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第13話 「カレーレストラン、没落!!!」

 前回までのあらすじ! と言いたいところだが、前回の更新から5か月も経ってしまったので、正直作者もあまり覚えていない! 各自で前回のエピソードを読み返して復習してくれ!











「困りましたわね……! お店を経営した経験なんて、私ありませんわよ!」


 クリシュナさんがサラマンダーの鱗を密漁した罪で密漁規制協会に捕まってから数分後!


 このカレーレストランの経営をクリシュナさんから託されたポーラは、テーブルに突っ伏して今後どうするべきか頭を悩ませていた!!


 するとその時、店にパートの安西さん(51歳)がやって来た!


「こんにちはー。あら、ポーラちゃん1人なの? クリシュナさんはどこに?」


「実は、かくかくしかじかでして……」


 ポーラがここまでの経緯を話すと、安西さん(51歳)は困り顔で腕を組んだ!


「うーん……それは大変なことになってしまったわねぇ……」


「そうなんですのよ……お店の経営なんて、私できませんわ……! 確定申告とかめんどくさそうですし……」


 説明しよう! 確定申告とは、めんどくさいのだ!


「力になってあげたいけど、あたしもそういうのはからっきしなのよねぇ……」


 そう言って眉間にしわを寄せる安西さん(51歳)! 彼女はただの51歳のパートなので、ポーラ同様お店を経営した経験などない!!


するとポーラは、何かを閃いたような顔で「そうですわ!」と手を叩いた!


「どうしたの、ポーラちゃん? いい案でも思いついた?」


「このお店を閉めてしまえばいいのですわ!」


 唐突に身もふたもないことを言い出すポーラ!


「いやいやポーラちゃん! クリシュナさんからお店を任されているんでしょ? だったら、あの人が戻ってくるまで頑張ってこのナマステ庵を切り盛りしないと……」


「大丈夫ですわ、安西さん(51歳)! “やむを得ない理由”でお店を続けられないという状況を作り上げればいいんです!」


「“やむを得ない理由”……?」


 彼女が何を言っているのかまるで理解できない安西さん(51歳)は、ただただ首を傾げるのであった!





















 翌日!!!!!





















 ボナパルト王国の繁華街にあるカレーレストラン“ナマステ庵”は!!!!!





















 全焼した!!!!!





















 それからさらに1週間後。ポーラがいつものように宿屋のベッドに転がってソシャゲをしていると、そこに執事のアルノが日雇い労働を終えて帰ってきた。


「ただいま帰りましたお嬢様」


「んー」


「あれ……そういえばお嬢様、最近毎日宿屋にばかりいますけど……確か以前、繁華街にあるカレーレストランに弟子入りしたとかおっしゃっていませんでしたか? そのお店にはいかなくて大丈夫なんですか?」


 するとポーラは、スマホから顔を上げて平然とこう言う。


「ああ、そのお店なら事故で火事になって全焼しましたわ」


「え!?」


 思わず驚愕の声を上げるアルノ。


「そ、そういえばこの前の新聞にそんな記事が載っていたような……」


「そうそう。そこが弟子入りをしていたお店ですの。火事が起こった時は真夜中で店内に誰もいませんでしたし、周りの建物に火が移ったりもしなかったから、幸い怪我人はいませんわ」


「なるほど、そういうことでしたか……ご愁傷さまです、お嬢様。そんなことがあったなら、早くおっしゃって欲しかったのに……」


「気にしないで大丈夫ですわ、アルノ。カレーレストランが没落してしまったのは残念ですけれど、そういうこともあるのが人生というものですわよ」


 察しの良い読者の皆様であればもう気が付いているだろう……そう! ナマステ庵が全焼したのは、事故が原因ではない!


 ポーラが無人の店内に火を放ったからである!


 ちなみに共犯者は安西さん(51歳)! 最初はナマステ庵に火を放つというポーラの計画に難色を示していたのだが、彼女から「このお店の金庫にあるお金と、火災事故後に支払われる火災保険金。これを2人で折半して、後はおさらばすれば大丈夫ですわ」と言われ、結果的に協力することになったのだ!


 問題はクリシュナさんの存在だが……もしも裁判で有罪判決が出たならば、彼は強制的に国外追放となるので多分ばれないと思う!!


 裏でそんな邪悪な計画が動いていたとも知らず、アルノは心配そうな顔でポーラを見つめた!


「お嬢様……やっとカレー作りという熱中できることを見つけられたのに、肝心のお店が火事で全焼してしまうなんて……。私、自分のことのように悲しいです」


「その気持ちだけで充分ですわ、アルノ」


 そう言いながらガチャを回すポーラ! もう読者の皆様に一々説明するのも面倒なのだが、この世界にだってスマホやソシャゲぐらいはある!


「しかしポーラお嬢様……」


「本当に気にしなくて大丈夫ですわよアルノ。カレーならまたいつか別のお店で作ればいいじゃない」


 ちなみにポーラはもう普通にカレーに飽きている!











「さて……ところでアルノ」


 ソシャゲを終えたポーラは、いつになく真剣な表情でアルノの顔を見据えた。


「……? どうしました、お嬢様」


 すると彼女が突然、ベッドの下から“あるもの”を取り出す。


 それはなんと、ピラミッド状に積み上げられた分厚い札束であった。


「お嬢様、そのお金は……!」


「カレーレストランで働いて貯めたお金、1000万ゴールドですわ」


「い、1000万ゴールドもですか!?」


 アルノが唖然としながら尋ねると、彼女はコクリと頷いた。


「ええ。カレーレストランって結構儲かるみたいですわよ」


 無論嘘である。彼女がクリシュナさんのもとで修行していた時にもらった給料は、総額20万ゴールド。しかしこの20万ゴールドも、彼女の大好物であるキャビアの金箔まみれ弁当に消えた。


 つまりここにある1000万ゴールドは、ナマステ庵の金庫に残されていたお金と、放火後に火災保険金として舞い降りてきたお金を、パートの安西さん(51歳)と折半して得たものなのである。


「さあアルノ、いよいよ動く時が来ましたわよ」


「え? 動くって、一体何がです……?」


「もう、忘れたの? 捕まっているお父様を解放するのですわ!」


 彼女のその言葉を聞いて、アルノは驚きに目を見張った。


「お、お嬢様……忘れていなかったのですね……!」


「当たり前じゃないの。いい? アルノ。このお金を、城の大臣や衛兵に渡してお父様を解放させなさい。ついでに、街の新聞社や情報屋にも口止め料として渡しておくのを忘れては駄目よ」


 ポーラの父・クロードは、現在脱税の疑いで牢獄の中にいる。その彼が突然解放されたとなれば、不審に思った新聞社や情報屋が裏で何が起こったか徹底的に調べ上げるだろう。


 そのため、クロードが賄賂で釈放されたと世間に知られないようにするためには、口止め料を払う必要があるのだ。


「ようやく、クロード様を救えるのですね……!」


「そうですわよ」


 ポーラが……あの、ポーラが!!


 物語の本筋を、進めようとしている!!


 これには読者の皆様も開いた口が塞がらない!!


「分かりました……早速行動を始めます、お嬢様!!」


「ええ!」


 そしてポーラは、ベッドの下に隠していた1000万ゴールドにも及ぶ大量の札束をダッフルバッグに詰め込んだ!


 そのバッグを真剣な顔つきで受け取るアルノ! 当然、こんな大金を手にするのは生まれて初めてのことだ!


「では、行ってまいります!」


 遂にポーラの父・クロードが、牢獄から出る時が来たようだ!!


 次回、「1000万ゴールド、盗難!!!」に続く!!!

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