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第14話 「1000万ゴールド、盗難!!!」

 前回までのあらすじ! 王国の繁華街にあるカレーレストランに弟子入りしたポーラであったが、店長を務めるインド人・クリシュナさんが密漁の罪で捕まってしまう! 彼から店の経営を託されるポーラであったが、ぶっちゃけやりたくなかった! というわけで彼女は、パートの安西さん(51歳)と協力して無人の店内に放火! さらに店の金庫にあったお金と火災保険金を安西さん(51歳)と折半し、結果的に1000万ゴールドという大金を手に入れた! そしてポーラは、脱税の罪で捕まっている父を助けるために、そのお金をアルノに渡すのであった!











 アルノは今、ダッフルバッグを肩にかけ、真剣な面持ちで繁華街を歩いていた。


 彼が持つダッフルバッグには、なんと1000万ゴールドもの札束が詰め込まれている。肩がズシリと重い。


(し、慎重に運ばなければ……!)


 現在の時刻は昼の2時。それなりに人は多く、石畳で舗装された道を荷馬車がゆっくりと闊歩する様子も見受けられる。


 もしも何かトラブルがあって、このダッフルバッグを紛失してしまうようなことがあれば……アルノには腹を斬って詫びる以外の選択肢はないだろう。


(ポーラお嬢様が必死に貯めてくださったお金……絶対になくしてはいけない……!)


 実際は、これは彼女が店に放火して得たどす黒いお金である。が、そんなことは知る由もないアルノ。


 ひったくりに合わないように、通行人とぶつからないように、ゆっくりと丁寧に歩みを進める。


 最初の目的地は、まずお城だ。この繁華街を抜けた先に、ボナパルト王国の国王が住む立派な宮殿がある。そしてポーラの父・クロードは、その宮殿の地下にある牢獄に、脱税の罪で捕まっていた。


 そのため、城の大臣と衛兵に賄賂を渡して、クロードを解放してもらわなくてはならない。


 その次の目的地は新聞社だ。そこにも多額の口止め料を渡して、クロードが賄賂によって解放されたという事実を報道しないよう、取り計らう必要がある。


(やれやれ、これは大変な仕事だな……)


 アルノは、とにかく生真面目を絵に描いたような男であった。故に、誰かに賄賂を渡したり、口止め料を払ったりといったアウトローな行為は今まで一度もやったことがない。


 しかし、これもエスメラルダ家を復興させるためだ。アルノは腹をくくった。


 ──と、その時であった!!!


 彼の後方から、ドタドタドタッ!という騒がしい足音が聞こえてくる!


「……?」


 アルノが不審に思い後ろを振り返ると、なんとそこには!!


「うおぉぉぉぉおぉぉぉお!! そのバッグを渡せぇぇーーぇぇえい!!」


 そんな叫び声を上げながら全力疾走で迫りくる、身長3メートルの大男がいた!!


 その全身は筋骨隆々で、巨岩を思わせるたくましさ! 頭はスキンヘッドで顔は鬼のように厳つく、一目見て只者ではないと分かる容姿であった!


「な、なんだとっ!?」


 そんな彼の姿を見て、思わず面食らうアルノ! 反射的に、肩にかけていたダッフルバッグを両手で抱きしめた!


「どりゃあああい!!」


 するとアルノに肉薄してきた男は、唐突に右腕を振り上げる! そして、アルノの顔面目掛けて勢いよく殴りかかってきた!!


「!?」


 しかし、アルノはここでむざむざやられるような男ではない!


 何故ならば彼は──執事のみが使える最強の拳法、“執事神拳”を完璧にマスターしているからである!!


「ふん!」


 素早くバックステップをし、紙一重で大男のパンチを躱すアルノ! 敵の拳はむなしく空を切り、ブオンッ!という激しい音が響いた!


(なんて重く鋭いパンチだ……あんなのがまともに当たったら、ひとたまりもないな)


 アルノは冷静に相手の動きを分析すると、バッグを抱きしめたままその場で勢いよくジャンプ! そして、大男の厳つい顔面に跳び蹴りを放った!


「無駄だァ!」


 彼は暑苦しく叫ぶと身をかがめ、アルノのキックを避ける! その動きは、体のデカさに似合わず俊敏であった!


 さらにそのまま地面を蹴り、アルノにタックルを仕掛ける!


「オラァ!!!」






 ドシンッッッッッ!!!!!






「くっ!?」


 その突進をまともに喰らい、勢いよく後方に吹き飛ばされるアルノ!!


 まるで暴走する馬車に真正面からひかれてしまったかと錯覚するほどの、圧倒的衝撃が全身を襲った! そのまま彼は、時速300キロのスピードで石畳の地面に激突する!


「な、なんだなんだ!?」


「喧嘩か!?」


「おい、逃げようぜ……」


 周りにいた通行人たちが、厄介ごとに巻き込まれたくないという一心で蜘蛛の子を散らすように四方八方へ逃げていく!


(な、何者なんだ……コイツ……! ただのひったくりじゃない……!)


 突如襲い掛かってきたこの男は、ひったくり犯にしてはあまりにも戦闘慣れしすぎていた! 執事神拳を極めたアルノをここまで追いつめるとは、やはり只者ではないようだ!!


「あなた、一体誰なんですか……!!」


 アルノは1000万が詰まったズシリと重いバッグを抱きかかえながら、ゆっくりと立ち上がった!


 そんな彼を見下ろしながら、大男は堂々と叫ぶ!


「貴様に名乗る名前などないわーーー!!!!!」


「ふん、そう言うと思いましたよ……!」


(まずいな……この1000万ゴールドもの大金が入ったバッグを守りながら、この大男と闘って勝つ自信が私にはない……! ならばここは、逃げるのみだ!)


 そしてアルノは、何のためらいもなく相手に背を向けると、一目散に逃げだした!


「さらばです!」


「むっ、逃げるか! まてぇぇぇい!!」


 逃げるアルノを仁王の形相で追う大男! しかし、50メートルをわずか3秒で走る事の出来るアルノに追い付けるはずもなく、2人の距離はドンドン離れていった!


(よし、逃げ切れる! このまま城まで向かうぞ!)


 早馬のように繁華街を疾走しながら、遠くに見える宮殿を見つめるアルノ! ひとたび城の門をくぐりさえすれば、もうこの敵は追ってこられないはずだ!


 ──と、油断したその時であった!!


「甘いでヤンス!」


 右側の路地裏からそんな声がしたかと思うと、アルノの眼前を一陣の風が勢いよく吹き抜ける!


「こ、今度はなんだ!?」


 アルノは突然の出来事に混乱しつつ、それでも王宮を目指して全力で走った! だが不意に、自分の体が急激に“軽くなった”ことに気付く!


「……ん?」


 咄嗟に足を止め、そして手元に視線を移す! するとなんと……ない!!






 1000万ゴールドの入ったバッグが……ない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






「な……何ィーーーーー!?!?」


 アルノ、唖然! 圧倒的唖然!


 そして慌てて後ろを振り返ると、そこには誇らしげな表情でダッフルバッグを抱える小柄な男がいた!


「まったく、次は何が起こったんですか……! 誰ですか、あなたは!」


 アルノが語気を荒げながら聞くと、その小柄な男はニヤリと笑って


「へへ、教えないでヤンス!」


と答える!


 そんな彼のもとに、先程の大男が走り寄ってきた!


「おい、バッグは奪えたか!?」


「もちろん! ばっちりでヤンス!」


「よし!!! でかした!!!」


 どうやら、この2人は仲間のようだ! かたや身長3メートル、かたや身長1.5メートルという何ともアンバランスなコンビだが、その実力は本物である!


 現に、こうして運動神経抜群の最強執事・アルノからダッフルバッグを奪ったのだから!


「よーし、そんじゃあ逃げるぞ!」


「了解でヤンス!」


「お、おい! ちょっと待て!」


 すると2人は、アルノには目もくれずにそそくさと繁華街の路地裏に入っていった! その後を慌てて追ったが、この王国の路地裏は迷路のように複雑に入り組んでいる!


 そして彼はすぐに、2人の行方を見失ってしまうのであった!


「し、しまった……! 1000万ゴールドを盗まれてしまった……!」


 路地裏の一角に呆然と立ち尽くし、青ざめるアルノ! 果たしてどうなる!?


 次回、「すまん、次の展開まだ考えてないからタイトルも未定」に続く!!!

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