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バカ・ダイアリー・エッセイ  作者: ことのはじめ


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フライドチキンと夢

 よく夢を見るタイプである。いわゆる明晰夢も見ることがある。いつも空を飛んでいる。



 夢はとりとめのないものから過去の記憶まで様々だ。しかし知らない街の夢を見ることもある。なんとなく地理まで覚えていることもある。



 どうにもわからんのであの町と呼んでいる。あの町は地元とよく似たしかし違う町である。スーパーとかある。



 東京のような街の夢も見る。行きすぎて改札の場所から駅地下まで覚えてしまった。もちろん実在する街ではない。



 その街の夢の中ではいつもフライドチキンを食べようと躍起になっていた。とにかくフライドチキンの店に行こうと決死の覚悟で道を走っていたのを覚えている。



 ハンバーガーでいいではないか。そんなに鶏肉が恋しいか。実際おいしいのだ、しかたない。



 夢で飲食したことはないが、飲食直前までいったことはある。いつも食べる前に目が覚める。



 食べて満腹になる夢でも見たいものである。だがフライドチキンは食べられない。そういう罰かなにかかこれは。



 フライドチキンが食べたくて駅地下を奔走する夢は何度となく見た。店舗は地上にある。地下から襲撃するつもりか。



 他にもエレベーターに乗ったりエスカレーターに乗ったりと様々だ。走ると泥のように重く動けなくなるのが常である。スライムにでもなった気分である。



 フライドチキンはおいしい。チキンだけでなくハンバーガーもおいしい。最近また食べたくなってきた。



 外食ばかりは体によくないのでたまにしか食べない。その分フライドチキンがおいしく感じられる。期間限定の味を楽しむのも好きだ。



 だというのに夢ではフライドチキンはが食べられない。フライドチキンへの憧れが高まるだけである。もしかするとその憧れを夢で食べているのかもしれない。



 夢で食べ物が食べられない代わりに食べるまでのワクワクを味わっているのではないか。夢は気持ちの食事をする場所かもしれない。だがフライドチキンを食べられないのは悲しい。



 夢の中ではいつもフライドチキンを求めている。チキンしか頭にないのか。私はフライドチキンイーターみたいな名前のモンスターかもしれない。



 フライドチキンを求めて夢の中を彷徨うモンスター。夢の中で見かけたらフライドチキンを食べさせてやってほしい。間接的におなかがいっぱいになるかもしれないから。

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