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序章〜2〜
「すみません、伊藤さん‼︎1号分娩室、お産になります‼︎」
バタバタと慌て始めた新人助産師に進行状況を確認し、嫌な予感がしたため一緒に内診(指で直接子宮口の開き具合を確認する医療処置)を行う。
「はい、息を吐いてー、フーですよー」
30代の初産婦、妊娠39週、母児ともに標準的な妊娠経過を辿ってきたが、24時間前に自然破水するも陣痛が来なかったため、陣痛促進剤を使用している。
「子宮口は全開してるけど、赤ちゃんの位置が高いままだ…児頭の回旋(産道の形に合わせ、胎児が少しずつ回りながら降りてくること)がおかしい」
こういう時の予感はよく当たるものだ。
「山藤さん、ドクターを呼んで」
少し青ざめた新人助産師が、ドクターコールをした。
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