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記憶を取り戻したミスY

 私の名前はヤマムラカヤコ。

ヤマムラカヤコはパート主婦でブロガーで小説家であるらしいのだが、私には記憶がない。

 ある朝、目覚めたら記憶を失っていたのである。記憶を失って1週間。職場には体調不良と伝えて有給休暇をとっている。何の仕事をしていたかも思い出せないのだから、働く自信がない。職場ではチーフという立場らしく、みんなが心配してメールをくれる。なかなかに信頼されているようだ。

 ヤマムラカヤコの書く小説もブログもなかなか面白い。私はヤマムラカヤコとして生きることを決めた。ヤマムラカヤコとして、ブログを書き、小説の続きを書いた。小説はプロットが書かれたノートがあったからそのとおりに書いた。ブログはワイドショーや映画を見て、感想を書いた。記憶がなくても、なんとかヤマムラカヤコとしてやっていけそうな気がしていた。


 私は本当にヤマムラカヤコなのだろうか。もしかしたら、違う人間なのではないか。ふとそんな考えが頭をよぎった。そこで私はアルバムを探した。そして、この家にアルバムがないことに気付いた。唯一あったのは、息子と娘がまだ赤ちゃんのころのアルバムだった。そこには確かに若いころの自分が写っているが、得体のしれぬ違和感を覚えた。でも確かに顔は自分だ。

 他の写真がないのは、もしかしたらパソコンにデータとして入っているからかもしれないと思った私は、パソコンを調べてみたが、入ってはいなかった。きっとCD-ROMにしてどこかに保管してあるのだろう。

 それにしても、なんなんだろうこの胸の苦しさは。胸がつめつけられるようだ。この息苦しさは記憶を失ったからだと思っていたが、私はある日、気付いてしまった。


 ブラのサイズがあってない・・・


 私は引き出しのブラジャーをすべて引っぱり出してサイズを見た。


A70


 苦しいはずだった。今、私はどうみても巨乳である。

 自分の胸をよく見てみると、脇に近い所に傷がある。

 その傷を見た瞬間、私はすべてを思い出した。

 そうだ、私は、全身麻酔をして豊胸手術を受けたのだ。

 なぜ、豊胸手術を受けたか。

 そう、それは私が女スパイで、ある女と入れ替わるというミッションのために豊胸手術をうけたのだった。その女、顔も背格好も私とほぼ同じなのに胸の大きさだけが違っていた。私は国のため、豊胸手術を受けたのだ。しかたなく受けたのだ。少しは楽しみにしていたけれど。

 おそらく、全身麻酔の後遺症で記憶を失ったのだろう。私は、ヤマムラカヤコに間違いない。結婚して子供も二人いるという設定になっている。パート主婦でブロガーで小説家という設定になっている。


そう、私のコードネームはミスY。結婚しているのは設定だから、ミセスYではなくミスYなのである。


ところで、豊胸したあとのミッションがまだ思い出せないのだが・・・


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― 新着の感想 ―
[良い点] そう来るとは思いませんでした(笑) [一言] 「あれ」から素晴らしい発想をされていて、さすがです!!
2019/11/26 08:43 退会済み
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