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第8話 「インチキ占い師vs本物占い師!!!」

 前回までのあらすじ! 占い師になった没落令嬢・ポーラは、最強の身体能力を持つ執事・アルノを駆使して予言を(無理やり)的中させていく! そんな彼女の(インチキ)占いに騙された人々は、まんまとポーラは至高の占い師だと勘違い! そして彼女に高い壺を買わされる羽目に! そんなこんなで、ポーラとアルノは瞬く間に大金持ちになるのであった!











「はあ……疲れた……」


 ポーラの占いを的中させるため、王国中を奔走させられ疲労困憊のアルノ。


「おーっほっほっほ!!!!! 今日も愚民達にたくさん壺を買わせましたわーーーーー!!!!!」


 ポーラは高笑いをしながら、アルノを引きずって宿屋に戻ってきた。


「お嬢様……こんな悪徳商法をしてお金を稼いでも、お父様は喜ばれませんよ! むしろ、エスメラルダ家の恥です!」


「おだまりなさい!!!!! どんな手段を駆使してでもお金を稼ぐ!!!!! それが令嬢の正しい在り方というものですわ!!!!!」


 訳の分からないことを言いながらブチギレるポーラ!


 残念ながら彼女は“道徳”という概念を学んだことがない!


「私がこうしてたくましく生きていることを知れば、きっと天国のお父様は喜ばれます!!!!!」


「お嬢様! まだクロード様は死んでいません!」


「あら、そうでしたわね!!!!! 1話以来一切登場していないから、忘れていましたわ!!!!!」


 もう一度言うが、ポーラは“道徳”という概念を学んだことがない!


「まあこの際、“そんなこと”はどうでもいいですわ! 明日も私達は占いで大忙しですわよ! アルノはとっとと寝ていい夢見なさい!」


「は、はい……」


 そしてアルノは、死んだような目でベッドにもぐりこむのであった!


「さあ、明日も頑張りますわよーーーーー!!!!!」


 彼女はそう言うと、帰り道で買ってきたキャビアの金箔まみれ弁当を取り出し、ガツガツと食べ始めた!!!!!


「うめぇ! うめぇ! 壺を売って得た金で食べるキャビアの金箔まみれ弁当は絶品ですわーーーーー!!!!!」


 しかし翌日、事件が起こる!!!











 翌日! ポーラとアルノはいつものように路地裏へ行き、“占いやっておりますわ”とでかでか書かれた木の看板を立て掛けて営業を開始した!


 その時点ですでに多くの人々が詰めかけており、長蛇の列が出来上がっている!


「さあ迷える子羊の皆さん! 今日も天才占い師、マジェスティック・ポーラが皆様の悩みを解決いたしますわよーーーーー!!!!!」


「……じゃ、早速俺を占ってくれるかい?」


 そう言って最初に彼女の前にやって来たのは、怪しい雰囲気バリバリの謎の男性であった!


「ん? あなたは……何者ですの?」


「まあ、俺が何者かなんていうのは……今はいいじゃねぇか。とりあえず、座るよ」


 そして彼は、テーブルを隔ててポーラの対面に座る!


 彼女はまず、謎の男の風貌をまじまじと見つめた!


 髪は茶色い天然パーマで、それを肩のあたりまで無造作に伸ばしている! 顎には無精ひげが生えており、白いワイシャツをダンディーに着こなす30代半ばの男性だ!


 その見た目はまさにちょいワルおじさん! 若干死語のような気もするが、そんな言葉がぴったりだ!


「あんた、どんな予言でも百発百中なのかい?」


「ええ、もちろんですわ!」


 力強く頷いて肯定するポーラ!


 すると男は当然、彼女の隣に座るアルノを指さしてこう言った!


「ちょいと気になったんだが……そちらのお兄さんは何者だい?」


「彼は私の助手ですわ!」


「ふーん、なるほどね……」


 彼はそう言うと、ニヤリと笑いながら続ける!


「単刀直入に言うけどさ……アンタ、“イカサマ”だろ?」


「なっ!!!!!」


 突然の図星! 圧倒的図星!!


 しかし当然「はいそうです」とは言えないので、ポーラはムキになりながらも反論する!


「あなた、いきなり来ておいて失礼ですわね!!!!! 何を根拠にそんなことをおっしゃるの!?!?!?」


「うーーん……勘、かな……?」


 そして男は、おちゃらけたようにヘラヘラと笑った! 一見適当に言葉を紡いでいるようにみえるが、その実彼の瞳は鋭く、真剣そのものである!


「勘ですって!?!? そんな適当なこと言って……!!!!!」


 拳を握りしめ憤るポーラ! だがこの時、隣で沈黙を貫くアルノは明確に危機感を抱いていた!


(この男……只者じゃない……!)


 これまで様々な強敵と闘ってきたアルノだが、この謎の男が発するオーラはまさしく強者のそれ!


「マジェスティック・ポーラちゃん……だっけ? 君からはさ、占い師としての“パワー”を感じないわけよ」


 男がそう言うと、周りにいた民衆がざわつき始めた!


「ど、どういうことだ?」


「マジェスティック・ポーラ様が偽物!? まさか、そんなわけが……」


「ど、どちらを信じれば……!」


 するとポーラはバッと立ち上がり、


「ご心配なく、皆さん! 私の占い師としての能力は本物ですわ!」


と叫んだ!


 その言葉を聞いて、またニヤリと笑う男!


「じゃあ、占ってくれよ……“俺の名前”を、今ここで言い当ててくれ」


「え!?」


 ポーラ、焦る! アルノの力を借りても、この場ですぐに男の名前を調べ上げる、という事はさすがに不可能である!


「え、えーと……」


「どうした? 本物の占い師なんだろ? じゃあそれくらいできるよな?」


「で……できますわーーーーーーーーーー!!!!!」


 もはや完全にヤケクソ!


 ポーラは血眼で水晶をのぞき込み、そして唸った!


「あなたの名前は……えーと……えーと……」


(がんばれお嬢様……! いや、応援するのもおかしいか……)


 複雑な気持ちでポーラを見守るアルノ!


 そして彼女は、大きく口を開けて叫んだ!


「あなたの名前は“タケシ”ですわーーーーー!!!!!」


(そんなわけないだろ!!!!!)


 アルノ、驚愕! 圧倒的驚愕! ヤケクソにもほどがある!


 案の定謎の男はヘラヘラ笑い、


「お嬢ちゃん、諦めな」


と言ってきた!


「じゃ、今度は俺が“占って”やるよ」


「はい?」


 すると彼はおもむろに、ポーラの水晶に手をかざす!


「どれどれ、お嬢ちゃんの正体は……」


 そして数秒後!


 それまでおちゃらけたようにほほ笑んでいた彼が、不意に深刻な表情になった!


「アンタ……ずいぶん大変な人生を歩んできたみたいだな」


(! こいつ……まさか本物の占い師か!?)


 アルノがそんなことを考えていると、男はまた笑う!


「へへ。まあどんな事情があろうと、あんたのやってることはイカサマだ。償ってもらうぜ」


「ど、どういう意味ですの!?」


「壺を買った客に、金を返すんだ」


「なっ!?」


 なんという事だ! 謎の男は、ポーラが売っていた壺が完全なぼったくりであることまで見透かしていた!


 すると、彼の発言を聞いた民衆がまたざわつきだす!


「い、イカサマってどういうことだ?」


「マジェスティック・ポーラ様が……偽物ってこと?」


「あの壺はぼったくりだったのか!?」


 一瞬にして混乱しだす民衆達!


「ま、まずいですわ……!!!!! このままでは……占い師事業まで没落してしまいますわ……!!!!!」


 ポーラの顔が青ざめた!


 果たして、彼女の運命やいかに!


 次回、「占い師事業、没落!!!」に続く!!!

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