新天地にて――1
アイリはラヌアに到着した。
着くなり、周囲の屋敷の窓に、花が飾られていたことが目に入った。
それは彼女にとって、開かれた世界のように映った。
ようやく、求めていたものが手に入ったように思えた。
どの花も柔らかな光を帯びていて、
可憐な花がまるで新しい世界のしるしのように思えた。
閉ざされていた扉が、ようやく開いた気がした。
胸の奥で、何かがそっとほどけていった。
けれど、ふとした瞬間に、アイリは足を止めた。
何も考えずに家を飛び出したため、今夜眠る場所さえ決まっていなかった。
胸の高鳴りは、急に心細さへと変わっていった。
町の中心にある噴水の前で、アイリは立ち尽くした。
水音だけが静かに響いていた。
すると、一人の老人が、ゆっくり彼女に近づき、声をかけた。
「そんなに花を見ていると、夜は凍えてしまうよ」
「……では、この花を一つ摘んでもいいですか?」
「ああ、いいが、お嬢さんはきれいな服だけど、どこから来たのかい?」
「ユヴァミエミから来ました」
「泊まるところはあるのかい?」
「いえ……」
「それなら、私の家へ泊まるといい。狭いが寒くはないよ」
アイリは老人の勧めで宿を借りることにした。
屋根裏部屋は狭かったが、彼女にとってはそれも新鮮な世界だった。
小さく質素な暮らしが、そこから始まった。
けれども、部屋の小窓から見える星が、アイリの瞳に美しく輝いた。
その日は空を見上げながら眠りについた。
夢心地のよい夜だった。
朝がやってきた。
町は賑わいを見せていた。
アイリは早速、外に出て町を見物していた。
空は青かった。
彼女の足取りは軽かった。
花に囲まれた噴水のそばに、一人の乞食が座っていた。
その姿が、なぜかアイリの胸に残った。




