏休み、ほとんど日本にいないんだよね。」
衝撃的な発言に私と雄太は「ええ!?」と叫んだ。和也くんだけは納得したような表情をしている。
「そっか。有希のおばあちゃん、ファッションデザイナーだからね。」
「ファ…ファッションデザイナー!?」
私と雄太がまた叫ぶと、有希ちゃんは肩をすくめた。
「そうなの。フランスで活動してるファッションデザイナー。毎年夏休みはおばあちゃんの家に招待されるからフランスに行かないといけなくて。」
彼女は少し顔を曇らせた気がしたが、私は何も聞かなかった。
「じゃあ…急だけど今週末にしちゃう?せっかくだし、4人で行きたいぜ!」
雄太が子どもみたいにせがむ。有希ちゃんは「それなら行けるよ。」と微笑んだ。
「遊びに行くって、どこに行きたいとかあるの?」
私が聞くと、雄太は目を輝かせて「もちろん!」と言った。
「海だよ、海!夏の思い出と言ったらやっぱり海だろ。」
「いいじゃん、海。夏って感じで。」
意外にも和也くんが賛成した。私が目を丸くすると、彼は私を見て首を傾げる。
「梨沙は海好きじゃないの?」
「え…ううん、私は好きだよ。海、綺麗だもん。」
「だよね、それなら良かった。」
彼が笑顔を見せてきた。彼の笑顔は少し不器用で、それでも優しさが垣間見える…そんな感じだ。
「遊びの話はここまでにして、自己分析シート完成させちゃおうか。」
有希ちゃんが話を戻すと、雄太も手を叩いて「やっちゃおう!」と叫んだ。
それから私たちは何も話さず集中してシートに書き込みを始めた。ペンを走らせる音だけが教室に響いている。右にいる有希ちゃんも、左にいる雄太も空白をどんどん埋めている。書き込みが進んでいないのは私だけかもしれない。
「俺、ちょっと外の空気吸ってくる。」
いきなり和也くんが立ち上がったので、私は彼のシートを盗み見してみた。それから私は無意識のうちに彼のことを追ってしまった。有希ちゃんも雄太も書くことに夢中で私が立ち上がっても無言だった。
和也くんは歩くのが速いのだろうか。廊下に出ても彼の姿が見えなかった。
「あれ…どこ行っちゃったんだろう。」
私が階段を降りようとすると、踊り場に立っている和也くんを見つけた。
「和也くん!」
思わず叫ぶと、彼は目を丸くした。
「梨沙、どうしたの?」
「どうしたって…何か行き詰っちゃったから。」
私が呟くと、和也くんがゆっくりと階段を上ってくる。
「自己分析のやつでしょ?俺もだよ。」
彼はいつも通り淡々と話している。私の目の前に立った彼を見上げると、彼の身長の高さを改めて実感した。
「和也くんもだったんだね。私、本当に書けなくて焦っちゃった。」
正直な気持ちを言うと、何だか少し気持ちが軽くなった。彼は何も言わずに私の話に耳を傾けている。
「短所は出てくるけど、長所なんて分からないし。自分のこと全然分かってないんだなって痛感したよ。」
「みんなそんなもんじゃない?」
和也くんの言葉にハッとすると、彼は話を続ける。
「灯台下暗しでしょ。自分のこと考えたり、自分のこと知ったりするの簡単じゃないって。」
「和也くんにとっても…簡単じゃないの?」
私が目を見張ると、彼は「うん。」と頷いた。
「そりゃあね。梨沙って、俺のことどんな人だと思ってるの?」
「何も考えてない…人?」
「ああ…あながち間違いではないね。」
反論してくると思ったのに、彼は案外受け入れてしまった。私がズッコケると、彼はふふっと笑った。
「梨沙って面白いよね。」
「お…面白い?」
キョトンとすると、彼はすぐに頷いて真顔になった。
「うん。あと、可愛いし。」
「…え?」
周りの音が何も聞こえなくなった。私の心臓の鼓動がだんだん速くなる。和也くんは無表情のまま口を開こうとした。するとその時、遠くの方から声が聞こえた。
「おーい!梨沙!和也!どこ行ったー?」
雄太の声だ。私が我に返ると、和也くんがすぐに「ここだよ。」と返事をする。私も慌てて後ろから顔を出す。
「2人とも、そんなところで何してんだよ。っていうか、どっちも自己分析シートまだ書けてなかったし。」
「何書くか思いつかないって話してただけだよ。」
和也くんの言葉を聞いて私の心に冷たい風が吹いた。
「それなら俺にも言えよ!」
雄太が今まで聞いたことのない大きな声で叫んだので、私と和也くんは思わず後ずさりした。雄太の後ろから有希ちゃんの姿も見える。
「雄太…?もしかして…怒ってる?」
私が恐る恐る口を開くと、雄太の目が吊り上がってる気がした。
「怒ってるって言うか…俺は頼ってほしかったんだよ。2人の相談に乗りたかっただけ。」
「優しさからの怒りってことね。」
有希ちゃんが言い換えると、雄太は分かったような分からないような表情をした。
「とにかく、俺は和也の良いところいっぱい知ってるんだから言ってよな。」
「ありがとう、雄太。」
和也くんが素直にお礼を言う。雄太の優しいところは高校時代から変わってないみたいだ。
「あと…。」
今度は私の方を見て雄太が口を開いた。何だか彼の眼差しがいつもより真剣に思える。
「梨沙の良いところだって、俺はいっぱい知ってるからなっ!」
3人がキョトンとしているのも無視して、雄太はそそくさと教室に戻っていった。
「あらあら、雄太くん。分かりやすい人だこと。」
有希ちゃんが私に近づいて肘で突ついてきた。私が首を傾げると、彼女もすぐに教室に向かった。私はまた和也くんと2人きりになる。何とも言えない気まずい雰囲気だ。
「あ…あの、なんか雄太、変?だったよね…。」
私が何とか声を出すと、珍しく和也くんが黙り込んでいた。さらに気まずい雰囲気になってしまう。
「私たちも…教室に戻ろっか。」
「梨沙。」
歩き出そうとしたら、和也くんが私を呼び止めた。後ろを向くと、彼は突然目を泳がせた。
「ダジャレ…。」
「は?」
目を点にすると、和也くんは真顔で呟いた。
「ダジャレ言ってみてよ。得意なんでしょ。」
「そ、そんな急に。しかもなぜ今?」
それでも和也くんは何も言わずに私を見つめている。これはもう言わなければ絶対に動いてくれない感じだ。
「え…えっと…。」
私は頭をフル回転させてようやく思いついた。
「トイレ…いっといれ!」
「あ、はいはい。」
和也くんはそれだけ言って教室に歩いて行った。1人置き去りにされて私はすぐに追いかける。
「ちょっと!言わせといてそのリアクション!?もうちょっとなんかあるでしょー!」
久しぶりに明音と七海とリモート飲み会。私はパソコンをセッティングし、缶ビールを数本、おつまみのお菓子を手元に置いた。準備万端だ。
時間になると、すぐに七海の顔が大きく現れた。
「やっほー!梨沙!それに明音!あれ…明音はまだか。梨沙、元気してた?こっちは元気!」
相変わらずの大きな声。ユニコーンが散りばめられたパジャマを着た七海はいつも以上に可愛く見える。
「うん、私も元気だよ。」
私が答えたのと同時に明音が画面に登場した。
「あー!明音だ!」
私と七海が叫ぶと、黒いパーカーを着た明音はイヤホンを1つ耳から外した。人差し指を口に当てて私たちを見つめる。いつものこの雰囲気に私は心が軽くなっていくのを感じる。
「私も元気にしてたけど…梨沙の恋模様を心配してる。」
「心配って…。別に?何もないけど?」
そう言ってビールを一口飲むと、七海がオレンジジュースを手に取っているのが見えた。
「え?七海、オレンジジュース?日本酒じゃないの?」
「うん。私ね、今禁酒してるの。」
意外な発言に私と明音は「なんで!?」と叫んでしまう。すると七海は歯を見せて笑った。
「最近インターン先の人たちと飲み会多かったからだよ!残念ながら、好きピはできませんけど。」
「そういうことね。たしかに私もインターン先の人と集まること多いわ。」
明音がグラスにワインを注ぎながら相槌を打つ。私もおつまみを口に放り込んで「分かるわ。」と呟く。
「梨沙はバカ正直男子のこと、どうなの?」
七海からの唐突な問いかけに私はむせてしまう。
「これは…何かあったな。詳しく聞かせてもらおう。」
明音が目を光らせると、七海も「聞きたい!」と拍手をする。私は深呼吸して、それから一気に今まで『チームゆかり』で集まった全てを説明した。
「ええー!か、か…可愛いって言われた!?」
七海の声に明音がまたイヤホンを1つ外して不機嫌そうな顔をする。
「でも!でもね、そんな本気で言ったわけじゃないと思うよ。急に言ってきたし。」
「その人がバカ正直男子なら、本当のことしか言わないんじゃないの?」
明音の言葉に七海が「本心ってことじゃん!」と机を叩いているのが見える。
「どうなんだろう?新しいタイプの人だから、まだよく分からなくて。」
私が自信なさげに呟くと、明音が私を見て何度も頷いた。
「梨沙、それで良いんだよ。もっとじっくり時間をかけて恋に発展していくべきなんだから。」
「えー!そんなもったいぶったこと言わずに、もう付き合ってほしいわ〜!スピード感がある恋愛こそ、梨沙らしいじゃん!」
「ちょっと七海。なんでそういうこと言うのかな。本当に梨沙のためを思って言ってるの?」
頭を抱える明音と目を輝かせてる七海。私は慌てて仲裁に入る。
「まあまあ2人とも。まだ何もなってないんだからさ、落ち着いてって。」
「まだ!?じゃあ、やっぱりこれから進展ありってことじゃん!新たな恋の予感!」
「速まらない、速まらない。もっと相手を知ってから好きになるべきなの。」
三者三様の私たちはこうして話が尽きることなく、夜を明かしていくのだった。
つづく
ご一読ありがとうございます!次回もぜひお楽しみに!




