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とんちゃんダイエット大作戦(童話)

作者: n.kishi
掲載日:2026/02/27

 佐々木咲江さん78歳。3年前、夫に先立たれ、現在は一人暮らしです。正確に言うと、3歳のメスイヌ、とんちゃんといっしょに暮らしています。とんちゃんは2年半前、咲江さんのうちにやって来ました。当時はまだ子犬で、散歩から戻ったら、咲江さんが住むアパートの2階の部屋まで、トントンと身軽に階段を駆け上りました。その様子を見た咲江さんがとんちゃんと名付けたのです。


 咲江さんはとんちゃんがかわいくて仕方がありません。毎日3食、とんちゃんに求められるままたっぷりドッグフードを与えました。さらに食間には、ペット用のおやつまで用意しました。そんな生活が3カ月続きました。以前は散歩に出たら、とんちゃんはリードを引っ張り、どんどん先に行こうとして、咲江さんを困らせました。でもいまでは散歩に出てもべたっと地面に寝そべり歩こうとしません。それもそのはず、おなかのまわりに肉が付き過ぎて、歩けないのです。その様子を見た咲江さん、今度はベビーカーを買ってきて、とんちゃんを乗せて散歩に出るようになりました。ベビーカーに乗せられたとんちゃんは周りをキョロキョロ見渡しながらまんざらでもなさそうです。そんなある日のことです。朝からトンちゃんの様子がおかしい。目はトロンとうつろで、寝床にべたっと横になったまま起き上がろうとしません。この様子を見て驚いた咲江さん。以前、散歩の途中で見つけた動物病院に急いでとんちゃんを連れて行きました。病院の先生は一目とんちゃんを見るなり、顔をしかめます。次にとんちゃんのおなかのあたりに聴診器を当てました。そして静かに咲江さんに告げます。「極度の肥満です。このままだとあと1カ月もつかどうか・・・」。咲江さんの顔から血の気が引きました。「どうしよう、このままだと、とんちゃんが死んじゃう・・・」

 

 とんちゃんを病院からうちに連れ帰った頃、咲江さんは落ち着きを取り戻し、あることを決断します。とんちゃんダイエット大作戦です。その日から作戦を始めました。1日2食、それもカロリー計算をしっかりして、いくらとんちゃんがエサをねだっても、決められた分量以外は与えません。散歩に行くときはベビーカーに乗せることをやめました。途中、とんちゃんが地べたに寝そべっても、気長に立ち上がるまで待ち、歩かせます。そして、少しずつ距離を延ばしました。徐々にですが、とんちゃんのおなかまわりがすっきりしてきて、スローペースで歩き続けることができるようになりました。太っていた頃、咲江さんはとんちゃんを抱きかかえて2階の部屋まで戻っていました。いまではとんちゃん、自分で階段を上ることができまでに快復しました。そんな生活を半年続けた頃には、とんちゃんは以前とは見違えるほどスリムになり、子どものときのようにトントンと階段を駆け上ることができるまで元気になりました。


 そんなとんちゃんを目を細めて見つめる咲江さん。「とんちゃん、ごめんね。私が猫かわいがり・・・じゃなくて、犬かわいがりしてしまって。もう大丈夫。私、決めたの。とんちゃんといっしょに長生きすることを。とんちゃん、私が歩けなくなったとき、今度はとんちゃんが車椅子を引っ張てね。お願いよ」と言いながら、咲江さんはとんちゃんの胸元にそっと小指を持っていきました。「指切りげんまん・・・」。


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