悲しい世界〜1〜
私の全身にまとわりついた金色の光は、何やら暖かくて心地よい。ついでに息も苦しくない。
あ、これはいよいよ死んだな〜なんて、お気楽極楽に構えていたが、グングン池の底に引っ張り込まれていくものだから、流石に怖くなってきた。
地上の光は最早届かず、見えるのは光っている自分だけ。手を伸ばすと、暗闇に手が溶けてしまいそうだ。
ギュッと自分自身を抱きしめ、次に何が起こっても大丈夫なように身構える。
足が恐らく池の底に届いた瞬間、全身にまとわりついていた金色の光が弾けて泡のように消えた。
反射的にギュッと閉じた瞼を、恐る恐る持ち上げる。
『…グスッ、グスン…』
私の数歩先で、腰まで届きそうな美しい銀髪を携えた少女2人が、互いに手を握り合い、大粒の涙を零しながらしゃがみ込んでいた。
どうしてだろう、私は、この子達を、知っている気がする。大粒の涙を見て、2人の嗚咽を聞いて、胸が締め付けられるように苦しかった。
どうか、どうかそんなに悲しまないで欲しい。居ても立っても居られず、2人の側に行こうとした。
「…っ⁉︎」
が、何故か私は瞼以外動かせず、声も出せない。
途端に、ゴボゴボと呼吸ができなくなり、ここが池の中だと思い知らされた。苦しくて、どうしようもなくて、ただ踠いていると、いつの間にか近づいてきていた2人の少女が私に言った。
『…ごめんなさい。』
『…あなたを、巻き込んでしまって。』
『…あなたを、守るから。』
『どうか、この世界を…』
『…壊して。』『…救って。』
お読みいただき誠にありがとうございます‼︎