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続・異界召喚術

作者: 無名の霧




 魔書「異界の一」。

 一部の人間にしか知られていないが、現存するいかなる魔術書よりも正しく神秘が記されているという禁断の書。あらゆる魔術の源泉たる魔術――私は統合魔術と呼ぶ――を記した書。その神秘はかの「死霊秘法ネクロノミコン」に迫るものがあるという。

 「死霊秘法(ネクロノミコン)」……狂えるアラブ詩人、アブドゥル・アルハザードが記したとされる、異形の神々に関する記述の書。

 そして、「異界の一」もまた、異界の神々に関する書だ。

 現在に至るまで、「異界の一」を開いたとされるものは少なく、また、その大半がその命を落としている。幸運にも一命を取り留めた者もいるが、その精神は皆帰らぬままだ。


 私も一介の魔術師として、「異界の一」の神秘には心惹かれる。「ソロモンの大鍵」、「ソロモンの小鍵」、「アルマデル奥義書」、「黒い雌鳥」、「魔術師アブラメリンの聖魔術」……様々な魔術書を読み解き実践してきたが、どれも真の神秘には至らなかった。

 私に所謂霊感が足りないのか、はたまたこれらの書を正しく読み解けていないのか……否だ。「異界の一」の存在を知り確信した。

 私が読み解いてきた魔術書、私が実践してきた魔術は全て、全く不完全なものだったのだ、と。

 一般的に知られている魔術書は、恐らく統合魔術から派生した……いや、所々が抜け落ちた知識を元に完成されたものなのだろう。そして特徴深い統合魔術の所々を、各魔術が受け継いだに違いない。

 全て源泉には統合魔術があり、その形を保ち続けているものの一つこそが「死霊秘法ネクロノミコン」であり、「異界の一」であるはずだ。

 そして私は、その「異界の一」を欲しているのだ。異界の神々の神秘を、深淵たる統合魔術をこの眼で読み解き、実践したい。尤も、私は今まで「異界の一」を読み解き実践し、死亡あるいは精神を病んだ魔術師たちのようになりたいとは思わない。

 この「異界の一」を実践しようとも健全としていられる方法が必ずあるに違いないことは確信している。何故ならば、その証拠として「異界の一」が存在するのであるからだ。人間が読める言語で記されているならば、誰かがその智慧を得てなお、それが記せたという確たる証拠になりうる。即ち、「異界の一」の実践にはもっと大切な何かが存在するのだ。異界の神秘から身を守るための、何か策があるはずなのだ。

 私は「異界の一」の捜索と共に、これも探っている。

 そして遂に、私はその両方の手がかりを手に入れたのだ。




 ジェレミー・アーチボルト。イギリスの青年で、半年前に発狂し精神病院に搬送されている。先日私は、彼が残したとされる文書――手紙――に「異界の一」に関する記述があると聞き、すぐにその写しを手に入れた。それを読んだ私は震えた。これこそが私の求めていたものであり、「異界の一」の手がかりだからだ。彼の状態を観察することと、彼の主治医から話を聞くことで何か分かるかもしれない。私は即日、イギリスへと飛び立った。




 空港から出た私は、わき目も振らず件の精神病院に到着していた。私ははやる気持ちを押さえ、受付に尋ねた。

「ジェレミー……ああ、ジェレミーさんなら、この病棟ではなく少し離れた研究施設にいます」

 研究施設? ジェレミーは精神を病み、今も意識がないままと聞いたが。それに、この病棟で出来ないような研究をしているのだろうか。そもそも、その研究施設はどこにあるのか。受付は少し困った様な顔をした。

「ええ、この病院領ですが、そこの丘の上にあります」

 窓から外を見れば、確かに丘の上に小さな建物がある。だが、研究施設というにはあまりに小さく、しかもあからさまに孤立している。あんなところに患者を入れておく必要があるのだろうか。私が疑問に思っていることが分かったのか、受付が口を開いた。

「あそこはブロウズ教授の研究室でもありますので、私たちはよくは知りません」

 成程、私が疑問に思っていたことは彼女が疑問に思っていたことと同じだったのか。あの丘には人があまり近寄らないらしい。それよりも、気になる名前が挙がった。ブロウズ教授? ジェレミーの主治医だろうか。

「はい。この精神科病棟の教授です。ジェレミーさんの主治医でもありますし、よろしければ一度お会いしてみては?」

 当然そうする。もとより、主治医と会うつもりでここまで来たのだ。私は受付に礼を言って病棟から出た。去り際に、近くの看護師が近寄ってきて私に耳打ちをしていった。

「ブロウズ教授に会うのですか? 教授は気難しいお方ですから、気をつけてくださいね。半年ほど前からあの丘の上の研究室に篭ったきりですから、最近はどうだか知りませんけど」




 外に出てみると、やはりあの丘が異様だ。ここは総合病院らしく、色々な棟に分かれている。棟と棟の間隔はそれなりには開いているが、遠すぎるほどではない。だというのに、ブロウズ教授の研究室だけが孤立して丘の上に建っている。木も少なく、見晴らしのいい丘だと言うのに、研究室以外に何もなく人気もない。周囲を見渡せば、患者たちが中庭を歩いていたり、看護師が車椅子を押して患者と話していたりする。だというのに、丘には誰もいない。あれだけ見晴らしがよければ、患者たちも気持ちが良いに違いないのだが。

 気がつくと、眉間にしわが寄っていた。私が怪訝な表情をして丘を見上げていたのが気になったのだろうか、中庭を散歩していた人たちが不思議そうに私を見ていた。

 兎に角、行けば分かるし、行かなければ進まない。研究室が孤立している理由だって、ブロウズ教授に聞くのが最も早い。私がそう決めて丘に向かって一歩踏み出したところで、背後から声を掛けられた。意気込んでいただけに飛び上がりそうになるのを必至にこらえて振り返ると、そこには入院服を着た老人がいた。私が何事かと訪ねると、老人は奇妙なことを言った。

「あの丘に登るのでしょう? あまりお勧めできませんね。あの丘は何か怪しい」

 確かに、見晴らしのいい丘に小さな研究室一つだけ、その他に何もないというのは先程から不気味に感じてはいた。ただ、老人はまだ何か知っているようだったので、私は黙って続きを促した。

「知っていますか? あの丘、時々ちかちかと光るんですよ。しかも、遠くから見ている分にはたいしたことはないんですが、近づくととても気分が悪くなるんです。なんと言いますか、頭の中で何かが光っているような錯覚に囚われて、酷く気分が悪くなるんです。あの丘は呪われている、と専らの噂ですよ。あの丘の上の研究施設に行くのはお勧めしませんね」

 老人は私の心配をしてくれている様であったが、それ以上にあの丘の上の研究室に恐怖しているようだった。目の前の丘の確かな気味の悪さに、私は言いようもない嫌悪感を抱きながらもあることを思い出していた。

 ダグラス・ノースブルック。確か、ジェレミーの手紙のあて先で、さらにはジェレミーが発狂した後、彼は死亡している。順当に考えれば、ダグラスも「異界の一」を開いた可能性が高い。そして、彼が死ぬ間際にわめき散らしていた奇妙な言葉の一つに、「ちかちか光る」というものがあったはずだ。

 思いがけない接点に私は歓喜していた。やはり、ここに何かあるのだ。全てはジェレミーと会い、ブロウズ教授と話さなければ始まらない。

 私は老人に礼だけ言うと、忠告を無視して丘を登っていった。




 丘を登りながら、老人の言っていた「ちかちか光る」を今か今かと期待していたが、とうとうそれを感じることなく研究施設の入り口にたどり着いてしまった。落胆しつつも施設に入ると、中は病院らしく綺麗に片付いていた。施設の中にすら人気がなくて、異様にこざっぱりしている様に感じられた。受付に人はおらず、仕方なく施設内を徘徊しようとしたところに、白衣姿の老人が現れた。

 先程の看護師が言っていた様な気難しそうな白髪の老人で、電動式と思しき車椅子に乗っている。私と眼が合うとにこりと微笑み近づいてきた。どうしてもその笑顔が不気味で……何かを隠しているような笑みではなく、その笑みの中にも何もない、そんな空虚さを感じて仕方なかった。

 私が挨拶と自己紹介を済ませると、向こうも軽く微笑みながら――勿論、どこか気味が悪いが人のよさそうな笑みで――口を開いた。

「初めまして。私はここの責任者のアナステシアス・ブロウズと申します。どういった御用事でしょうか」

 物腰の柔らかな言葉遣いと、人の良さそうな――薄気味悪い――笑みに、私は先程の看護師の言っていたことが嘘に思えてきた。ブロウズ教授は、顔こそ気難しそうではあるものの、それほど気性が荒いようには見えない。寧ろ、穏やかな紳士のようだ。

 私がジェレミーとの面会と、ブロウズ教授に少し話を聞きたいという旨を伝えると、教授は快く了承してくれた。気が急いて、若干礼儀に欠けるような私の言葉にも気を悪くした様子はなく、常に微笑を浮かべてくれていた。その笑顔が空虚に見えて仕方ない。

 私たちの話し声に気がついたのだろうか、施設の奥から看護服を着た女性が現れた。すらりとした四肢に、少し眺めの金髪で、物静かな女性だった。私と会っても表情一つ変えずに、簡単な自己紹介だけ済ませ、教授が私をジェレミーの元に案内したいと告げると、彼の車椅子を押して歩き始めた。事務的で、機械の様な女性だ。女性の名前は、アリスン・ベルと言った。

 ジェレミーの部屋に向かう途中、女性に車椅子を押されながら教授が私に話しかけてきた。

「ジェレミー君とはどのようなご関係で?」

 迂闊にも私はその口実を全く考えていなかったため、一瞬間をおいてから仕方なく「友人」と答えた。

「ほう、ご友人ですか」

 教授は感情のない声で答えた。言葉だけなら私の答えを疑っているように聞こえるが、教授の声からは疑惑の念は感じられない。思えば、先程から教授の声には感情が乗っていないようにも思える。笑みが空虚に思えるのも、不気味に思えるのも、教授から感情が欠如しているように思えるためだろうか。

 しかし、それ以上に、私は嘘が見破られているとすぐに悟った。教授は私が嘘をついていることを分かっているようだったが、それには言及せずに――と言うよりも、そんなことに興味はないように――また私に尋ねた。

「貴方は、彼のことをどのくらい知っておられますか?」

 そう言うと、女性が立ち止まり――いつの間にか突き当たりだった――一度車椅子から離れて、目の前の鉄の扉を押して広げた。女性が近くのスウィッチを押すと、目の前の闇にほんのりと灯りが灯った。闇は螺旋を描く緩やかな坂道だった。

 所々に点在する仄かな灯りを頼りに、薄暗い坂道を地下に向かって下りていく。私はジェレミーの病室に案内するように頼んだのにどうして地下に降りるのか疑問に思っていたが、教授たちが坂道を下りていったので仕方なく着いていくことにした。疑念よりも、好奇心が勝っていた。

 坂道をゆっくりと下りながら、私は先程の教授の問いに答えた。ジェレミーが発狂してしまったこと。最後に奇怪な文章を残していること。その後に彼の友人のダグラス・ノースブルックも発狂の末死亡したこと。私の知っている限りのことを答えた。ノースブルックのことは言いすぎたかもしれないと反省していたが、それが思いも寄らない一言を教授の口からもたらした。

「成程。『異界の一』をご存知でしたか」

 相変わらず感情の乗らない声でそう言った教授に私が面食らっていると、教授は次の問いかけをしてきた。

「では、彼の特技を知っておられますか?」

 特技? そんなものは全く知らない。そもそも、彼については先程教授に答えた程度のことしか知らないのだ。強いて言うならば、私と同じく魔術に傾倒していたことだろうか。

「そうですか。なら、きっと驚くでしょう」

 教授がそう言う頃には、私たちは階段を下りきっていて、目の前にはやはり鉄の扉があった。女性がそれを押して開くと、その奥にまた扉があった。今度の扉は鉄ではなく、分厚く、見覚えがあった。劇場でたまに見かける特別な――防音壁といったか――扉に似ていた。

「防音扉です。これでも足りないくらいなのですが」

 私は怪訝そうな顔をしていたのだろうか、教授がそう答えた。

 女性が防音扉を開くと、中は白い壁の病室だった。しかし普通の病室と違い、奇妙なことにピアノが置いてある。白一面の病室に黒いピアノが鎮座しているのは場違いに思える。ベッドの上では青年が半身を起こしており、こちらには全く気がつかないようにして正面の壁を見つめていた。

「起きていましたか。丁度いいですね」

 教授たちが近づいても、ジェレミーは微動だにせずに壁を見つめている。いや、よく見ると彼が見つめている先にはカレンダーがある。彼はカレンダーを凝視していた。カレンダーのどこか一点――私にはどこだか分からないが――を見続けるだけで、彼の瞳が動くことはない。近づく我々に一瞥くれることすらない。本当に気づいていないようだった。

「思いを馳せているのですよ、未来に」

 唐突にブロウズ教授がそう切り出した。私は教授の言葉の真意をつかめないまま、その場に立ち尽くしてジェレミーと教授を見つめていた。

 正直に言って、私はこの状況に困惑していた。目的の人物と会えて勿論嬉しかったが、それ以上に困惑していた。会えば何か分かるのではないか、そのくらいにしか思っていなかった私にとって、彼らが持っている謎が多すぎる。何か、ではない。ここに私の求めていた全てがあるように感じる。あからさまに異様な丘の上の研究室、そして私の想像を遥かに超えるある種の神秘を醸し出しているジェレミー・アーチボルト。そうだ、私は目の前の青年に神秘を感じていたのだ。彼の纏う雰囲気は、間違いなく常人のそれではなく、しかしどこか神秘めいていた。彼を見たときに、私の思考は緩やかに停止していた。

 教授は、困惑している私に軽く空虚な笑みを浮かべ、ジェレミーの耳元に口を近づけた。ひそひそと話すように右手で彼の耳を覆い、しかし私にまではっきり聞こえるほどの大声で言った。

「西暦三千年九月十六日」

 私には何のことだかさっぱり分からなかったが、その問いにジェレミーは即座に答えた。全く抑揚のない、無機質な声で。

「火曜日」

 これには驚いた。まず、ジェレミーが言葉を話せることが驚きだった。しかも、今このやり取りにおいては、会話が成立していた。尤も、問いかけにただ答えるだけというやり取りが、会話というかどうかは怪しいところだが。最初は、何を言っているのか理解できなかった私だが、教授が説明をしてくれた。彼もまた、無機質な声で。

「彼の特技ですよ。遥か過去、遥か未来の日にちに対して、それが何曜日なのか即座に言い当てます。尤も、その時にグレゴリオ暦が使われているかは別の問題ですが。彼はカレンダーを眺めることで、遥か過去、遥か未来の何日が何曜日なのかに思いを馳せているのです」

 果たしてそんなことが可能なのだろうか。そもそも、西暦三千年などと、気が遠くなるほど先の未来にまで、瞬時に計算が追いつくのだろうか。

 すると教授は女性に何か耳打ちし、ジェレミーを抱き起こしてピアノの前に座らせた。ジェレミーの瞳は、カレンダーが視界から離れた瞬間、虚空で焦点を結んでいた。死んだ魚の目……否、それ以上に何の感情も篭らない無機質な瞳だった。

「クラシックはお好き?」

 珍しく女性が私に問いかけながら、近くの機械を弄り始める。先ほどから表情一つ変えないし、感情の起伏というものが全く感じられない。ただし、女性の場合は教授のそれとは違い、単に物静かな人間であるだけの様にも思える。

 ややあって、病室のスピーカーからクラシック音楽が流れ出した。聞いたことのある旋律だが、私は特別音楽に興味があったわけではないので、題名までは出てこなかった。ピアノが、激しい旋律を奏でる音楽だった。乱暴ではなく、繊細で美しい旋律だ。私はその音色を聴いて心を落ち着かせた。

「なかなか、難しい曲なのですよ」

 教授はそう言うと、女性にジェレミーの腕をピアノの鍵盤の上に乗せさせた。そしてしばらく、女性はジェレミーの腕を操って鍵盤をでたらめに叩き続ける。無意味な雑音が病室に広がり、私が眉をひそめていると教授は「まあ見ていてください」とだけ言ってしばらくその行為を続けさせる。スピーカーから流れ出るその音楽はすでに何週もしている。女性は相変わらず無表情に、無意識の青年の腕を操り続ける。無意味な行為にどんな意味があるのか、私がわけもわからずその雑音に耐えていると、あるとき突然雑音が止んだ。

「素晴らしいと思いませんか」

 教授が横で何か言っているが、私はそれどころではなくジェレミーの腕を見つめていた。彼が、鍵盤を叩いている。女性はすでに彼の手を解放し、教授の横に控えていた。青年はスピーカーから流れ出る旋律と同じものを、奏でている。素早く、正確に。

「彼がピアノを弾けたことをご存知でしたか?」

 知るわけがない。それ以前に、これは「ピアノが弾けた」で済ませていい問題なのか。否、ジェレミーは今、この旋律を覚えたのだ。先ほど行為は、そのためのものだろう。驚くべきことだが、そう考えなければ先ほどの行為が完全に無意味なものになる。

 ジェレミーの弾くピアノの音は、スピーカーから流れ出る旋律と全く同じものであるが、どういうわけか私はそれを美しいと思えなかった。繊細さも、優しさも感じられない。彼の奏でる旋律には、人を感動させる何かが足りていないように感じられた。そう、私には、その正確な旋律がひどく無機質なものに感じられた。

 私がジェレミーの手元に見入っていると、女性が奥の扉を開けて――今度は、普通のドアだ――教授が私に入るように促していた。

「ここではなんでしょう。彼はしばらくピアノを引き続けますから、その間私の研究室でお話を伺いましょう。ああ、この扉ですか? 防音扉ではありませんが、私は大丈夫なのです」




 ブロウズ教授の部屋は、研究室というよりも教授室という方があっているようだった。壁一面の本棚はいっぱいに敷き詰められており、実験器具などはほとんど見当たらない。ブロウズ教授は精神科の医師であることを考慮すれば、別に不思議ではない。

 教授は、机の上に広げてあった本を右腕でしまうと、私にコーヒーを飲むかと尋ねた。教授の好意に与りながら、私は教授が仕舞った本のタイトルを盗み見た。よくは見えなかったが、「サヴァン症候群」という文字は読み取れた。

 女性がコーヒーを入れている間、私は部屋を見渡していた。壁を埋め尽くしている本棚の中には、私の知っている魔術に関する本もあり驚いたが、先ほど教授の口から「異界の一」という単語が出てきたことを思い出した。教授も魔術傾倒者であるのだろうか。

 それ以上に気になったのが、教授の机の隣にある水槽だった。円柱形の水槽で、床から天井まで貫いている。中には、脳の半球が浮かんでいた。精神科の教授であるから、脳に関しての研究をしているだろうか。それにしては、片半球だけというのが気になった。じっと見つめていると、教授に声を掛けられた。

「気になりますか? それは脳の右半球、つまり、右脳です。ちょっとしたコレクションですよ」

 そう言って教授が私に話しかけると、丁度女性が戻ってきて私と教授の前にコーヒーを置いた。一口含むと、強い酸味が口いっぱいに広がって私はむせ返りそうになるのを必至にこらえた。教授はそれを平然と飲みながら、私の向かいに机をはさんで車椅子を停めた。女性が教授の隣に座ろうとしたが、教授がそれを抑えた。

「アリスン、君は下がっていいよ。そろそろ時間が危ないだろう?」




 最後まで無表情のまま女性が退室すると、教授は本題を切り出した。

「貴方は、『異界の一』に興味がおありだと察しましたが」

 教授の口から二度目の「異界の一」が出て、私はそれにすぐに喰いついた。やはり、教授は「異界の一」を知っている。ともすると、すでに入手しているのかもしれない。私は期待に胸を膨らませた。

「ええ。半年ほど前に手に入れました」

 まさか教授が「異界の一」を手に入れているとまでは思わなかったため、その事実に愕然としながらも歓喜した。私は是非とも読ませて欲しいと教授に申し出た。

 しかし、教授は瞳を閉じて首を左右に振った。流石に、すぐに読ませてもらえるとまでは思わなかったが、私は落胆を隠せなかった。そんな私を見て、教授は弁解するように言った。

「私もお見せして差し上げたいのは山々なのですが、残念なことに『異界の一』は私が実践したすぐ後に、這い寄る混沌が持ち去ってしまいましたので」

 今、実践したと言ったか。教授は、実践したと言ったのか。今こうして私と話している教授が「異界の一」を実践していたというのならば、彼は正しい「異界の一」の使用方法を知っているということになる。そうでなければ、発狂しているはずだ。あるいは、死んでいるか。

「『異界の一』は、紛れもなく真の神秘が綴られている魔導書です。かの本には、異界の神々に関する記述と、その一角である双子の神性リュゾ=フォルパス召喚――いえ、謁見と言うべきでしょうか――の儀が記されております」




「しかし、その前に……貴方は、神の存在を信じておいでですか?」

 神。確かに私は、魔書を読み解き異界の神を召喚しようとしている。……だが、神を信じるのかと問われるとどうにも答えられない。「異界の一」が確かなものだとは信じるが、私たちが宗教的に信じる神がいると本気で思ったことは一度もないのだから。

「質問が漠然としていましたね。では、『異界の一』で見えることが出来る異界の神、リュゾ=フォルパスは?」

 それに関しては、信ずる他無い。何しろ、私はその神を信じてここまで足を運んだのだから。

「確かにリュゾ=フォルパスは存在します。では、リュゾ=フォルパスとはどういった存在だとお思いですか? 先ほど私が問うた『神』だとお思いですか?」

 ようやく私は教授の意図するところが分かった。つまり、教授はリュゾ=フォルパスと我々の宗教的に信ずる神――イエス・キリスト及び彼を生んだ全知全能の神――とは違うものであると言いたいのだろう。

「まさしくその通りです。彼らは異界に住まうものであり、自らを神だと認識してはいないはずです。彼らは我々よりも遥かに高等な種なのであって、霊的な存在ではないのです」

 成程確かに、私はそのことを無意識下に理解していたのかもしれない。そして、リュゾ=フォルパスが霊体ではなく種として存在するならば、この魔書の信憑性は格段に増す。

 だが、そうなると一つの疑問が生じる。霊体でないとすると、一体、召喚とは何を指すのか、だ。

「はい。召喚と呼んではいますが、厳密には逆になります。即ち、リュゾ=フォルパスを召喚するのではなく、我々がリュゾ=フォルパスに見えるのです」

 それはつまり、異界に赴くということか? しかし、それではジェレミーの記述と食い違う。彼は、部屋に異界を顕現している。

 私の困惑を感じ取ったのか、教授は微笑み先を続ける。

「結論から申しますと、魔導書『異界の一』に記された儀は、我々の存在する次元、世界とリュゾ=フォルパスが存在する次元、世界とを結びつけるのです。空間を歪曲させ、異なる次元を一つに収束させる。互いに移動することなく、互いを感じるのです」

 そこで教授はコーヒーを一口含み、彼の言葉のおよそ半分も理解できていない私の様子に微笑む。

「要するに、テレビのようなものです。ただ、平面で映し出すのではなく、立体で空間そのものに映し出します。そうですね……海に潜っている……いえ、水族館は行ったことがおありですか? あの様な感覚でしょう。自分は確固としてその空間に存在しているのに、周囲は全くの異界――水族館で言えば、地面に立ちながらも周囲は水中であると言うことですが――という状況になります。尤も、水族館とは違って触れることも出来ませんし、自分の世界の空間に、向こうの世界の空間が重なっていると言う点では全く異なりますが」

 ここまで聞いて、ようやく理解できてきた。つまりは、互いに視覚的に干渉すると言うことか。

「まぁ、しかし、これに関しては理解する必要はありません。あくまで、リュゾ=フォルパスとの干渉を確証付けているだけですので」

 そう言って教授は一息つく。疲れたのだろうか。

「ええ。なにぶん、理論統合の分野は半年ほど前から苦手になりまして」

 一体何の話だろうか。眉をひそめた私に、教授は空虚に笑ってみせる。

「では、次にリュゾ=フォルパスの形態について説明しましょう。ある意味で、かの神を理解する上で重要なことです。貴方は、リュゾ=フォルパスの形状についてご存知ですか?」

 リュゾ=フォルパスの形状。ジェレミーの記述に寄れば、蠢く不定形。沸騰し、凝固し、蒸発し、析出し、霧散し、出現する。その変化は可逆的であり、不可逆的。あらゆる状態としてそこに君臨する。瞳と思しきものは召喚者にあらゆる感情を感じさせ、しかし嘲るように見つめる。さらには、召喚者の脳にも干渉し、不定形でありながらも少女の容姿を幻視させる。……彼の記述を羅列しただけだ。私も、これを夢想することは叶わない。

 教授は満足そうにうなずいて話を進める。

「では、結論から申しましょう。リュゾ=フォルパスの真の形状は、まさに少女なのです。因みに、ジェレミーは片割れしか召喚しなかったようですが、本来は双子の少女なのです。双子であると言うことはこの際問題ではありませんが。さて、ジェレミーが見たという蠢く不定形ですが……勿論、私もかの神を蠢く不定形として認識しましたが……あれは所謂、化身の一つではありません」

 化身と言うと、神話、魔術において神や悪魔の仮初の姿のことだろう。つまりは……。

「リュゾ=フォルパス自身が、蠢く不定形と言う形状を取っているわけではない、ということです」

 では、蠢く不定形と言うのは別の何かということだろうか。

「いえ、あれは紛れも無くリュゾ=フォルパスに相違ありません。そうですね……近年の電子機器における、所謂『文字化け』と言うのをご存知ですか? そうです。プログラムなどを、それに対応しないプログラムで実行した際に生じる無意味な文字の羅列です。リュゾ=フォルパスの蠢く不定形は、まさに『文字化け』なのです」

 私は黙って先を促す。

「リュゾ=フォルパスは、我々の住むこの世界よりも遥かに高次元の世界に存在します。その高次元の存在を、この世界では処理しきれないのです。例えば、我々の世界を三次元と仮定し、そこに有名な時間軸を足すと理論上四次元の世界になります。では、その四次元の世界を平面に現すことが出来ますか? 不可能でしょう。例え可能だとしても、我々はそれを理解することが出来ません。つまりはそれと同じことです。リュゾ=フォルパスの高次元的な存在を、この三次元空間で表現すると、なんとも理解し難い蠢く不定形となってしまうということです」

 難しい話だ。要するに、リュゾ=フォルパスはこの世界では表現しきれない要素を含む存在であり、それをこの世界に映し出すとまったく別の蠢く不定形となって見えるということか。

「概ねその通りです」

 しかし……では、ジェレミーが幻視した少女はどういうことか。教授の話しに寄れば、リュゾ=フォルパスの真の形状は少女と言うことだが、この世界ではそれは表現できないのではないのか。

 教授が嬉しそうに微笑む。……尤も、実際には教授の笑みに感情は見受けられないから、私がそう幻視したに過ぎないのだろうが。

「それこそが核心であり、リュゾ=フォルパスを召喚した者が死に至る、或いはジェレミーのように精神を病む理由なのです」

 つまり、それこそがリュゾ=フォルパスを召喚しても精神を健全に保てる方法に繋がるということか。私の求めていたものであり、教授が健全でいられた理由に繋がると言うことだ。

 しかし、教授は直接それには触れずに、別の話題を切り出した。

「サヴァン症候群と言うものをご存知ですか?」

 私は昂った気持ちをどうにか落ち着かせながら、記憶をたどる。確か、先ほど教授が片付けた本のタイトルにその名を確認した気がする。

「サヴァン症候群と言うのは、自閉症の患者に多く見られる症状です。サヴァンは天才を指し、サヴァン症候群の者たちを、『右脳の天才』などと言うこともあります。例えば、膨大な数字を瞬間的に素因数分解出来たり、電話帳を丸々一冊暗記出来たり、実に写実的な絵を書くことが出来たり、建物の窓の数を一瞬で数え上げること、遥か未来のカレンダーの曜日を当てる、音を聞いているだけでピアノを弾く――など、様々な驚異的な能力を発揮します。基本的には個々人において開花する才能は何か一つだけであり、自閉症でもありますから、それ以外はほぼ出来ず、人と意思疎通を図ることも出来ませんが」

 それがどうリュゾ=フォルパスと関係するのか……最初はそう思って聞いていたが、私は驚異的な事実を先ほど知ったばかりではないか。そうだ、ジェレミー・アーチボルトがまさにそれではないのか。遥か未来のカレンダーを作り上げ、ピアノを弾いていた。それも、怖ろしいまでに正確に。

「お察しの通り、ジェレミーはリュゾ=フォルパスと接触した際に、サヴァン症候群を発症しております」

 では、やはりリュゾ=フォルパスとサヴァン症候群には密接な関わりがあるのだろうか。しかし、ジェレミーの他にそのような事例は聞いていない。それどころか、大半は死んでいる。

「サヴァン症候群について研究がなされ、分かっていることがあります。それは、極端に右脳が発達していることです。右脳は感情を司りますが……まぁ、ここで右脳の仕組みについて詳しく説明する必要もありませんので、簡単にお話します。左脳が理論、統合などを司ると言われていますが、実際には、左脳は三次元に適応した脳なのです。外界を処理する段階では、一次元的な処理に適応しているとも言えます。我々人間は、左脳で世界を視ています。例えば、この部屋に何があるのか考えたとき……見回してみてください。どうです? 机があり、椅子があり、私がいて、貴方がいて……この通り、一つ一つ順々に処理していきます。それぞれを点として見て、その点をつないで線にしてきます。そして空間を組み立てる。それが我々の左脳による世界の処理です。では、ジェレミーはどうだかお分かりですか? サヴァン症候群の者たちは、世界を面、或いは立体で処理します。この部屋に何があるのか考えても、一瞬で面を理解します。机、椅子、私、貴方。全てを一つとして瞬間的に理解するのです。これが、右脳の世界です。私たちは左脳で世界を作ってしまっています。言葉すらも左脳です。机、椅子、私、貴方。それぞれに一つ一つ逐次的に当てはめなければ理解できません。が、右脳の言語は違います。全てを収束した一言で済ませます。……少し長くなりましたが、これが右脳と左脳の違いです」

 そうして教授はコーヒーを啜る。教授のカップが空になったので、私がそれに新しくコーヒーを注ぐ。

 私はどうにも気分が悪くなっていた。教授の話しに、名状し難い気味の悪さを感じていたのかもしれない。

「極端に言えば、右脳はより高度な処理能力を持っていますが、それが人間には強力すぎるために左脳が抑止していると言うことです。何故右脳がそれほど高度な処理能力を持っているのか……それに関して、『異界の一』では怖ろしいことを言っています」

 教授の話に寄れば、遥か古代、地球にはリュゾ=フォルパスの様なより高次元の存在がおり、彼らが自らの奉仕種族として人間の原型を創り上げたと言う。彼らを理解するために、人間の原型は発達した脳を持っており――それが今日の右脳だと言う――それで彼らを認識し、奉仕していた。しかし、彼らの敵対勢力が、彼らを別の世界に閉じ込めた。取り残された人間の原型は、主を失い、自ら世界に適応するために発達しすぎた右脳を制御していったと言う。

 教授には申し訳ないが、これはただの夢物語にしか思えない。

 私の考えていることが分かったのか、教授は微笑む。

「勿論、この記述がどこまで正確かは分かりません。……リュゾ=フォルパスと見えた者としては信じざるを得ませんが」

 しかし、結局、ジェレミーや他の召喚者がおかしくなったのはどういうことなのだろうか。

「簡単なことです。リュゾ=フォルパスと言う高次の存在を、右脳が理解してしまったのです。単純に、右脳の高度な処理能力が理解したのか、それとも、遥か古代の主を脳が覚えていたのかは分かりません。しかし、リュゾ=フォルパスとの接触により、左脳に制御されていた右脳が本来の力を幾分か取り戻し、それによって左脳では抑えきれなくなったと言うことです。――ああ、そうです。右脳と左脳が激しく均衡するときに、脳裏がちかちかと眩むのですよ。左脳が幾分右脳を抑えているので、右脳が処理した高次の存在を完全に再現できないと言うわけです。召喚者は、最終的に左脳を右脳に飲み込まれます。右脳の劇的な力の解放による、見える世界の改変に体がついていける人間は生き残り、それが出来ないと脳が停止します。尤も、生き残っても左脳が右脳に完全に飲まれてしまいますから、周囲との意思疎通は完全に出来なくなります」

 つまり――右脳の活性化によって、召喚者が死に至るか発狂すると言うことなのか。

「ただ、稀な場合として、ジェレミーのように右脳に飲まれて左脳が停止し、その後右脳がサヴァン症候群を発症する場合があると言うことです。サヴァンが発症してもしなくても、左脳が停止しては人との意思疎通は出来ませんが」

 私はいよいよ気分が悪くなってきた。教授の理解し難い、しかし気味の悪い話も原因の一つだが、それ以上に頭の中が気持ち悪い。

「そうでした。ジェレミーの記述の最後、覚えておいでですか? リュゾ=フォルパスの言葉、それを思い出すところで終わっています。リュゾ=フォルパスの言葉は、先ほど申しました右脳よりの言語なのです。つまり、一言に全てが収束されているのです。右脳言語を反芻することによって、完全に左脳が右脳に飲み込まれるのです」

 そうだ。この感覚……初めてのことだが、なんだか、ちかちかとする。ここにこれ以上いてはいけない。名状し難い不安が押し寄せる。

 しかし私は、教授に問うていた。即ち、ではどうして教授は健全としていられるのか。どうして左脳が右脳に飲み込まれていないのか、と。私は問うてから、これを激しく後悔した。

 教授は、ぞっとするような空虚な笑みを浮かべる。

「ああ、そのことですか。私は――」

 そうだ。話を聞いていて何となく理解していたではないか。

 この部屋で一際目を引く水槽に、幾度と無く視線を移してはその考えを振り払っていたではないか。

 教授の声、表情、全てに感情が篭っていないことを不気味の思いつつも、感情がない理由を教授の話の中から聞き取っていたではないか。

 先ほどから教授が右半身しか動かないことも、分かっていたではないか。

 それでも私は、すがる思いで聞いてしまったのだろうか。

 今現在、私の脳裏がちかちかと煌き、助かる方法が他にあることを希望したのだろうか。

 教授は、感情のない――しかし、今となってはその理由が私にははっきりと分かる――笑みを浮かべて。


「――右脳を切除したのです」


 私は教授の研究室を飛び出した。

 教授は感情を斬り捨てたのだ。

 脳がちかちかする。

 これ以上ここにいてはいけない。

 リュゾ=フォルパスを召喚したわけでもないのに、どうして右脳が騒ぎ立てているのか。その理由は分からない。だが、私は本能に従って危険から逃れるために研究室を飛び出した。

 隣の部屋はジェレミーの病室だ。

 そういえば、どうして防音扉を使っているのだろうか。

 どうして、教授の部屋との間には防音扉が無いのだろうか。

 外には防音扉が必要で、教授にはその必要がないと言っていた。

 もう全て分かった気がした。

 その病室で、ピアノの前に座ったジェレミーが、口を大きく開けて、何事かつぶやいていた。

 彼の口から言葉が漏れ出るたびに、私の右脳が激しく騒ぎ立てる。

 脳がちかちかする。

 隣の部屋からブロウズ教授の抑揚の無い大声が聞こえる。

「おや、もうこんな時間でしたか! ジェレミーはこの時間になると、リュゾ=フォルパスから聴いた言葉を、右脳言語を叫ぶのですよ! 早く外に出た方がよろしい! 左脳が右脳に飲まれますよ!」

 ジェレミーは今にも、私の左脳を吹き飛ばす言葉を叫ぼうとしていた。

 嗚呼、気づくべきだった。アリスンと言う女性が去ったときにでも、私も一緒に去るべきだった。

 脳がちかちかする。

 必至に防音扉を押し開けようとする。

 しかし、重い。

 扉はどれだけ押しても開かない。重く、微動だにしない。

 何故だ! 何故だ! どうして開かない!

 力任せに叩きつける。全体重を掛けて体当たりをする。

 それでも扉は開かない。

 開かない! 開かない! これでは、これでは!

「おや……アリスンも酷いことをする。外から鍵を掛けるとは」

 気づけば、教授が車椅子を押して病室に入ってきていた。

 ジェレミーが、大きく口を開けた。

 私の左脳が吹き飛んだ。




 ジェレミーが異界を奏でる中、アナステシアス・ブロウズ教授は、目の前で一人の人間の左脳が右脳に飲まれていく光景を、今はもう見えることのできない愛しい神リュゾ=フォルパスを夢想しながら恍惚として眺め、この分厚い扉のすぐ向こうで歓喜の焔を三つの瞳に宿し嗤う狂女を幻視し、思いを馳せていた。




 ――這い寄る混沌よ、これもまた、貴方の娯楽なのでしょうか。





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[良い点] スリーSと言う者です。三作品通して読みました。 現在、私はクトゥルフ神話を勉強中なのですが、この作品群はその雰囲気が伝わり、個人的にもすらすら読み安い文章でした。 [一言] 余談ですが、こ…
[一言] 一応、三つのお話全て目を通して評価しています。 言えることは――真ん中の、異界召喚術、あの部分は、あれだけでは不要だったのではないか、と思います。 どれも、テーマはあるのにバラバラというか、…
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