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第11話 「カレーは辛ぇ!!!」

 前回までのあらすじ! アルノにカレーを食べさせたもらったポーラは、そのあまりのおいしさに衝撃を受けた! そして彼女は一念発起! 早速ボナパルト王国の繁華街にあるカレーレストラン“ナマステ庵”に殴り込みをし、最強のカレー職人・クリシュナさんのもとで修行をすることになった!











 ポーラがクリシュナさんの弟子になった、その日の夜!


 時刻は午後10時!


 営業時間を終えて店を閉めたクリシュナさんは、早速弟子となったポーラを連れて“とある場所”にやって来た!


 そこは、王国を出て20分ぐらい歩いたところにある森!


 神々しい月の光が木々の隙間から降り注ぎ、静かな森の中を優しく照らしていた!


「く、クリシュナさん……こんな時間に森に来て、一体何をしようというの?」


 辺りをせわしなく見渡しながら、先を歩くクリシュナさんに尋ねるポーラ!


 すると彼はクルリと振り返り、


「いいですかポーラさん。今からカレー作りで最も大切になる“スパイス”の調達を行います」


と答えた!


「あら、それでしたら市場で買えばいいじゃない!」


 しかしクリシュナさんは、首をブンブンと横に振る!


「良いカレーは良いスパイスから。抜群の鮮度を誇るスパイスを手に入れるためには、料理人が自ら調達に行く必要があります」


「なるほどですわ! カレー作りにかける情熱……流石ですわね!!!!!」


「夜ですから、あまり大声を出さないでください」


「分かりましたわ!!!!!!!!!!」


 ポーラは大音量で叫んだ!!!











 それからさらに数分後!


 2人は、森の奥まで到達した! そこにはぽっかりと穴が開いた謎の洞窟があり、いかにも怪しい空間といった感じだ!


「ところで、スパイスとはそもそもなんですの? 植物ですの?」


「多くの人々は、スパイスを植物だと勘違いしています。ですが、それは大きな間違いです」


「あら、本当ですの? 知りませんでしたわ。じゃあなんですの?」


「まあ見ていてください。ほら……ちょうどスパイスが“来ました”よ……」


 そう言って、不意に洞窟の中を指さすクリシュナさん!


「え……?」


 その時! ポーラは恐ろしい光景を目の当たりにした!!


「な、なんですのあれは……!」


 驚くべきことに!


 超驚くべきことに!!


 超超驚くべきことに!!!


 洞窟からのそのそと出てきたのは──






 ──全長5メートルにも及ぶ、巨大なドラゴンであった──!!!!!






 ぱっと見は巨大なトカゲ! しかし背中には蝙蝠のような形状の翼が生えており、そのぎょろりとした瞳は赤く光っていた!


「あのドラゴンの名は“コリアンダー・サラマンダー”。あまり知られていないのですが、コリアンダーというスパイスはあのドラゴンの鱗を削って作られています」


「う、嘘ですわよね……?」


「いいえ、“本当(ガチ)”です」


「う、嘘ですわよね……?」


「インド人、嘘つかない」


 これは衝撃の事実と言わざるを得ない!


 なんと、カレースパイスはドラゴンの鱗から生成されていた!!!


「じゃあクリシュナさんは、毎日ドラゴンと闘ってスパイスを入手していますの?」


「そうなります」


「やばいですわね!」


「やばいです」


「それで……あんな怪物と、どうやって闘うんですの?」


「ふふ……見ていてください」


 するとクリシュナさんは、余裕の笑みを浮かべたまま数歩前に出た!


 そして、グルルル……と低く唸るドラゴン──“コリアンダー・サラマンダー”の前に立ちはだかる!


 その圧倒的なまでの体格差は、もはや比べるまでもない!


 間違いない、このままではクリシュナさんは……あのドラゴンに踏みつぶされてしまう!


「あ、危ないですわーーー!!!」


 思わず叫ぶポーラ!


 だがしかし、次の瞬間!!


 クリシュナさんは深く息を吸い、カッと目を見開いた!!!































「破ァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」































 クリシュナさん、叫ぶ! はちゃめちゃに叫ぶ!!


 その叫び声の文字数、圧巻の602文字!!!


 それと同時に、彼の口から猛烈な勢いで火が噴出してきた!!!


「な、なんですってーーー!?!?」


 ポーラ、唖然! 圧倒的唖然!!


 その姿はまるで大道芸人、あるいは火遁の術を使うニンジャだ!


 そしてクリシュナさんがドラゴンにその猛烈な火炎攻撃を当て続けると、敵は「ウゴアァァ!!」と苦しそうに叫びながらUターン!


 洞窟の中にのそのそと戻っていった!


「あ、あのドラゴンをいとも簡単に撃退しましたわ……」


「ふふふ……どうです、凄いでしょう」


「ええ、まさかクリシュナさんが炎魔法の使い手だったなんて」


「いえいえ、これは魔法ではありませんよ」


「えっ!?」


 またしても驚愕するポーラ!


「じゃああれは一体……」


「カレーを愛する心があれば、誰でも火を吹くことができます」


 彼はニコニコの笑顔であっさりと言ってのけた!


「な、なんですってーーー!?!?」


 ポーラ、唖然! 圧倒的唖然!!


「ですから、ポーラさんも練習すればきっと火を吹けるようになりますよ」


「そうなんですの?」


「ええ。カレーを愛する気持ちを常に持ち続けてください」


「分かりましたわ!!!!! これからも頑張りますわ!!!!!」


「その意気です! ところで、あれを見てください」


「ん?」


 クリシュナさんが指さしたのは、先程までドラゴンがいた場所! そこに、茶色く光る鱗が落ちていた!


「あの鱗を削れば、新鮮なコリアンダーが手に入ります」


「まあ、そうですのね!」


 ポーラは腕を組み、感心するように頷く!


「この調子で、今夜のうちに“ターメリック・サラマンダー”・“クミン・サラマンダー”・“パプリカ・サラマンダー”を倒して、それぞれのスパイスをGETしていきますよ!」


「了解ですわ!!!!!」


 美味しく、それでいて刺激的な(から)さを提供してくれるカレー!


 だがカレー作りの裏側には、こんなにも過酷で(つら)い道のりがあったのだ!











 一方その頃、執事のアルノは!


「はぁ……暇だなぁ……」


 そう言ってため息をつきながら、テレビゲームをしていた!


 もうこの小説を11話まで読んできた読者の皆様であれば疑問を持つことはないと思うが、念のため説明しておこう!


 異世界にもテレビとテレビゲームぐらいある!


 次回、「カレーマスター・ポーラ爆誕!!!」に続く!!!

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