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バカ・ダイアリー・エッセイ  作者: ことのはじめ


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共感覚と未分化の情報

 変わった感覚がある。音が形になって見える。いわゆる共感覚というやつである。



 なんかすごそうに見えるが実際はそうでもない。むしろ説明に困る。見えているものを聴覚基準で言い直すのが非常に面倒だ。



 よく共感覚持ちの人物のフィクションではこの色の声はこいつだけだと犯人を捕まえるようなことがある。他の共感覚持ちの人間についてはわからない。だが私の場合だと音が形になって見えると非常に説明が面倒だ。



 形に見えるのなら描けと言われると思う。実際描けるが実のところ結びついているのは視覚だけではない。主に触覚と結びついているのだ。



 それにはっきりと形として認識できるわけではない。明確な形をしていない場合がほとんどである。頭の中では音というより形で見えるが、その形をはっきり見ようとすると消えてしまう。



 それに単に形で見えるわけではない。もっと根本というか、感覚に振り分けられる前の曖昧な塊として認識している。音にも形にもなれないなりそこないのソースをどうやって表現すればいいのだろう。



 視覚一つとっても形の他に色や光といったものも感じるから、非常に説明がしづらい。固い音は四角い角が光って見えるし、人の声はいろんな針金の芯の感触がする。針金の感触がしない声ももちろんある。



 はっきり音だけで捉えられたのなら説明がもっと楽になったろうに。音以外に見えたり触れたりする感触があると途端に意思疎通が難しくなる。言葉での表現で二重三重に翻訳にかけているようだ。



 それに共感覚があると言えば大体はほら吹き扱いされる。思い込みだとか。一度この未分化の情報を感じ取ってみてほしいものである。



 言葉にするのが非常に難しいのだ。なんといってもなんとも言えない情報の塊なのだから。そのくせ感覚から外れた言葉を使うとあげつらってくる。



 これでは何も言いたくなくなるのもよくわかる。無知で未知な感覚をバカにしてはいけない。頭から否定するのもよくない。



 そういうものもあるのかとか、どんなものかとか、理解も深めず否定してくるものはいかがなものか。まだまだ思考が蛮族である証左なのか。どうせなら祀ってほしいくらいである。



 仮想敵と戦っても仕方がない。周りに共感覚の話をする人がいたらぜひねぎらいの言葉をかけてやってほしい。もしかすると未分化の感覚を口に出せず困っている人もいるかもしれないからだ。



 知らないものに対して理解を深めようとするならそれに越したことはないだろう。理解できなくてもそういうものがあると認識するだけでだいぶ息がしやすくなる。そういう余裕が一番大事なのかもしれない。

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