輪廻
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それは力の衝突の後。折り重なるように倒れ、お互いへ向けて残った手を伸ばす。
身体はもう痛みなど感じず、それでも決して力は入らず。自分の死を悟っていた。
滲む視界と力を失う腕。眠るように瞼を下す瞬間に流れ込む莫大な量の情報。
それはずっと前。
神が世界を整えて生き物を作り出した。その中の人間という生き物が進化していく。
その過程で生まれた陰と陽、魔王と勇者。
悲しいことに最初の魔王と勇者は兄妹だった。
泣きながら共倒れになる二人。
次は薄幸の美少女と庶民の青年。
そのまた次は幼馴染の男と女。
さらに次はエルフの王と獣人の少女。
魔王と勇者の記憶。魂に刻まれた記録。
全ての人生に共通しているのは、魔王と勇者(わたしたち)が愛し合っていたこと。どのような形であれお互いの事を大切に思い、慈しみ、それでも殺す。そう、ずっとそうだった。
でもいつかを信じずにはいられない。次はきっと、何時かはきっと。
たとえ何度生まれ変わって、何度愛し合って、殺し合っても。
それでも何時か平穏な時代の平凡な少年少女に生まれることを願って。
きっといつか、添い遂げられることを祈って。
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また逢える世界までお元気で
お読みくださりありがとうございました。
ちょこちょこ手直しは加えますがここから先のおまけはありません。
これ以上の彼らの人生は変わることはありません。
生まれ変わって互いを愛して互いを殺します。
でももしかしたらイレギュラーが現れて、愛し合って添い遂げる日が来るのかもしれません。
そのストーリーはご想像にお任せします。




