表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピンクブロンドの男爵令嬢ですが乙女ゲームなんて知りません  作者: もーりんもも


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/13

5 公爵令嬢にからまれました

「この中にヘンリエッタ・オズボーンはいるかしら?」


 私の名前をもう覚えたの? いったい誰が?

 その答えは噂好きの女子のヒソヒソ声が教えてくれた。


「まあ、ご覧になって。グレンヴィル公爵令嬢よ」

「え? 殿下の婚約者でいらっしゃる?」


 グレンヴィル公爵令嬢? あ、入学式で上級生代表だった人だ。

 そんな人が私に何の用?

 公爵家とか、もうほんとに関わりたくないんだけど。


「ちょっと! ヘンリエッタ・オズボーン! 聞いているの?」


 ん? 腰巾着みたいな女子が偉そうに声を張り上げている。

 さすがにこのまま名前を連呼されるのは避けたい。

 

「はい。私がヘンリエッタ・オズボーンです。何かご用でしょうか」

「あなたっ。さっさと名乗り出なさいよ!」


「マーガレッタ」

「はい。シャーロット様」


 名前を呼ばれた腰巾着一号がさっと下がった。

 もう一人腰巾着二号もいるんだけど、そっちはひたすら私を睨んでいるだけで一言も喋らない。


「そう……あなたなの……」


 シャーロットさんは私の全身に視線を這わせた後、扇子をピシッと私に向けて、「申し開きがあるなら聞きましょうか」と言った。


 は?

 初対面ですよね?

 私の存在そのものが気に入らないとか言われても困るんですけど。


「なんで殿下と仲睦まじく学園内を歩いていたのかって聞いているのよ」


 マーガレッタと呼ばれた腰巾着一号が説明してくれた。

 あ、なるほど。

 婚約者が他の女子と一緒に歩いていたのが気に入らないのか。

 ああ、もうほんと、あの馴れ馴れしい王子のせいだ。


「そのことでしたら、恐れ多くも在校生を代表して、入学式が行われるホールの場所が分からず困っていた()()()を案内してくださったのです」


 私一人ではなく、ルイーザもいたことを強く訴えておく。


「あら、そうなの?」

「はい。突然のことでしたので、殿下の後ろを黙ってついていくことしかできず、ご挨拶もろくにできませんでした」


 会話などは一切なかったのだと、これまた切に訴えておく。

 ルイーザもブンブンと頭を縦に振ってくれている。多分、公爵令嬢にそれはマナー違反だと思うけれど。


「そう」


 ……よかった。

 シャーロットさんが突き出していた扇子を下ろしてくれた。


「殿下はお優しい方ですものね。ですが……だからといって、殿下に声をかけられたなどと思い上がるのではなくてよ」


 いや、そんな心配いりませんから。


「もちろんです。学年も違いますので、もうお目にかかることもないと思います」

「そうね。身の程を知りなさい」

「はい。もちろんでございます」


 上級生代表を務めるような公爵令嬢に敵認定はされたくない。


「参りましょう」


 シャーロットさんが踵を返したところに、「何をやってるんだ、シャーロット」と、王子が割り込んできた。


 もう、今話が終わったところだったのに!

 私の平穏無事な学園生活を終わらせにきているの?

 私の方であなたを『敵認定』します!


「これは、殿下。ここは一年生の教室の廊下ですのに、どうして殿下がいらっしゃるのでしょう?」

「それはこっちのセリフだ! 入学式が終わると同時にお前が一年生の教室に向かったと聞いたので来てみれば、なるほど、そういうことか」


 私たち、そろそろ教室に入りたんですけどね。

 痴話喧嘩ならよそでやってくれませんかね。


「ヘンリエッタ嬢に噛みついていたとはな。ただでさえ心細い新入生を入学初日から脅すとは。手本となるべき三年生の姿ではないな」


 随分とひどい言い方。「脅す」だなんて。

 私、脅されてなんていませんけど?

 私とシャーロットさんとの会話を聞いていないくせに頭っから決めつけて……嫌な男。


 これ――どうやってこの場を収めたらいいの?

 そう思って周囲を見渡したけれど、見事なまでに他の生徒たちに距離を空けられていた。

 中心には私たちしかしない。



「こんなところで何をやっているんだい?」


 皆が遠巻きに静観しているところに新たな登場人物がやって来た。

 学園長だ。


「伯父上――」

「学園内では『学園長』と呼ぶように」


 王子の伯父? じゃあ国王の弟?


「君たち。自分のクラスを確認したら教室に入るよう言われなかったか? さあ、早く移動したまえ」


 逃げ出していいと言われたので、一目散に教室に逃げ込んだ。

ブクマや下にある☆☆☆☆☆評価をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結しました!
『追放された悪辣幼女の辺境懺悔生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜』

カドコミで『転生した私は幼い女伯爵』のコミカライズ連載中です‼︎
フォローよろしくお願いいたします‼︎

『転生した私は幼い女伯爵』コミック1巻予約受付中です!
amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i1033447

『転生した私は幼い女伯爵3 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです』
⭐️⭐️⭐️⭐️アース・スターノベルから3巻発売中!⭐️⭐️⭐️⭐️
あらすじや口絵イラストはこちらの特集ページをご覧ください。
ご購入はこちらから。amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i988178

『転生した私は幼い女伯爵2 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです』
購入はこちらからamazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i928141

『私が帰りたい場所は ~居場所をなくした令嬢が『溶けない氷像』と噂される領主様のもとで幸せになるまで~』
DREノベルスから2巻発売中
購入はこちらからamazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i929017
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ