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承認欲求

作者: くろ




私の初体験は17歳だった。


父のように慕っていた相手。


本当の父よりも優しくてかっこよくて


本当に憧れていたのに。



恨んだ。死ねばいいと思った


でも、今は感謝している。



きっとあの日がなければ


今の私はいない。



私は今、風俗嬢だ。



派手な化粧という制服に身を包み


相手の求めている自分を演じる。



虚無感を隠しながら微笑み、愛を注ぎ


金額分のサービスを提供する。



それと同時に自分の承認欲求も満たされる。



理想のワタシを演じていれば


愛してくれる。必要としてくれる。


数時間だけの関係だとしても


その場はワタシを求めている。



それがたまらなく心地いい。



母親に捨てられ、父親にも見放され


誰もワタシを必要としなかった



つい、最近縁を切った友達も


ワタシが必要ではなくなったのだ



愛する人ができたから



恋人ができたから



その人をワタシが好きだから



ワタシが汚いから必要とされないことも



都合のいい存在になりがちなことも



全部、ぜんぶ理解している。



それでも望むワタシでいれば愛してくれる。



どす黒い感情に飲み込まれそうになっても



本音が口からこぼれそうになっても



抑え込み今日も笑顔を作る。



だってそうしていれば、君は



ワタシを愛してくれるでしょう?



どんなラストシーンだっていい



どんなに傷ついてもいい



だから今日もワタシを貴方の望む未来へと



連れて行って頂戴。






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