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第6話 「没落令嬢のインチキ占い!!!」

 前回までのあらすじ! “アイドル事業で荒稼ぎ作戦”はあえなく失敗に終わってしまったが、ここでめげるポーラではなかった! そんなわけで彼女が次に手を出したのは、占い師ビジネス! 紫色のドレスに着替えたポーラは、執事のアルノと共に路地裏に店を構えるのであった! すると早速1人目の客が来店! ジャンと名乗る商人は、笑顔が素敵な好青年であった!











「……まあそんなわけで、今日は占い師さんに相談したいことがあってここに来たんだ!」


「そうですの。では早速、お座りくださいまし」


「おう!」


 そしてジャンは、水晶の置かれたテーブルを隔ててポーラの対面に座った。


「……で、相談したいことというのは?」


「ああ、商売についてだよ。さっきも言った通り、俺はこの国の市場で商人をやってる。取り扱っている商品は野菜だ」


「健康的ですわね」


 ちなみにポーラは野菜を全然食べない! 何故なら主食がキャビアと金箔だから!


「この国から少し離れたところにある村に専属で契約している農家があって、俺は毎日荷馬車に乗ってそこまで行っているんだ。で、そこでもらった野菜を持ち帰ってここで売っている」


「なるほど。で、どんな問題が?」


 ポーラが聞くと、ジャンは深刻な表情で答えた!


「実は村まで行くルートは1つしかないんだけど、最近そこに凶暴なオーク達が住み着くようになったんだよ!」


「まあ! オークですって!?」


 ポーラ、驚愕! 圧倒的驚愕!


 ちなみにオークとは、この大陸に生息する野蛮な獣人のことだ!


 薄汚い緑色の肌と豚のような顔面を持ち、多くの個体が盗賊をして生計を立てている!


「つまり、そのオークのせいで村まで野菜を取りに行けず困っている……というわけですわね?」


 ジャンはコクリと頷いた!


「ああ、そうだ! ギルドにオーク討伐の依頼を出そうかとも考えたんだけど、ぶっちゃけ結構金がかかるからやりたくない!」


「それで、占い師である私のもとにやって来た……というわけですわね!」


「そういうことだ! アンタ占い師なんだろ? だったらさ、その水晶に念を送ったら、なんかこう……遠隔操作でオークを呪い殺せたりするんじゃねぇのか!?」


 この時! ジャンの話を間近で聞いていた執事アルノは、とある事実に気付いた!


(あ、このジャンとかいう奴……バカだな)


 この青年、完全に占い師を過信している!


 確かに呪いによる攻撃を得意とする“呪術師”という人々もいるにはいるが、占い師は別にそんなことはできない!


 というかそもそも、彼の目の前で得意げに水晶をのぞき込んでいるポーラは……占い師ですらない!!!


 ただのインチキ没落令嬢だ!!!!!


「ふむふむ……なるほどなるほど……見えてきましたわ……あなたの言うオークが!」


「え!? 本当か!?」


「はい!」


(お嬢様……またそうやって嘘をついて……)


 すると彼女は水晶に両手をかざし、何やらごにょごにょと呟きだした!


「ごにょごにょ……キャビア……ごにょごにょ……フォアグラ……ごにょごにょ……」


 そこで一拍置き、大きく息を吸って


「きえーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!」


と叫ぶ!


 ポーラの絶叫が王国の路地裏にこだました!


「な、なんだよいきなり大声出して……!」


 呆気にとられたような表情で言うジャン!


 するとポーラは、ニコリとほほ笑んで口を開いた!


「たった今、村までの道を塞いでいたオーク達に呪いをかけました!」


「マジかよ、凄いな!」


「はい!!!!! 私は凄いのですわ!!!!!」


(お嬢様……なんでそんなに平気な顔で嘘をつけるんだ……)


「数時間後には、オーク達は死ぬでしょう!!!!! ですので、明日からはまた村まで野菜を取りに行けますわよ!!!!!」


 彼女がそう言うと、ジャンは勢いよく立ち上がって


「ありがとうな、占い師さん! えーと、名前は……」


と聞いてきた!


「“マジェスティック・ポーラ”ですわ!!!!!」


 ドヤ顔で名乗るポーラ!!!!!


(お嬢様……なんですかその名前……)


 ださい、ださすぎる!!


「マジェスティック・ポーラ……長いから“マジェポさん”でいいか?」


「いいですわよ!」


(いいのですか……)


 思わず困惑するアルノ!


「じゃあマジェポさん、ありがとう! はい、これゴールドな!」


 そしてジャンはお金を置き、鼻歌まじりにスキップしながら帰っていった!


「たったの1000ゴールドですか……まあ良しとしましょう」


「そんなことよりもお嬢様。あんな嘘をついて……一体これからどうなさるおつもりなんです」


 するとポーラ……いや、“マジェスティック・ポーラ”は、いつものように悪魔のような笑みを浮かべながらこう言った。


「アルノ。今からジャンが言っていたオーク達を退治してきなさい」


「はい?」


「ようするに、ジャンがその道を通る前にあなたがオークを倒しておくのです。そうすれば、オークの死体を見たジャンが“あの占い師のおかげだ!”と信じ込んでくれるでしょう」


「あ、相変わらずなんという悪知恵……!」


「おーっほっほっほ! 今の私は天才没落令嬢占い師マジェスティック・ポーラ! 執事の力を使えば、私の予言は百発百中ですわーーーーー!!!!!」


 口元に手を当てて高笑いするポーラ!


「さあ、お行きなさい!!!!!」


「は、はい……」


 こうしてアルノは、ジャンが村へ向かう前に先回りしてオークを倒すことになった!











 早速王国を出発したアルノは、村までの道のりをひたすら歩いた。


 ジャンが言っていた通り、その街道は完全に一本道だ。周りは険しい山に囲まれており、迂回するルートはない。


(やれやれ……この間はアイドルプロデューサー、そして次は占い師か……ポーラお嬢様はこれから一体どこへ向かうのだろうか……。執事として非常に心配だ……)


 そんなことを考えながら歩いていると、唐突に目の前の草むらがガサガサとうごめいた。


「っ!」


 とっさに身構えるアルノ。


 するとその草むらから、勢いよく2体のオークが飛び出してきた。


「へっへっへ……よう、兄ちゃん!」


「悪いが、金を置いて行ってもらおうか……!」


 醜い豚面をゆがませながら笑うオーク達。2体ともその手には巨大な棍棒を握っており、既に臨戦態勢であった。


 オークは、人間よりも知能は劣るが、その分力が強い。もしもあのこん棒で殴られれば、ひとたまりもないはずだ。


 しかし──アルノは、冷静であった。


「……恐縮ですが、今からあなた達には死んでいただきます」


「あぁ?」


「なんだァ? てめェ……」


 怒気を孕んだ声色で凄むオーク。


 するとアルノは、白手袋をキュッとはめ直しながら口を開いた。


「そうですね……“6秒”……と言ったところでしょうか……」


 ──超COOL──。


 次回、「炸裂、執事神拳!!!」に続く!!!

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