1 プロローグ(非常識な婚約破棄)
新連載です。
12、3話で完結予定です。
よろしくお願いします。
「シャーロット・グレンヴィル! お前のような底意地の悪い女性とは結婚できない。今日この場で婚約を破棄させてもらう!」
……えぇぇ?
卒業パーティーの会場である学園のホールには、卒業生だけでなく、在校生や家族、来賓たちが参集している。
つまり国内の貴族たちの相当数が一堂に会しているのだ。
そんな中、我が国の第一王子であるローガン殿下が非常識な発言をして周囲の顰蹙を買っている。
王族の婚姻に関する話題なんて、超センシティブな事案のはずなのに。
「なんですってー! よくも――よくも――この私を辱めてくれたわね! どうせ、これも全部、あの子のせいね!」
……うーん。
まあ気持ちは分かるけど、せめて公爵令嬢らしく品位を保ったまま対応してほしかった。
……あれ? 今、「あの子」って言っていたけれど、それって――まさか――?
いや、そんな――。
「彼女は関係ない! お前との婚約破棄は僕の考えだ。だが、国の総意でもある。それに――」
国の総意? 言葉の意味を分かった上で使っている?
前世だと、選挙結果のことを言うけれど、この国って王政だよね?
ああ、平民は意見を言う立場にないから総意の分母に入らないってこと?
でも絶対に誰からも意見を聞いていないよね? 自分の側近たち以外には。
「それに、彼女は――ヘンリエッタ嬢は――」
『――ヘンリエッタ嬢』って言った。
痴話喧嘩は当事者だけでやってほしい。
どうして他人を巻き込むかね?
非常に不愉快です。
ブクマや下にある☆☆☆☆☆評価をよろしくお願いします。
 




