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バカ・ダイアリー・エッセイ  作者: ことのはじめ


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疑似アンネ体験

 思春期は家庭の事情でアンネよろしく親戚の家に匿われている時期があった。当時の私は受験期、荒れた家族が勉強の邪魔をするからと親戚の家に匿われ生活していた時の話だ。本人の気持ちはともかくアンネ・フランクになった気分である。



 違いといえば親戚の家から学校や塾に通っていたことか。アンネは外に出ることもままならなかった。だが外に危険が潜む中隠れて過ごすのはなかなか精神をすり減らす出来事だった。



 親戚の家の隠し部屋のような小部屋で生活していた。隠し扉のようなドアから入って風呂やトイレも完備された部屋だ。ますますアンネの隠れ家である。



 当時中学生の私はアンネの日記を思い出しなんとか耐えようとしていた。理不尽な仕打ちで実家から追い出され、それほど親しくもない親戚の家での生活。そして受験を間近に控えた神経質になる時期。



 よく耐えられたものである。生活自体は困らなかったが、外に出るのが無性に怖かったことを覚えている。特に学校や塾の帰り、一人で道を歩いている時が恐ろしかった。



 もしかしたら今にも曲がり角から荒れた家族が飛び出してきて私を殴ってくるのでないか、殺しにくるのではないか。そんな妄想が頭から離れず怖かった。外部からの脅威が恐ろしくて、一日中部屋に閉じこもりたくなるのである。



 だが学校には行かなければならない。塾も休んではいけない。毎日命の危機を感じながらの生活だった。



 アンネ・フランクと比べるのはよくないことかもしれないが、彼女はこのような恐ろしい気持ちをずっと感じながら隠れ家で過ごしていたのだろう。それこそいつ終わるともしれない間。それでも日記を書き続けていたのだから、人間の強さというものはすごいものである。



 いつ殺されるかともつかない時間を綱渡のように過ごすのは精神がすり減る。荒れた家族が殺しにくるという妄想だけでも私は恐ろしかったのに、ゲシュタポに見つかったら殺されるという事実が付き纏ってくるのだからアンネの恐怖も並大抵なものではなかっただろう。



 できればこういった恐ろしい体験はしないほうがいい。ほんの少しそういった体験をした私でも恐ろしかったと言うのだから、それよりもっと悲惨な目にあった人間なら尚更だ。安全に暮らせる恩恵は十分に感じるべきである。



 命の危機はできるだけ感じないほうがいい。あまり恐ろしい目に遭うと何もできなくなってしまう。今平和で安全に生きていられることに感謝したい。

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