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第5話 「占い師になって荒稼ぎ!!!」

 前回までのあらすじ! ボナパルト王国で一大ブームを巻き起こしていた男の娘系アイドル“あるのちゃん”であったが、人気は長くは続かない! アルノとポーラが2人で宿に戻っている場面を新聞紙にスクープされ、ファンの1人が激怒! そして、ステージの上で爆発魔法を発動しようとするのであった!











「うおぉぉぉ!!! 全て壊れてしまえーーー!!!」


 丸坊主の男がヒステリックに叫んだ!


「ま、まずいですわーーーーー!!!!! このままだと、アイドル事業まで没落してしまいますわーーーーー!!!!!」


 ポーラも半狂乱で叫んだ!


(くそ、このままじゃ会場の人達にまで被害が……!)


 冷静に状況を判断したアルノは、ポーラからマイクを奪い取り大声で叫んだ!


「皆、逃げろーーーーー!!!!! こいつ今から爆発するぞーーーーー!!!!!」


 それを聞いた観客たちは、あまりの衝撃展開に訳が分からず呆け顔になった!


 だが数秒後正気を取り戻し、


「お、おいマジかよ!」


「逃げるぞ!」


「うわーーー!!!」


と口々に言うと、我先にと出口の扉へ向かって走り出した!


 混乱! 圧倒的混乱!


 会場中が阿鼻叫喚の渦に飲み込まれる中で、遂に!


「うおぉぉぉおぉぉぉおぉぉぉおぉぉぉおぉぉぉ!!!!!!!!!!」


 坊主が限界を迎えた! 右手の魔法陣が一際強い光を放ちだす!


「うぎゃーーー!!!」


「お嬢様ーーー!!!」


 アルノは流石の反射神経でとっさにポーラに飛びつくと、彼女を守るために覆いかぶさった!


「あ、アルノ……!」


「何があっても、あなただけは!」


 結果的に強く抱きしめられるような形になり、ポーラは思わず顔を赤面させる!


 このキュンとするシチュエーションに、毎日恋愛カテゴリの小説を読み漁っているなろう読者の皆様もご満悦だ!!!


 そして!






 ドカーーーーーンッッッ!!!!!






 ライブハウス……爆発!!!!!


 激しい炎と爆風! 凄まじい轟音と土煙!


 繁華街の一角に位置する立派な建物が、一瞬にして粉々に砕かれた!


 そして瓦礫の山の中から突然、黒焦げアフロ頭の人間がポン!と顔を出す!


 そう、ポーラだ!


 彼女は口に入った土をペッ!ペッ!と吐き出すと、涙を流しながら


「トホホ~! もうアイドル事業はこりごりですわーーーーー!!!!!」


と叫ぶのであった!


 めでたしめでたし!!











 それから1週間後。ポーラは宿屋の自室で、死んだような目をしながらキャビアの金箔まみれ弁当を食べていた。


「はぁ……ひもじいですわ……。大好物のこのお弁当を、1日3食から2食に減らさないといけないなんて……」


「そもそも、その弁当を買うのをおやめになっては?」


 冷静に言い放つアルノ。アイドル事業は廃止となったので、服装はもうあのワンピースではなく定番の黒い燕尾服だ。やはり彼には、この服が一番似合う。


 幸いなことに、1週間前の爆発騒動による怪我人は1人もいなかった。しいて言えば、爆発を起こした張本人である丸坊主の男が、魔法の強大な負荷に耐えきれず光となって消滅したことぐらいだ。


 まあそれは彼の自業自得なのでノーカンである。


 しかしその結果、ライブハウスが破壊されたことによる損害賠償は全額ポーラが支払うはめになってしまった。


 というわけで、アルノがアイドル……すなわち“あるのちゃん”となって稼いだお金は、ほぼ消えたのだ。


「はぁ……没落令嬢は辛いですわね……」


「キャビアを食べながら言われても説得力ありませんよ」


「はぁ……先の未来さえ見えれば楽に儲けられますのに……」


「まったく……」


 するとアルノは、右手の人差し指をピンと立てながら口を開いた。


「いいですかお嬢様、世の中そんなに甘くはありません。お金を稼ぐなら地道な努力をするしかないのですよ。クロード様だって、貿易商として毎日コツコツ頑張っていらっしゃったのです」


 昔からエスメラルダ家に執事として仕えてきたアルノにとって、雇い主であるクロードは尊敬に値する素晴らしい人物であった。


 エスメラルダ家が王国一の栄華を誇ることができたのも、クロードが堅実に努力をしたからである。


 だからこそ、彼が脱税などという不名誉な罪で拘束されている現状が、アルノにはとても歯がゆいのだ。


「“未来が見えれば”とかそんな非現実的なことを言ってないで、まずは地道に働きましょう、お嬢様」


「未来が……見えれば……?」


 と、その時!!! ポーラの脳裏に電撃走る!!!


「そうか! これですわ!」


「え? 何がですか?」


 アルノが尋ねると、彼女はニヤリと悪魔のように笑って答えた!


「私……今日から占い師になりますわ!」


「はい?」


「国中の悩める人々の未来を言い当て、がっぽりとお金を稼ぐのですわー!」


「で、でも……お嬢様に占いをする能力なんてないでしょう!?」


「大丈夫! 私にいい考えがありますわーーーーー!!!!! おーっほっほっほ!」











 翌日! いかにも占い師らしい、ミステリアスな紫色のドレスに着替えたポーラは、アルノを引き連れて商売を開始した!


 王国の繁華街から少し外れた路地裏にテーブルと水晶を置き、その横に“占いやっておりますわ”とでかでかと書かれた木の看板を立て掛ける!


「これで準備はOK! あとはひたすら待つのみですわー!」


「本当に大丈夫なんですか?」


「心配いりませんわーーーーー!!!!! この天才没落令嬢占い師・ポーラにどーんとお任せなさい!!!!!」


「“天才没落令嬢占い師”ってなんですか……」


 天才没落令嬢占い師とはなんだ!!!


 それはさておき数分後!


 椅子に座って「暇ですね」「暇ですわね」とお喋りをしていた2人の前に、颯爽と男性が現れた!


「なぁなぁ! ここで占いをやってるって本当か?」


「ええ、やっておりますわー!」


 ポーラは笑みを浮かべ、お客様第一号であるその若者をまじまじと見つめる!


 髪はオレンジ色のショートヘアで、ラフな白シャツとズボンを身に着けたその恰好は、まさに“平民”! 身長も170センチと特別高いわけではない!






 ──だがしかし!






 ──顔が!






 ──イケメンであった!






 その青年は母性本能をくすぐる人懐っこい顔をしており、口元のえくぼが何とも可愛らしい!


 体はひょろひょろで全然筋肉質ではないのだが、それもまたグッド!


 全身から醸し出されるのは、小動物のような愛くるしいオーラ!


 何としてでも全力で守ってあげたくなる感じだ!


 これには思わず、毎日恋愛カテゴリの小説を読み漁っているなろう読者の皆様も再びご満悦!


「あなた……お名前は?」


「俺か? 俺の名はジャン! この近くの市場で商人をやってる!」


 そして青年──ジャンは、晴れ渡る太陽のようなまぶしい笑顔を見せた!


「よろしくな!」


 次回、「没落令嬢のインチキ占い!!!」に続く!!!

1か月間ぐらいは、なるべく毎日更新していきたいと考えています!

週末は1日2話更新が目標です!

応援よろしくお願いします!

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