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第4話 「アイドル事業、没落!!!」

 前回までのあらすじ! アイドル事業で一攫千金を狙うポーラは、執事のアルノを男の娘系アイドル“あるのちゃん”に仕立て上げてデビューさせた! 彼女の計画にいやいや協力するアルノであったが、彼の予想に反してあるのちゃんは大人気! 王国の男性達のハートを鷲掴みにする! こうしてポーラとアルノは、あっという間に大金持ちになった!











 そんなわけで今日も、アルノちゃんのライブは大盛況!


「私は甘いふわふわパンケーキ♪」


「「「ハイ! ハイ! ふわふわパンパン!!!」」」


 会場に詰め寄せた1000人以上のファンたちが、ステージ上で歌うあるのちゃんに合わせて、合いの手を入れたり独特のダンスを踊ったりしている!


 これは、俗にいう“オタ芸”だ!!!


「クリームみたいにとろける乙女♪」


「「「クリームたっぷりあるのちゃーーーん!!!」」」


「あなたのハートをずっきゅんばっきゅん♪」


「「「百発百中たまらねぇ~~~!!!」」」


(こいつらずっとうるせぇな……)


 ステージ上で歌いながら、ファン達のオタ芸に内心ドン引きのアルノ!


 しかし、ライブ中は何があろうと彼はあるのちゃん!


 ファン達は皆マイダーリン!


 故に、不愉快な顔を見せるわけにはいかない!


 アルノは今日もキャラになりきり、懸命に笑顔を振りまいてパフォーマンスをするのだ!











「はぁ……疲れた……」


「おーっほっほっほ!!!!! 今日も見事なライブでしたわ~~~~~!!!!!」


 その日の夜。


 いつものように疲労困憊のアルノと、いつものようにテンションマックスのポーラが宿の部屋に戻ってきた。


「お嬢様……いつまでこんなことを続けるのですか……?」


 フリルだらけのワンピースを脱ぎ捨て、うつろな表情で問いかけるアルノ。


「そうですわね! いい感じにゴールドもたまってきましたし、あと2週間ってところかしら! あとはそのゴールドを城の大臣なり衛兵なりにこっそりと渡せば、きっとお父様は牢屋から出られるはずですわ!」


「それってつまり……賄賂ですか?」


「そうなりますわね!!!!!」


 それを聞いたアルノは、眉間にしわを寄せた。


「そのやり方はあまり感心しませんね。賄賂を使って牢屋から出たとなると、“情報屋”が黙っていないかもしれませんよ」


 この国には、政治や貴族の色恋沙汰など様々な裏事情に精通した“情報屋”と呼ばれる人々がいる。彼らは独自のルートで情報を手に入れ、それを新聞会社に売ったりするのだ。


 そんな彼らのせいで大事な秘密が暴かれた政治家や貴族は数知れず。まさに壁に耳あり障子に目ありだ。


 そして、現在脱税の疑いで拘束されているポーラの父が突然解放されたとなれば、情報屋は不審に思うはずだ。裏で何が起こったか徹底的に調べ上げるだろう。その結果父が賄賂で解放されたことが明るみになれば、世論の反発はすさまじいものになる。


 しかしポーラは、余裕の笑みを浮かべていた。


「心配ありませんわ、アルノ! 情報屋と新聞社にも賄賂を握らせれば万事解決ですわよ! やはりお金は大正義ですわーーーーー!!!!!」


「な、なんという力業……」


「というわけですからアルノ! あなたは明日のライブに備えてしっかりと寝なさい! 次もがっぽりとお金を稼ぎますわよ~~~!!!」


 彼女はそう言うと、帰り道で買ってきた大好物・キャビアの金箔まみれ弁当をガツガツと食べ始めた。


「うめぇ! うめぇ! アイドルに稼がせたお金で食べるキャビアは絶品ですわーーーーー!!!!!」











 翌日! いつものようにライブハウスは満員御礼!


「マイダーリンの皆~~~♡ 来てくれてありがとう~~~♡ 今日もあるの(せい)からやって来ました、あるのちゃんで~~~す♡」


「「「あるのちゃ~~~ん!!!」」」


「「「今日も可愛いよ~~~!!!」」」


「「「俺のハートを撃ちぬいてくれ~~~!!!」」」


(こいつら、相変わらず今日も気持ち悪いな)


 内心毒づくアルノであったが、当然表情には微塵も出さない!


 満面の笑みで会場を見回し、マイクを握りしめた!


「それじゃあ、今日もいっくよ~~~!」


「「「うお~~~!!!」」」


 そして彼が大ヒット曲“ふわふわ♡とろとろ♡パンケーキ♡♡♡”を歌おうとした、まさにその瞬間!!!


「ちょっと待った~~~!!!」


 突然、観客席から1人の男が飛び出した! そして無理やりステージの上に上がる!


「えっ!? 何!?」


 驚きのあまり、思わず地声が出てしまうアルノ!


 すると乱入してきた丸坊主の男は、1枚の紙を突き出してきた!


「これを見ろ、あるのちゃん!」


「……?」


 アルノが目を凝らして見てみると、それは今日の日付の新聞であった! しかも夕刊! つまり、つい数分前に発行されたばかりのもの!


 政治情勢や有名人のゴシップなどのニュースが羅列された紙面の中に、一際目立つ見出しが!


「どれどれ……“売れっ子新人アイドルあるのちゃん、謎の女性と宿屋で同棲生活”……こ、これって……!」


 そこには、売れっ子アイドルである“あるのちゃん”が、毎日金髪の女性と一緒に宿で同棲しているという内容の文章が書かれていた。この金髪の女性とはもちろんポーラのことである。


 おそらく、帰宅中の2人を偶然見つけた情報屋が、新聞社にたれこんだのだろう。


(や、やられた……! ちょうど昨日、お嬢様に情報屋の恐ろしさを言ったこのタイミングで……早速してやられるとは……!)


「あるのちゃん……俺は君がデビューした日からずっとファンだったのに……君の一番のマイダーリンだったのに……! なのに、なんだよこれは! 女性と同棲ってどういうことだよ!」


 彼のその言葉を聞いた会場の人々が、怪訝な表情でざわつき始めた!


「あるのちゃんが……女性と同棲……?」


「そんな……信じられない……!」


「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」


 一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化すライブ会場!


 アルノはこの場を取り繕おうと、必死に考えを巡らせた!


「ち、違うのマイダーリンの皆! その女性は私のプロデューサーなの! とっても仲良しのお友達だけど、別に付き合ってるとかそういうんじゃ……」


 それを遮るように、丸坊主の男が仁王の形相で口を開いた!


「うるせえよ! もういまさら何を言ったって無駄なんだよ! 俺は……俺は、君のことを信じていたのに……なのになんだよ、宿屋で生活って! 毎日夜はあるの星に帰ってるって言っていたじゃないか! この王国までは日帰りで来てるって言っていたじゃないか!」


(いや怒ってるのそっちかよ! そんなもんただの設定だろうが! 信じるなよ! あるの星なんかねぇよ!)


 すると今度は、舞台裏から冷や汗だらだらのポーラが登場!


「ん? 誰だアンタは!」


 ポーラはアルノからマイクを奪うと、懸命に笑顔で


「わ、私が、あるのちゃんのプロデューサーをしている者ですわーー!!」


と言った!


 さらに、会場をゆっくりと見回しながら続ける!


「こ、この記事に書かれている情報には、一部誤りがありますわーー!! 確かに私とあるのちゃんは毎日同じ宿屋に入っていますが……別に、ここで寝泊まりをしているというわけではございませんわーーー!!!」


「ん? どういう意味だ?」


 首を傾げる丸坊主の男!


「実は、その宿屋の部屋には、あるの星まで繋がっているワープホールがあるのですわ~~~! アルノちゃんはライブが終わると、そのワープホールから母星まで帰っているのですわ~~~!!」


 ポーラ、狼狽しつつも必死のフォロー!


「なるほどな……」


 そう言いながら腕を組み、ふむふむと頷く丸坊主の男!


 そして!


「……って、そんなもん信じるわけないだろうが~~~!!!」


と大声を張り上げた彼は、突然右手を突き出した!


 すると、右手に光り輝く魔法陣が現れる!


 それを見たアルノは、一瞬で状況を把握した!


(まずい! こいつ……“爆発魔法”を使う気だ!)


 この世界には、魔法という力が存在する。炎や水、土や風といった自然のエネルギーを利用して発動するものだ。


 また、それらを上手く応用すれば激しい爆発を起こすことも可能である。


 丸坊主の男は、今まさにその爆発魔法を使おうとしていた。


「うおぉぉぉ!!! 全て壊れてしまえーーー!!!」


 ヒステリックに叫ぶ丸坊主!!!!!


「ま、まずいですわーーーーー!!!!! このままだと、アイドル事業まで没落してしまいますわーーーーー!!!!!」


 果たしてポーラの運命やいかに!!!!!


 次回、「占い師になって荒稼ぎ!!!」に続く!!!

たくさんの感想やポイント評価、本当にありがとうございます。

凄く励みになっています。


これからも頑張りますわーーーーー!!!!!


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