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白夜の奏でる音  作者: 月原 悠


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3/16

白夜――3

タピオは少女の姿が心に残った。

迷いはなかった。


石造りの大きな屋敷の門を叩いた。

中から年老いた老婆が現れタピオに話しかけた。


「どうしたのかい」


タピオは理由もなく門を叩いたので、

言葉にならなかった。


「用がないなら、お帰りなさい」


タピオは我に返りようやく話した。


「申し訳ありません、この庭にいた娘があまりに美しかったものですから」

「あんたのその格好だと吟遊詩人だね」

「はい、よければ、私の歌を届けたいのです」

「それは出来ないよ、ここは由緒あるリンネヴェラ家じゃ。そう簡単にはいかないよ」

「どうすれば、いいのですか」

「せいぜい、敷地の外でも歌うんだね」

「わかりました」


タピオとクランは仕方なく屋敷を後にした。


空を見上げると、大きな虹は消えていた。

小鳥のさえずりだけが小さく響いていた。


白夜の気配がした。

夜は眠りにつかない。


クランはタピオにそっと話しかけた。


「兄さん、もしかして、あの少女に恋をしたのかい」

「ああ、あの月のような髪に湖のような瞳、僕はすっかり心を奪われたんだ」

「そうかい、それなら、僕は外を歩いてくるよ。愛の歌でもささやいてみたら」

「ああ、そうするよ」


タピオは敷地の外から、焚火の近くで屋敷を向き歌い始めた。


僕は小鳥になりたい

歌の翼になって

君に自由を届けたい――


少女はシルクのような歌声に気づいた。

そして、胸が静かに揺れた。


あの人はあの時の

なんて素敵な方なのでしょう

どうか、私の元へ飛んできてください


少女の後ろから声が響いた。


「アイリ、どうしたの?」

「お母さま」

「牧師様が勉強を教えに見えられましたよ」

「もう……」


自由の翼が失われていった。


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