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森の中での出会い〜4〜

※出産に対し直接的な表現があります。苦手な方はスキップをお願いします。

「もうすぐ赤ちゃんが生まれて来てくれる。陣痛の波に合わせていきんでみよう。」


辛そうに呼吸をしているお母さんの背をさすりながら、陣痛の切れ間に深呼吸を促す。


私は頃合いを見計らって、赤ちゃんがいつ生まれてきても良いようにお母さんの股の方へ移動した。


病院では、滅菌されたゴム製の手袋・ガウンを着て、おまけにゴーグルとマスクを装着してお産に臨むが、そんなものここにはない…


合併症や感染症がない事を信じるしかない。


少しずつ、赤ちゃんの頭が先進してくる。私は、片方の手で赤ちゃんが出てこようとする速度を調節し、産道が傷つかないよう細心の注意を払った。


少しずつ、少しずつ…お母さんは強い努責感を感じるが、ここは我慢してもらうしかない。


「…っっ‼︎」


赤ちゃんの頭部の一番大きい部分(赤ちゃんは構造的に頭が一番大きく重く、耳の上の骨が飛び出した部分の全周が一番大きい)が出た‼︎


「…っ力を抜いて、はぁーって、深呼吸して‼︎」


私は、産道の形に合わせて回転しながら降りてくる赤ちゃんを支えた。


「…ゥアア゛〜ン‼︎」


幸い、生まれてきた赤ちゃんはすぐに泣いてくれたため、お母さんが持っていた布(…薄いタオル?)で羊水を拭き取る。


「2人ともよく頑張った‼︎おめでとうございます」


「っはぁ、はぁっ、はぁー…」


お母さんが、安堵とも疲労とも取れる深呼吸を繰り返す。赤ちゃんを冷やさないように、お母さんに赤ちゃんを抱いてもらうと、なんとも言えない、慈しむような笑顔を赤ちゃんに向ける。


「…良かった。2人とも、元気そう…」


産道の裂傷はとりあえずなさそうだ。さて…臍の緒を切らねばならないのだけど、何かあるかな…


お母さんにハサミかナイフがないかをダメ元で確認すると、籠の中に色々あるとの事で、物色させていただいた。


裁縫道具のハサミや糸を、火がなかったためとりあえずアルコール度数が高そうなお酒で消毒し、臍の緒を処置した。


胎盤も娩出したが、良かった…出血も多くない。


とりあえず、手を洗うか…と、私は震える足でなんとか立ち上がり、フラフラと池へ近づいた。

読んで下さり、誠にありがとうございます‼︎

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