11章「独占欲の屑人間 4」
私はいまだに縛られている。裕介はキッチンナイフを取り出し、私を殺すつもりだ。
嗚呼、私の命があと数時間だと思うと、なんだか泣けてくるし笑えてくる。恐怖はひとつもない。
ただひとつ気になることは、ヤマケとイロハ、そしてセスのこと。
セスは来ないだろう。
「・・・フン、これで厄介者とも終止符がつく。僕の暮らしを邪魔してくれた君には、このナイフで首を掻っ切るのがお似合いだ。残念ながら仲間の彼は来なかったが、君が死ねばもはやどうでもいいこと。僕にとっても、君にとってもね。」
裕介は私の首にナイフを当てる。首筋から血が流れるのを感じた。
「じゃあな。」
一旦ナイフを離し、その後すぐに首にナイフが向かう。
・・・私の人生、普通だったな。
その時だった。
あと1センチでナイフが首にあたる瞬間、裕介が体勢を崩した。
「・・・・・・!!」
私はすぐさま周りを見る。
「久しぶりだな。クズ。」
扉の前にセスがいた。
「チッ、お前は彼女を見捨てたかと思ったのに!」
裕介は今までになく狂った顔をしていた。
怒りと焦り、それらがグチャグチャに混ざった顔だ。
「そんな事を俺がする訳が無い。仲間を見捨てるなんて、普通の人は絶対にしない。唯一するなら、お前のようなクズだけだ。」
「ぶっ殺してやる!!!」
裕介がセスに飛びかかる。
セスはそれをヒラリとかわし、隙が出来た所を、グレープウォッチで裕介をかざした。
かざした瞬間、裕介はバタリと倒れた。




