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悲しい世界〜6〜

バッと叫び声のした方を見ると、炎の側で女性が悲痛な表情を浮かべて人を探しているようだった。


「待ってて‼︎今助けるからっ…」女性が炎に飛び込もうとするのを数人が押さえ込む。


「離してっ…ヒューイはきっとこの中にいるのっ…‼︎行かせてぇ‼︎」


胸が張り裂けそうな程の叫び声に、思わずギュッと手を握りこんだ。その時、またバチッと静電気が弾ける。


「…魔力⁉︎まだ魔力持ちが残っていたのか⁉︎」


「マ、マリョ…ク…⁉︎」口慣れない言葉にドギマギしながら声の主を見る。白髪で片眼鏡のお爺さんが私の肩を掴んだ。


「あんたその魔力の使い方を知っておるか⁉︎」


私は首をブンブンと横に振った。生まれてこのかた魔法なんて使った事がない。…ハズ。


「イメージじゃ‼︎あんたの持つ魔力で、何を成したいか、守るのか、傷つけるのか、どこに向かっていくのか…あんたの魔力が導いてくれる。この状況、あんたならどうにかなるかも知れん‼︎この場に来たのも、恐らくあんたの魔力が導いた結果じゃ‼︎」


お爺さんに肩をガクンガクンされながら言い切られる。理解はまだできない…が、胸の奥に暖かい何かを感じる。これが、魔力なのだろうか。


よっしゃイメージ…イマジネーション…アラフォー女の想像力をナメンナヨ‼︎


むむむ…と火を消すイメージをしてみるが、一向に火は消えない。涙目になりそうなのを必死に堪え、むむむ…とイメージし続ける。ギュッと握った手にはバチバチと魔力が弾けるのに、どうして火は消えないのっ⁉︎






「…お願い、あの子を、どうか…たすけて…」


その声を聴いた瞬間、私の手から金色の光が大きく霧散し、火を包み込んだ。と同時に火が消える。どうしてだろう…頭の芯がボウっとして、何も考えられない。私は火が消えた瓦礫の中へ進み、その中心にしゃがみ込んで手をついた。ブワッと瓦礫が浮き、その中に倒れ込んでいた少年を抱き上げる。


全身に火傷を負っている…けど、心拍はあるし、ちゃんと呼吸もしている。強い子だ…


私の手の平から金色の光が少年に移り、致命傷と思われる傷のみ治っていく。金色の光が消え、少年の呼吸が落ち着いたのを確認して、女性に少年を託す。私が覚えているのは、ここまでだった。

お読みいただき誠にありがとうございます‼︎

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