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白夜の奏でる音  作者: 月原 悠


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11/16

新天地にて――1

アイリはラヌアに到着した。

着くなり、周囲の屋敷の窓に、花が飾られていたことが目に入った。

それは彼女にとって、開かれた世界のように映った。

ようやく、求めていたものが手に入ったように思えた。


どの花も柔らかな光を帯びていて、

可憐な花がまるで新しい世界のしるしのように思えた。


閉ざされていた扉が、ようやく開いた気がした。

胸の奥で、何かがそっとほどけていった。


けれど、ふとした瞬間に、アイリは足を止めた。

何も考えずに家を飛び出したため、今夜眠る場所さえ決まっていなかった。

胸の高鳴りは、急に心細さへと変わっていった。


町の中心にある噴水の前で、アイリは立ち尽くした。

水音だけが静かに響いていた。


すると、一人の老人が、ゆっくり彼女に近づき、声をかけた。


「そんなに花を見ていると、夜は凍えてしまうよ」

「……では、この花を一つ摘んでもいいですか?」

「ああ、いいが、お嬢さんはきれいな服だけど、どこから来たのかい?」

「ユヴァミエミから来ました」

「泊まるところはあるのかい?」

「いえ……」

「それなら、私の家へ泊まるといい。狭いが寒くはないよ」


アイリは老人の勧めで宿を借りることにした。

屋根裏部屋は狭かったが、彼女にとってはそれも新鮮な世界だった。


小さく質素な暮らしが、そこから始まった。

けれども、部屋の小窓から見える星が、アイリの瞳に美しく輝いた。

その日は空を見上げながら眠りについた。

夢心地のよい夜だった。


朝がやってきた。

町は賑わいを見せていた。


アイリは早速、外に出て町を見物していた。

空は青かった。

彼女の足取りは軽かった。


花に囲まれた噴水のそばに、一人の乞食が座っていた。

その姿が、なぜかアイリの胸に残った。

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