一章 転生編 0話 森の中でこんにちは、そしてサヨウナラ。
気付いた時は森の中。鬱蒼と茂る巨木、周りは木と石と、背丈の低い草に囲われており、人の気配も感じない。
(ここは何処だ?何が何だかわからない!)
混乱の中、誰かの助けを求めるために叫ぼうとするも…、体が思うように動かず、立ち上がるが出来ない。うまく声も出せず、必死で声を振り絞り助けを呼ぼうとする。
「オギャーオギャー、オギャーァァ」
何処からか赤ん坊の泣き声がする。大分距離は近い。人並みの正義感で助けなければならないと考え、少し冷静になりその時自分の手が目に入る。
(この小さな手は、赤ん坊の手?え、俺の手?どういう事だ?)
混乱の中で、自分の状況を確認する。体が動かないのは健斗が赤ん坊であるから。今、聞いた赤ん坊の声は自分の声だったということに気づく。
「ギー」
その時、草むらから緑色の大きな猿に似た何かが飛び出してくる。猿に毛は無く、手には斧や錆びた剣を持ち、汚い腰巻を付けている。数は三匹。健斗はそれを見てゲームや映画で見たゴブリンを思い出していた。ゴブリン達は素早く健斗を三方向から囲い、距離を詰めてくる。
(ああ、分かったこれは夢だ。悪い夢なんだ。早く覚めろ!)
健斗は心の中で叫ぶも、次の瞬間には激痛でこれが現実であると気づかされる。ゴブリンは錆びた剣を健斗の右腕に振り下ろした。錆びた剣、一太刀では腕を切断できず、ノコギリのように健斗の腕を切り裂いていく。
「オギャー」(やめろ、やめてくれ!!)
ゴブリン達が健斗の鳴き声に対して嬉しそうに笑った気がした。切断された腕に1匹のゴブリンが食いつきながら、一方のゴブリンは健斗の首に斧を振り上げる。
次の瞬間には赤ん坊になった健斗の首が森の中に転がっていた…。
処女作品です。小説家になろうに出会って1年とちょっと。自分も書いてみたいなぁと思い書き始めました。毎日1話更新は難しいですが、その気持ちで頑張ります。文章力は徐々に高めたいと思っていますので、ご意見、ご感想等よろしくお願いいたします^^