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RPGの世界で生き残れ! アラサー女の恋愛戦線  作者: 甘人カナメ
第三章 ゲームのストーリーよ、さようなら
52/136

52.二つの案件を同時進行って、大変じゃないですか!?

体調不良により、しばらく変則的な更新になります。



 レオナルド様の無茶ぶりにも淡々と応じたマークは、知らせを受けて最初に戻ってきた国軍隊長――完全なモブだったから私は名前も覚えていなかったけれど、ロバートさんと言うらしい――よりも早く、草案を完成させた。

 まだ全員揃うまでは少しかかるらしく、すぐにブラッシュアップし始める。


「う……また頭痛が」

「無茶するから」

「しかたあるまい、無茶すべき局面だからな」


 水分と糖分摂取のために強制的に休憩を入れ、ついでにマッサージ。

 補佐官というより、秘書官のようになっている気がする。いや、秘書さんもちゃんといるんだけども。むしろ単なる雑用係か。

 そりゃね、読み書きできない、策もろくに立てられない、なのに肩書きは補佐官っていうのがまずおかしいんだよね。

 マークが忙しくなったために、私の勉強の添削も中断せざるを得ないから、私は雑用係の傍ら自主勉強って状況。


 私のことはさておき。

 残念ながら、今使った分でアロマオイルはおしまい。

 ソニア様にもせっつかれていたし早々に先生と話したいけれど、私自身も忙しくなったせいで、そちらの仕事? は、現在足踏み状態。

 ソニア様には「試作品一号がなくなる頃にはもう少し詳しい話を聞かせろ」って内容のことを言われたんだよね。どうしたものかなぁ。


(うーん、もう先生に丸投げしちゃってもいいかな……でも先生は医者だから、こんな些末なことをお願いするのも気が引けるし)


 考え込みながら、マークの頭痛薬を貰うために医務室へ向かう。

 と、医務室には、先生と看護師のココさんの他に、私と同年代の青年がいた。


「すみません、患者さんでしたか?」

「ああ、ちょうど良い所に来た。トニー、この子が例の依頼者だよ。

 ミワ、アロマオイルを担当している薬師だ」


 あぁ、即行で試作品を仕上げてくれた薬師さん。

 慌てて挨拶をする。

 

「どうも。その節はお世話になりました」

「いえいえ、こちらも楽しいので。はい、改良品です」


 改良品? え、私、あれから特に頼んでいなかった気が……?


「どうやら、アンタよりも周りの方が乗り気になっちまったようだね。

 奥様があちこちに圧力かけてるよ」

「ひぃっ」


 思わず小さな悲鳴が出た。

 通常業務やOJT――業務内教育――で忙しい中、部長直々のプロジェクトを追加で担当させられた、社会人2年目の秋を思い出す。

 先輩も何人かプロジェクトメンバーに入っていたとはいえ、あれはなかなかキツかった。


「単なる、私の生活の質の向上が目的だったのに……ソニア様、本当に城外に広めるつもりだったんですね……」

「あの人は本気だよ。ついでに薬師室も本気だ」

「ひゅっ!?」


 また変な声が出てしまった。

 しかし、動き出してしまった話はもうしょうがない。

 ココさんがお茶を淹れてくれたので、私も椅子を引っ張ってきて机を囲んだ。

 少しくらい職場から離れても問題ないよね……?




 ******




 さて、まずは渡された改良品の確認から。


「これ、どういう改良をされたんですか?」

「うん。実際に手に出してみてください」


 ん? 前よりも少しさらっとしている?

 あ、馴染むのが早い。


「これ、いいですね。確かに前のよりも使いやすそう」

「でしょう!」


 おぉ、ドヤ顔出ました。

 うーん、それじゃあ、これを作るとして。

 

「あの、エルフの皆さんはもう出陣されたじゃないですか。原料はどうしましょう」

「森に使いを出してくれてるらしいから、追加で持ってきてくれる手筈だよ。既に兵士を抜いたやりとりを何度かしているから、向こうも手慣れたモンだ」

「うわ、本気で外堀埋められている感がある」

「おそらく、このまま行けば、デイ森とメーヴ城の取引による原料調達になると思います」


 この薬師さんも、かなり話に関わっていそうだ。


「我々薬師室としては、最終的に薬効を謳える物を作りたいんですが、それはどうでしょうか。例えば、使うと怪我が治る、とか」


 うぅん。これは難しい問題。

 

 元の世界、日本においては、アロマオイルは薬じゃないから、効能を明記できなかった……んじゃないかな。確か。

 せいぜいが、民間療法的な「○○に効果がある」「○○にお薦め」って程度だったように思う。違ったかな。こっちでは、そういう決まり事はどうなっているんだろう。


 だけど、実際に「どんな症状にお薦めなのか」は表示したいところ。

 というか、私の覚えていない効能のあるアロマオイルだってたくさんあったんだから、どうせなら色んな種類のものを、効き目ごとに作ってもらいたい。

 

 それに、薬だと、気軽に使えなさそうなイメージじゃない? 怪我や病気の人じゃないと使っちゃいけないような。

 やっぱり私にとってのアロマオイルは、香りのあるマッサージで身も心も解れて、ついでに頭がスッキリしたり、風邪っぽいのが少し楽になったり、日焼けのヒリヒリがマシになったり、そういうプラスアルファがあればいいよね、くらいの物なんだ。


 ――というようなことを、話してみた。


「ふふ。私もそれがいいと思いますよ」


 ココさんが口を開いた。思わぬところからの援護射撃。


「正直、何か凄いものであっても、使う側からするとよく分からないんですよね。『これでマッサージするとリラックスできますよ』くらいのものでいい気がしません?

 それに、モノづくりって詳しくないですけど、シンプルな物の方が作りやすそうに思うんです」

「……確かにそうですねぇ」


 ちょっとショボンとした様子の薬師さん。


「薬の効果が付いた物は、マッサージオイルとは別物として作ればいいんじゃないですか?」

「あ、なるほど! よしっ、それじゃ薬の方は今ある軟膏薬に同じような効果のある植物エッセンスを入れて使う時のニオイを良い物にする方向で進めて……効果が落ちたり変化したりしないか調べて……」


 途端に元気を取り戻してブツブツ呟きながら手帳に書き込み出す薬師さん。何杯目かの紅茶を飲み干した先生が、呆れたような目で見ている。

 何だかこの人、私と同類な気がするぞ? 気に入ったものはトコトンやりこむ的な。


「シンプルなものなら、例えば、ミントとラベンダーに絞って、『すっきりしたい時に』『リラックスしたい時に』みたいに打ち出すのはどうでしょう?

 それくらいなら分かりやすいし、値段も抑えられるんじゃないですかね」

 

 うーん、きちんとマーケティングをしたいところだけれど、そんな余裕もなさそうだし、手段も難しい。

 ここは多少見切り発車で行くしかないか。


「まずは、その二種類で作るとして、どのくらいの値段で作れるのかを概算立てて。

 その後、どれくらいの需要がありそうなのか、事務や軽作業担当の城内女性に聞き込みをして。できればその時にサンプルも配りたいですね。

 その後、生産量の目処を立てる……って進め方でどうですか?」

「どうですかも何も、アンタが責任者だろうが」

「責任者になった覚えはないですよ!? ……先生、統括やりません?」

「やるわけないだろ、ンな面倒なこと。場所だけはここを提供してやるし、必要最低限の安全性確認くらいはしてやらんでもないが、責任者はアンタだ」


 うげ。やっぱり私なのか。





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