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白夜の奏でる音  作者: 月原 悠


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14/15

道――1

外は次第に日が暮れて、

空にはさまざまな色あいが広がっていった。


白夜が終わりを告げるように、

フクロウや夜泣き鳥がざわめき始めた。


町のあちこちに灯りがともった。


アイリは途方に暮れていた。

あまりに日々の暮らしが貧しかったからだ。


隣の大きな屋敷の灯りが恋しかった。

次第に、家を飛び出してきたことを後悔し始めた。


そしてアイリは、かつて暮らしていた町ユヴァミエミへ引き返すことにした。

そりはもうなかった。

彼女はただひたすら歩き続けた。


ユヴァミエミへ到着すると、アイリは震える手で家の扉を開いた。


「ただいま、帰りました……」


アイリは小さな声で帰りを告げた。


中は静まり返っていた。

しばらくすると、部屋の奥から声がした。

その声はまるで、冬の窓辺のように冷え切っていた。


「誰かしら、婆や、追い返してちょうだい」

「奥様、それはあまりに……」

「いいから、リンネヴェラ家には汚れた娘などいません」


それを聞いたアイリは思わず、扉から飛び出した。

もう、帰るところはないのだとわかった。


再びラヌアに戻った。


そして、老人の家で再び暮らすことになった。


月の輝く夜。

アイリは呆然と町を歩いていた。

しばらく歩くと教会の灯りが見えた。


教会のすみっこに、一人の少年がいることに気づいた。

少年はうつむいていた。


アイリはどことなく気になって仕方がなかった。

少年にそっと声をかけた。


「どうしたの、こんなところで」


少年は何も答えなかった。

それがアイリの胸になぜか響いた。


もう一度、声をかけた。


「ここで、何をしているの」


少年はアイリの方を向いた。

けれど、唇は閉ざされたままだった。

彼女は仕方なく、老人の家へと帰った。


彼女の胸にそっと少年の瞳の輝きが残った。


老人の家の屋根裏部屋の窓から月がそっと顔を出していた。

月の光と少年の瞳が重なった。


アイリはあくる夜も少年のことが気になって、教会へと行った。

しかし、少年の姿はそこになかった。

なぜか、不思議な気持ちになった。


月の淡い光が夜のしじまに溶け込んでいった。


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