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英霊召喚

「え、死ぬのか?本当に?そんなことありえるのかよ」


 逃げる?いや逃げても捕まるな。だったらミオを殺す?いやすぐに殺すのは早計のような気がしなくもないが、殺すなら今だが、このおっさんは英霊に詳しい。絶対遵守の所有権がこのおっさんに移される可能性は結構ある気がする。


 クソが!何も出来ない、何も取る手段がない!


「待てギンジ、そんな殺気を放つな。お前のせいで娘が漏らしそうだ。大丈夫だ、ミオはお前を殺したりはしない。見たところ責任感が強い感じだからな」


 俺、そんなに殺気が出てたか。まだ未熟だな。つい焦ってイライラした。次からは殺気を立てないで油断させて殺す。


 今は殺さないでおこう。俺の殺気に気づいたならこのおっさんに止められる可能性がある。


「だ、大丈夫です。私は殺さないです、お父さんこの絶対遵守の魔法は解除出来ないんですか?」


 彼女はすぐに解決案として解除の案を出した。


 そんなに早く決断出来るのか。俺は今ミオを殺そうとまで考えたのに。彼女は死ぬのが怖くないのか?


「ある。というよりお前らは固く契約魔法で結ばれている。それを解除することで絶対遵守の魔法も破棄される。今からでもやろう。わしが魔法陣を描くからミオは魔力を流せ。ギンジ、お前は魔法陣の上に立て。それだけで解除出来るはずだ」


 ベルリさんが廊下に描いた魔法陣の上に立つ。ミオが魔力を流すと魔法陣が光り出した。


「ミオ、出力が足りん!」


「は、はい!」


 体に縛られていた何かが崩れ落ちていく感覚、彼女と結ばれていた何かが無くなっていた。


 数分で儀式が終わった。


「これで完了だ。ミオ、試しに命令してみろ」


「そ、そうですね、ギンジさん。私の奴隷になってください!」


 お前よくそれ親の前で言えたな?


 うむ、何も体に影響はない。


「どうやら大丈夫ですありがとうございます」


「・・・・・・少し期待したのになぁ」


 淑女としての気品を保とうとは出来ないのか?


「いや、わし達のせいだからな。これぐらいは当たり前だ」


 だが、まだ魔術回路の封印は解けていなかった。


「英霊は戦争に利用される。そのために最初は作られた。だがお前はうちの娘が召喚した。この娘は心が優しい。魔法は全然上手くならないが、お前を絶対に戦争に出したりはしないはず。口に出したりすることはない。もちろんわしもだ。だから安心してここの世界にいる間は過ごしてほしい。」


 最初会った時はかなり面倒なおっさんだと思ったが、今はナイスガイないい人にしか見えない。


「お父さん!私はギンジさんをお世話します。だから私に任せてきゃっ!」


 魔法陣を描く時に使った石灰に躓いたようだ。


 ミオが俺の方に倒れそうになったところを受け止める。


「あ、ありがとうございます」


 後ろのおっさんが怖い。さっきまでの優しそうな雰囲気が嘘のようだ。


「お前、やっぱり娘をたぶらかしたのか?英霊だろうと容赦しないぞ?」


「何もしていません。俺と彼女が会ったのは本当についさっきですから」


「ギンジさんは私を守ってくれたんです!私は何もされてませんよ!ちゃんと私を抱いて助けてくれたんです」


 そう言って彼女は自分のお腹を撫でその後、照れ始めた。誤解させるような行動しないでくれるか?お前男に見られたら妊娠する体質なの?それなら責任取るが、周りが勘違いするんだよ。


「お前ェ」


「おいミオ、何もしてないよな?」


「確かにしてはいませんけど・・・・・・ぽっ」


「ぽってすんじゃねぇえええ!」


「お前ェエエエ!」


「お父さん!ギンジさんは何も悪いことしてません!」


 お前本当にどっちの味方なの!?


 ✕✕✕


 ミオが怒って一方的ないさかいを止めたが、正直あいつ何したかったの?


 その後にご飯を頂いた。異世界のご飯が俺の体に合わないとかはなく、美味しいお肉、野菜、お魚が出てきた。ここの家は貴族、その中でもお金持ちらしい。普通の家庭は俺が食べた量の半分以下と聞いた時、貴族との格差は地球での売れっ子芸能人と田舎の稼ぎが少ない家と同じくらいの格差なんだなと思った。


 屋敷には部屋が沢山あり、俺はミオの隣の部屋で寝させてもらうことになった。使ってなかった倉庫をメイドと執事の方が掃除してくれたらしい。感謝だ。


 食後にこのコーヒーを貰った。この国では嗜好品らしい。でも謝りたい、俺コーヒー苦手なんだ。コーラの方が好きなんだ。


「ベルリさん。話は英霊召喚の話に戻るんですが、英霊召喚に魔法封印みたいなのはありますか?」


「魔法封印?いや、そんなものは聞いたことがないな。魔法が使えないのか?」


 ベルリさんは葉巻を吸っている。似合いすぎて貫禄がある。


「俺は魔法は元々使えません。俺は魔法じゃなくて魔術が使えるんです。まあほとんど似たようなものなんですが、魔術の方は魔術回路というものに魔力を流し、魔術回路が魔術を発動する手伝いをするんです。そしてさっき契約破棄した後確認しましたが、俺の魔術回路の半分が魔力を流すだけでまだ封印されていて効力を発揮しないんです」


「・・・・・・なるほど。つまり、力を半分しか出せないということか?」


「そうですね、正確には半分ではないんです。使える魔術も限られてくるんで」


「そうか。だが、英霊召喚で能力の低下を促す効力の付け足しは前例がない。能力の向上ならあるが、それもかなり危ない。まず成功すらしないからな。もしかしたらミオが失敗した可能性があるな」


 まあそれしかないだろう。


「だが魔法を使っていなかったのなら、もしかしたら魔法が使えるかもしれないな。魔法は魔術回路なんてものを使うとは聞いたことがない。それにこの世界には来たことにより、愚者としてのステータスが与えられているはずだ。それを明日確認した方がいいな」


 ステータスか。愚者と聞けば大したことないんじゃないかと思う。愚者といえばタロットカードが思いつくが愚者がどんな意味かわからないし予想が出来ない。


 魔法が使えるのはいいな。魔術回路が封じられている今、魔法も戦力に入れなければ誰かに狙われた時に死んでしまう。


「えぇ!?明日は私と一緒に学園に行くんじゃないんですか!?」


 どうしてそうなった。今度は学校でさっきのはめ技に持ち込むの?やめて?


「学園に入れるのも考えた。だが金で根回しするのに少し時間が必要だ」


 お金は怖いな。やっぱり世の中お金なんだな。


「そっか。じゃあ明日は一人なんだね」


 あからさまにミオがしょんぼりしている。


 仕方ない。少しだけ面倒を見てやろう。


「俺の影犬をミオの影に忍ばせておく。戯れたかったらよべば戯れることが出来る。それに万が一危険が及んだ時はミオを助けてくれる」


「本当に!?ありがとう!」


 本当に強い敵でない限り影犬も簡単にやられたりはしない。今日の金髪デブとかならすぐに倒せる。だがいつまでも俺の護衛を付けていては彼女自身で問題を解決出来ない。自身で解決する時は手伝いぐらいはするが、直接的に助けるつもりは無い。


「ベルリさん。どうやってステータスを確認するんですか?」


「冒険者ギルドか教会で見ることが出来る。受付の人に頼めば出来るんだが、お前の場合はギルドの方がいい。俺がそのギルド長と知り合いだから、万が一お前の愚者がバレそうになっても揉み消してやる」


 さすがお金。ここでも活躍する。そんなにお金があるならステータス知った後は何もしなくて良さそうだな。


「ありがとうございます」


 方針が決まったので寝ることにした。俺はお風呂まで使わせてもらった。自分の部屋にはベッドが準備されていた。ここのメイドと執事には助けてもらっているとしみじみ感じる。


 お風呂に入ったことで気持ち良く寝た。


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