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最終章:最高の相方、最愛の王子。

挿絵(By みてみん)



アメリア嬢は、私の挑発的な言葉に、完全に固まっていた。そのエメラルドグリーンの瞳が、不安げに揺れている。横でアルフォンス王子が、何か言いたげに口を開きかけていたが、私はそれを許さない。ここからは、私の独壇場だ。


「アメリア嬢。あなたはいつも、完璧な笑顔を浮かべ、誰に対しても優雅に振る舞っていらっしゃる。しかし、その笑顔の裏に、本当のあなたは隠れていませんこと?」


私は一歩、アメリアに近づいた。彼女の顔色が、さっと青ざめる。まるで、自分の秘密を暴かれたかのような表情だ。


「わ、わたくしは……!」


アメリアは、言葉に詰まった。その時、私は畳み掛けるように、昨日セバスチャンにぶつけた「渾身のお題」を、この場で放った。


「『悪役令嬢が、まさかの転生者でした』。どんな悪役令嬢?」


茶会の会場は、一瞬にして静まり返った。貴族たちが、怪訝な顔で私とアメリア、そして王子を見つめている。だが、私の視線は、ひたすらアメリアに固定されていた。彼女の脳内で、何が起こっているのか、手に取るように分かった。困惑、動揺、そして……「なんでここでそのお題!?」という、無言のツッコミが!


アメリアは、プルプルと唇を震わせた。彼女は、私と同じ「転生者」なのだ。乙女ゲームのヒロインという立場上、それを隠し通してきた彼女にとって、私のお題はまさに「地雷」だったのだろう。


その時、アルフォンス王子が、私の腕をそっと掴んだ。彼の青い瞳が、真剣な光を宿して私を見つめる。


「リリアーナ嬢。これ以上は……」


王子は、私を止めようとした。だが、彼のその行動こそが、私にとって最高の「ネタ振り」だった。私は、彼の腕をそっと振りほどき、茶会に集まるすべての貴族たちに向けて、高らかに宣言した。


「皆様! わたくしは、この度、皆さまの前に、新たな『芸』を披露したく、日々精進しておりました! これは、わたくしがこの身を持って実践する、『笑い』という名の革命なのですわ!」


私は、扇子を広げ、自信満々に笑った。貴族たちは、ポカンと口を開けて私を見つめている。しかし、彼らの表情には、どこか「何が始まるんだ?」という好奇の光が宿っていた。


「アルフォンス王子は、わたくしの『最高の相方』。そして、アメリア嬢は、わたくしの『最高の共演者』なのですわ!」


そう言い放った瞬間、アルフォンス王子の顔が、驚きと戸惑い、そして微かな喜びで染まった。彼の左目の下のホクロが、ピクッと動いたのが見えた。


「さあ、王子! アメリア嬢! 遠慮なく、わたくしに『ツッコミ』を入れてくださいますか!? それとも、共に『ボケ』てくださいますか!?」


私は、二人に手を差し伸べた。アルフォンス王子は、まだ呆然としている。しかし、アメリア嬢は、私の言葉を聞いて、フッと笑みを浮かべた。その笑顔は、普段の愛らしいヒロインのそれとは少し違って、どこか吹っ切れたような、清々しいものだった。


「リリアーナ様……! 面白いことをお考えになりますわね……!」


アメリア嬢は、私に向かってにこやかに微笑んだ。そして、彼女は小さく、しかしはっきりと呟いた。


「『悪役令嬢が、まさかの転生者でした』。どんな悪役令嬢?」


「……『婚約者である王子に、毎日意味不明な『お笑い』を仕掛けてくる令嬢』、でしょ!」


アメリア嬢のその言葉に、私は目を見開いた。彼女の口から飛び出したのは、私への完璧な「ツッコミ」だった! そして、その言葉は、まさにアルフォンス王子が日頃、私の行動に対して抱いているであろう「本音」でもあった。


会場に、ドッと笑いが沸き起こった。貴族たちは、何が起こったのか完全に理解しているわけではないが、その「会話」の面白さに、素直に反応したのだ。


アルフォンス王子もまた、呆気に取られていたが、アメリアの「ツッコミ」を聞いて、フッと笑みをこぼした。彼の笑みは、いつも完璧で上品なそれではなく、心の底からこみ上げてくる、自然な笑顔だった。


「リリアーナ嬢。どうやら、君の『研究』は、私の想像を遥かに超えたもののようだ。そして、君は……本当に『面白い』人だ」


アルフォンス王子は、そう言って、私の手を取った。彼の瞳には、これまで見たことのない、温かい光が宿っていた。それは、恋の輝き。そして、私の「お笑い」を理解し、受け入れてくれたことへの、深い信頼の光だった。


私の悪役令嬢ライフは、破滅することなく、むしろ最高にハッピーな結末を迎えた。アルフォンス王子とは、公には「婚約者」として、水面下では「最高の漫才コンビ」として、固い絆で結ばれた。アメリア嬢とも、ライバルではなく、共に笑いを生み出す「仲間」となった。


そして、今日も。王宮の片隅で、セバスチャンの呆れた顔を横目に、私はアルフォンス王子に新しいネタを仕込んでいる。


「王子、次は『大喜利』に挑戦だ。お題は、『魔法が禁止された世界で、魔法使いが困ったこと』。フフフ、さあ、ボケてみろ、王子!」


アルフォンス王子は、真剣な顔で考え込んでいる。彼の完璧な表情が、また少し、人間らしく「崩れた」のが見えた。


「リリアーナ嬢……それは、どのような状況で『困った』と表現すべきなのだろうか……」


「プッ! 王子、それもうボケてるから! 最高のボケ! ナイスツッコミだ、私!」


私の笑い声が、王宮の空に響き渡る。


悪役令嬢として生きる道を選んだ私だが、結局、私が辿り着いたのは、最高の「相方」と、最愛の「王子」と共に、無限の「笑い」を生み出す、そんな幸せな日々だった。


そう、推しとの恋愛は漫才より難しい。でも、漫才の相方として、推しと向き合うなら、きっとどんな困難も乗り越えられる。


だって、私の隣には、最高の「ネタ振り」役がいるのだから!


あとがき:爆笑と愛をありがとう!『悪役令嬢、お笑い覚醒!』


皆さん、こんにちは!この度、私の魂の叫びともいうべき新作、『悪役令嬢、お笑い覚醒!〜推しとの恋は漫才より難しいけれど、爆笑の果てに愛がある〜』を最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!


この物語、もうタイトルで全てを語り尽くしてる感ありますけど(笑)、ざっくり言うと、ブラック企業で過労死寸前だった主人公が、まさかの乙女ゲームの悪役令嬢に転生! しかし、破滅フラグを回避するどころか、前世からのお笑いへの情熱を異世界で爆発させちゃう、というドタバタコメディです。もちろん、完璧イケメン王子とのすれ違いラブも満載で、「こいつら、いつになったらちゃんと恋するんだ!?」と、私が一番ツッコミたかったですね。


正直な話、この物語が生まれたきっかけは、ある日突然、雷に打たれたような衝撃でした。「悪役令嬢ものって、毎回悪役令嬢がギャップ萌えで実はいい人、みたいな展開が多いよな……もっとブッ飛んだギャップはないのか!?」と。そこで、前世がお笑い芸人志望だったらどうなるだろう?という、私の脳内お笑い劇場が幕を開けたわけです。悪役令嬢の格式高い口調でお笑い用語を喋らせたら、絶対面白い!と確信しましたね。ふっふっふ。


執筆中は、まさにリリアーナと一緒にネタ作りに励む日々でした。特に、王子アルフォンスの反応をどう描くかには、こだわりましたね。彼の真面目さが、いかにリリアーナのボケを際立たせるか、そしてその真面目さ故に「最高に美味しいキャラ」になるか。彼の「左目の下のホクロ」のくだりとか、もう書いている私がニヤニヤが止まりませんでしたよ(変態かよ)。アメリア嬢の「ツッコミ」が炸裂するシーンは、書いている私も「よっしゃ!完璧!」とガッツポーズでしたね。あれ、実は私からの読者さんへの「アメリアも転生者だよ!」という、渾身のパスでした。気づいていただけたでしょうか?


悪役令嬢ものの魅力って、やっぱり「ギャップ」と「逆転劇」だと思うんです。本来なら不幸になるはずの悪役令嬢が、自分の力で運命を切り開いていく姿は、読んでて最高にスカッとしますよね! 今回はそこに「笑い」という要素をぶち込んでみたわけですが、いかがでしたでしょうか? 読者の皆さんが、リリアーナの破天荒な行動に笑い、王子との恋の行方にキュンとしていただけたら、これ以上の喜びはありません!


そして、次なる作品の構想ですが……フフフ、まだ詳細は明かせませんが、今度は「転生したら、まさかの『最弱モブキャラ』だったけど、なぜか『隠しボス』として世界を救うハメになった件」みたいな、逆転劇のど真ん中を狙っています! しかも、そのモブキャラ、やたらと「料理」の腕だけが異常に高くて、敵を料理で懐柔しちゃう、みたいな……ね? お楽しみに!


最後に、この物語を最後まで読んでくださった全ての読者様へ。あなたの日常に、リリアーナのような爆笑と、アルフォンス王子とのような(ちょっとすれ違うけど)温かい愛が溢れますように! そして、もしあなたが人生で迷ったり、ちょっと落ち込んだりした時は、ぜひリリアーナの「お笑い魂」を思い出してください。きっと、どんな困難も「ネタ」に変えて、笑顔で乗り越えられるはずです!


それでは、また次の物語でお会いしましょう! ありがとうございましたー!

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