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不思議仕掛けの部屋

 ひよりの声と同時に、とんでもない勢いで部屋の中に吸い込まれた。

 背後でバタンっ! と音を立てて閉まる扉。

 目の前は真っ暗で、何も見えない。

 ……って言うか、何をどうしたらこんな仕掛けが作れるわけ? ある意味、ひより凄いわ……。


 突然、目の前がギンッと光った。

(——まぶしいっ!)

 反射的に、目を瞑ってしまう。

 一体、何がどうなっているのだろうか?


 キーンコーンカーンコーン♪


 突然鳴り響く、軽やかな学校のチャイム。

 目を開くとそこは……見慣れた学校だった。

(は? 何で?)

 ポッケの中のスマホをちらりと確認したが、それはなぜか圏外。もし連絡がつくなら、ひよりに連絡を取ろうと思ったのに……。


 ガラガラっ。


「みんな、今日も騒がしいねえ。今日はよろしくね」

「はーい!」

「まっかせといてよ先生!」

 入ってきたのは、1人の教師。しかし、うちはその人を知らない。中学校の教師なら、全員把握してるのに……何がどうなってるわけ?

 しかも中学校なのに、小学校の先生と児童みたく教師と生徒が仲がいいし、なんかよく分からない……。まるで夢の中のようだ。

「——紗衣さん。山本紗衣さん」

「は、はいっ!」

 唐突に真剣な面持ちで声をかけられ、思わずピシッとした返事をしてしまう。周りの人たちからクスクスと笑われ、顔が熱くなるのが分かる。

「この学校で1日過ごすのが、貴方のミッションですよ。1日過ごせたら、紙のありかを教えましょう。過ごせなかったら……分かっていますね?」

 ミッション……紙のありか。この言葉で、突然現実に引き戻される。

 これがミッションって……ていうか、何で学校にいるわけ? この人誰なの? 部屋に吸い込まれたり扉が勝手に閉まったのは?

 ——よく分からないけど、そんなことを言っていても仕方がない。ここで最後まで過ごせなかったら紙は見つけられず、戻っても罰ゲームが待っているだけだ。罰ゲームは……やだなあ。

「——はい」

 うちはうなづいてみせる。

「なら、そこの席に座って。——授業を始めます」


 指定されたのは、廊下側の一番端、一番後ろの席だった。そこに座って、ふう、とため息をつく。

 ……さて。肝試しかと思いきや学校に来ちゃうし、なんかよく分かんないけど授業始まったし、みんなには別の部屋にいるから会えないし、スマホは使えないし、色々状況は掴めないけど、取り敢えずつまんないからあの子をいじってよっかなー。学校ならいるはずでしょ、あの子……。

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