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沈み行く日

━━心に決めていたのに。


……何があろうと、私は国民を守る。誰も死なせはしないって……


それは、犯罪者も同じ。過ちを犯すことはあっても、彼等だって日本国民であり、一人の人間。生かして、自らの犯した事の重大さを自覚させ、反省させて、罪を償わせるべきなんだ。


……だから私は決めていた。


……例え相手が自分に引き金を引くことがあっても、自分は銃口を向けることより先のことはしないと。


……なのに……私は……


……引き金を引いて、守ろうと決めていた国民を殺めてしまった。


引き金を引いた直後に足から力が抜けた。


龍介を守るためにやったのだということは事実だ。だが、他にも方法があったかもしれない。殺す以外に、方法が……


そう考えると、これまでに感じたことのない自責の念が胸の内を支配する。


まるで、刑事としての私を支えていた自身の中あったものが……今まで築き上げてきた誇りと正義が、一瞬にして崩れ去っていくような……そんな感覚だった。



━━あ……め……………あやめ……!



「綾芽!!」


「!」


「気をしっかり持て!」



龍介の声に、私は現実へ引き戻された。


小刻みに身体が揺られている感覚で、知らないうちに車に戻っていたのだと気付く。


助手席の窓から、私は外へと目をやった。


新宿署を出た時とは明らかに違う光景がそこには広がっていた。


所々で車両同士が衝突した状態になっていたり、またはトラックが家屋に突っ込んでいたり、いずれも大きく変形していることから、衝撃の激しさを物語っていた。そしてそれらに捲き込まれたのであろう家屋からは、火の手が上がっている。


相変わらず太陽を遮断している黒い雲のせいで、あたりは夕立前を遥かに凌駕する暗さを保っている。代わりに燃え上がる炎が辺りを照らしているが、それが逆に不気味で、不安を駆り立ててくる。


そして鉄屑と化した車両の間を縫うようにして逃げ惑う人々……




つい数時間前のまでの街の様子からは想像もつかない惨状がそこにはあった。もうそこからは、平和を感じとることはできない。


龍介はそんな中を、障害物を華麗に避けながら運転を続けている。


「なにこれ……どうなってるの……?」


状況が読み込めない。その思いが思わずそのまま口に出てしまった。


それを耳に入れたのか、目線は進行方向を見据えながら龍介が言った。


「カーナビ見てみろ。」


「カーナビ?」


龍介の言葉に従い、私は車内に搭載されているカーナビへと目を向けた。


ニュース番組が映し出されている。だが、いつものようなものではなく、緊急で放送されているもののようだ。


画面の中では、次々と追加される原稿を受け取りながら、女性キャスターが懸命にそれらを読み上げている。その表情からは、原稿の内容が如何に異常なものなのかを十分に感じとることができた。


『━━引き続き、予定しておりました番組を中断して、臨時ニュースをお伝えいたします!


午前7時45分頃に発生した、東京都新宿区歌舞伎町での障害事件を発端に、大規模な暴動が発生しています!


この暴徒達による被害は現在も拡大中とのことで、事態はより悪化すると思われます!』


と、そこで画面がスタジオからLIVE映像へと切り替わった。騒然とする都内の街中を背景に、若手のリポーターがマイクを片手にしている様子が映し出された。


どうやら暴動が発生している様子を至近距離でカメラに収めるべく、無謀にも現場へ赴いたようだ。


『現場からお伝えいたします!ご覧ください!あちこちから火の手が上がり、事態は収集するどころか悪化の一途を辿っています!


前方からは恐れをなした人々が逃げ惑うように走ってきており、そのすぐ後ろから暴徒の集団が迫っているものと思われます!』


逃げ惑う人々が次々とカメラの脇を走り抜けていく。その最後尾では、複数の警官達が後退りしながら拳銃の引き金を引いていた。


私はその光景に目を疑った。


……引き金を引いていたのは、私だけではなかったのだ。


これほど銃規制の厳しい国で……警官が国民に向けて銃を連射している……果たしてこんな日が来ることを誰が予想しただろうか?


『ご、ご覧ください!警官達が暴徒に向かって発砲しています!想像もしなかった、戦争のような光景が、今目の前で繰り広げられています!』


銃弾に当たった暴徒が倒れていく。だが、その後ろから新たな暴徒達がどんどん道路を侵食していき、警官達との距離をどんどん詰めていった。


さらに……


『っ!し、信じられません!撃たれたはずの暴徒が立ち上がって、再び歩き始めました!一体どういうことなのでしょうか!?』


画面越しのその異常な光景に、開いた口が塞がらなかった。龍介もちらちらと画面へ目を向けては、

「あり得ねえ……モルヒネでも打ってんのか……!?」

と悪態をついている。


そして暴徒達はとうとう、決死の抵抗を続けていた警官達との距離を詰めきった。


先頭の警官に複数の暴徒が手をかけて押し倒す。


次の瞬間、鮮血と共に警官の悲痛な叫びが飛び散り、カメラマンの『これはやばい!』という声と共に画面が反らされた。


と、その時。


反対側へ反らされたカメラに、接近してくる車列が映し出された。


赤いランプを点灯させながらサイレンを轟かせる人員輸送車が数台、取材班の脇を走り抜けた。


『Police』と書かれ車両は、間もなく取材班の前で停止すると、運転手が車から飛び降りて車両後部へ回り込み、収容スペースを開閉する扉を開け放った。



次の瞬間、車両の中から物々しい装備を身につけた警官達が次々と飛び出した。


ライオットシールド(主に暴徒鎮圧に用いられる透明の防護盾)を持った警官が先に飛び出し、生き残っている少数の警官達を後ろに下がらせ、道路を遮断するように横隊を組んだ。


続いて出てきたのは、銃器を手にした警官達。彼等もまた、道路を二重で遮断する線となり、盾を構えた警官達のすぐ後ろに隊を組む。


『えー、ただ今機動隊が到着致しました!盾と銃器で武装した機動隊が、ご覧の通り道路を遮断しています!暴徒をここで食い止めるようです!』


興奮した様子で目の前の光景を実況するリポーターに、龍介は「何やってやがんだこのバカ共は……!」と舌打ちした。


……確かに、機動隊が出動するということは、すなわち並の抑圧力━━一般の警察官達ではもはや阻止できないと、本部が判断したということ。現に先ほどまで殿を務めていた警官達は、暴徒の勢いを塞き止めるどころか、逆に多数が襲われていた。


警察官でもない、何の抵抗力も持たないリポーター達が、これ以上現場にとどまり続けることは、間違いなく危険だ。あっという間に命を落としかねない。


『暴徒の集団は依然として前進を続けています!かなりの数です!道路脇で燃え盛る炎と警官の銃撃をもろともせず、機動隊へ接近しています!』


リポーターが実況する中、カメラは機動隊の背中とその奥から迫り来る暴徒達の姿を映し出した。すると、機動隊の隊長格らしき警官が、メガホンを手にして暴徒隊へ向かい叫んだ。


『━━直ちに暴動を中断し、我々の指示に従え!これは警告である!警告に従わない場合の対抗措置として、我々は掃射の許可を得ている!』


━━掃射……


先ほどまでのような、警官の拳銃によるものとは比較にならない火力━━すなわちSMG(サブマシンガン)などで弾薬の雨を浴びせるということだ……


暴動を抑えるために、ここで皆殺しにするつもりなの……!?


機動隊からの最終警告が、暴徒へと発せられた。しかし彼等はそれに微塵も応じることなく、その距離をみるみるうちに縮めていく。


『や……やむを得ん……!構えろ!』


明らかに動揺している様子が、その声から伝わってくる。


一切従う素振りを見せずに、暴徒隊はその距離を縮め続け、機動隊との間隔は10mを切った。


隊長格の男はメガホンを下ろすと、左右に展開する隊員達に『発砲用意!』と叫んだ。


……って、え?……本気で掃射する気なの?


……その予想は当たってしまった。


次の瞬間、隊長格の男の号令と共に、二列目に展開していた隊員達が、その手に構えた 銃を暴徒へ向けた。


そして……



『撃てぇ!!』


一斉に火を吹いた銃器から撃ち出された銃弾は暴徒達の身体を容赦なく貫いた。


耳をつんざくような発砲音と共に弾丸が撃ち出され、銃口から発せられる閃光に照らされた暴徒達が次々と地面に倒れ込む。


━━10秒程銃撃が続いただろうか。『撃ち方やめ!』という掛け声と共に銃撃が止んだ現場は、不気味な静けさが漂った。


暴徒達は一人として立っていない。


当たり前だ……あれだけの弾丸をまともに受けて、無事でいられるはずがない……


機動隊員達が、地面に倒れ込んだまま動かない数メートル先の暴徒達を盾越しに覗き込む。


一方、リポーターは余りにも現実離れした出来事に、愕然としている様子だ。


『あ……あ……す、すごい銃撃音でした……目の前で起きた惨劇を……私は未だに信じることができません……本当にこれは現実に━━』


『お、起き上がったぞ!!』


━━その一言に反応したカメラが向いた先で捉えた映像に、私は戦慄を覚えた。


あれだけの……あれだけの弾丸を受けて、立ち上がってる……!?


あり得ない……そんなのあり得ない……!


『だ、弾薬の再装填!急げ!!』


機動隊員の焦燥した怒声が響く。


『急げ!早くしろ!』


慌てる隊員達の手は思うように動かず、何人かがマガジンを落とす。


ガチャガチャという音が響いた後、ようやく再装填が完了しつつあった。



だが、銃弾が補充されるよりも……


『奴等』の手が届く方が……早かった。


『ぐっ……ぎゃぁぁああ!!止めろ、止めろぉぉおお!!』


予想外の出来事に困惑し、隊列と平常心を乱した機動隊員達に、暴徒達が次々に襲い掛かる。防護の薄い首元をごっそりとかじり取られ、機動隊員達の声にならない叫びが辺りにこだました。


機動隊による防衛ラインは破られ、彼等は暴徒達の餌食と成り下がってしまった。


乱心に陥った隊員が銃を乱射するが、直ぐに弾が切れ、抵抗する術を失った隊員は暴徒達の中に埋もれていった。


その余りにも惨い機動隊の末路に、思わず私は顔を背けた。同時にテレビ局も堪らず中継を切断したようで、画面はスタジオへ戻った。


そして丁度そのタイミングで、私達はなんとか新宿警察署前までたどり着いた。


周囲は出発した時とは打って代わり静まり返っている。


そして、警察署を構えている交差点に私達の車はいるわけだが、そこが制服警官達とバリケードに塞がれていた。


龍介がバリケードの前で停車すると、見張りの制服警官が運転席の窓をノックした。龍介が窓を開けると、制服警官は敬礼して言った。


「恐れ入りますが、お怪我はされていませんか?」


「怪我?どうしてこんな所で確認する?」


「署長からの直々のご命令ですので……」


「署長の?……まあいいや、俺は何ともねえ。綾芽、お前は?」


「何ともないわよ。」


私と龍介の返答を確認した制服警官は、何やら無線機で連絡を取り始めた。相手は署内だろうか?


「はい、了解しました。」


やがて交信を終えたらしい制服警官は、「お手数をお掛け致しました。どうぞ。」と言ってバリケードを開き、私達の車両を通した。


署内の地下駐車場にセダンを停め、車を降りる。


「……綾芽。」


車の扉を閉めた私に、龍介が言った。


「さっきのニュースでわかっただろ。」


「……何が。」


「もうあれは『普通の人間』じゃないってことだ。」


「…………」


そんなことはわかっている。先ほどのライブ映像で十分それは味わった。こいつは今さら何を言って━━


「お前の判断は正しかったんだ。」


「えっ……?」


「あの暴徒達は機動隊ですら一網打尽にした。しかも銃弾喰らって立ち上がるような奴等だ……あんな連中、傷付けずに逮捕するなんて無謀な考えだ。


それに……もしあの時お前が撃ってくれてなかったら……俺、間違いなく死んでたんだからな~」


そうか……こいつは気を使ってくれてるんだ。私が撃ったとき、酷く動揺してしまったから……


この時の龍介の表情は、今朝あれだけ私を苛つかせてくれたものと同じ笑顔だったが、この時は……とても暖かく感じた。


その暖かさは先ほど私の中で崩れ去っていった筈だったものを、再び組み立て直してくれた……そんな気がした。



「……ありがと。」


「え……今なんて……」


「さて、早く本部に戻って現状を把握しないとね。」


「おい綾芽!もう一回聞かせろ!」


「やだ。」


「頼むって!」



少しだけ、空気が和んだ気がした。


━━龍介、あんたがいると本当に心強いよ。





━━午前10時25分.


署内の混乱は今朝以上のものだった。


あちこちで怒声が響き渡り、負傷して戻ってきた警官達が苦悶の表情を浮かべながら治療を受けている。


中には二次被害によって相当な傷を受けた重傷者もいるらしく、除細動器まで駆り出されていた。


「……綾芽、さっきも言ったけど……俺達が対峙したあの男とその被害者……それからテレビで見た暴徒達……色々と変だったよな。」


血まみれの警官達から思わず目を背けながら、龍介が言った。対する綾芽もそれに静かに頷く。


「うん。変というか……有り得ないよね。」


「確かに、あり得ないっていう表現の方が妥当だな。まあ……その原因はさっぱりわからんが、『奴等』がどういうものなのかっていうのは少しはわかったぜ。」


「そうだね……まず、あいつらは完全に理性を……というか人間としての意識を失ってるように感じる。私達の再三の警告も無視したし、チャカ(銃)を向けても全く動じないどころか、容赦なく襲い掛かってきた。」


「綾芽、厳密には襲いかかってきたっていうのは少し違う気がする。」


「どういうこと?」


理解できなかった綾芽は、龍介に問い掛けた。


「奴等は……『喰らおう』としてきたんだ。」


「えっ……」


それを聞いた瞬間、背筋にゾクッとした感覚が走った。そんな綾芽に「お前も見たろ」と龍介は続ける。


「俺達が最初出くわしたあの男……被害者の女性の首にむしゃむしゃいってただろ?仮にも噛み殺すつもりだったんなら、ひと噛みして頸動脈さえやっちまえばそれで死ぬはずだ。だが奴は……それ以上貪り続けた。


首元の肉を、半分も食っていた。この行動から予測できる欲求はただひとつだ。


殺すことではなく……喰らうこと。」


━━そんなことあり得ない。人が人を食う?一体どこのB級ホラーよ。


……おそらく、昨日までの自分なら確実にそう言って相手にしなかっただろう。


だが……その光景を目の前で見てしまった今となっては……


余りにも現実離れした龍介の憶測を……否定することができなかった。




「仙堂隊長、ただいま戻りました。」


今朝以上の賑わい……ではなく混乱状態の署内を移動し、二人は第2機捜本部へ戻った。やはり機捜本部内の様子も、署内の状態と変わりはない。


「おお、良かった!無事だったか!」


綾芽達に気づき近付いてきた仙堂は、二人の目の前に立つや否や「怪我は無いか?」と真剣な表情で問い掛けてきた。


幸いにも無傷である二人は、首を縦に振って答える。


仙堂はそれに安堵したように溜め息を吐くと、「こっちに来い」と二人を隊長席まで引っ張った。


「こ、これは……」


仙堂の机に置かれていた物に、綾芽と龍介は思わず目を見開いた。機捜の愛銃M92バーテックの予備マガジンが弾薬満載の状態で積まれていたのだ。


仙堂は、その山から両手に3個ずつマガジンを手に取りながら言った。


「お前ら、奴等と出くわしたか?」


仙堂はそう言いながら、顎でテレビを指す。その画面には、更に拡大する暴動の様子と共に、政府高官による緊急会見が行われている様子が表示されていた。


「はい……集団とは遭遇しませんでしたが、恐らくは同じ連中の内の人間だったと思われます。」


龍介の応えに仙堂は頷くと、彼は綾芽へ視線を移した。


「宮野、お前の現時点での奴等に関する考えを聞かせろ。」


━━私の考え……


先ほど市街地で遭遇したあの男と、被害者の女性……そして帰りの車内で見た暴徒達と機動隊との乱戦……


その中で得た情報を頭の中で整理し、姿勢を整えて仙堂の問いに答えた。


「……まず、今回の暴動は他国で見られるような類いのものとは全くの別物と捉えるべきと考えております。暴徒達の一連の行動は、暴虐極まりないものであり、政治的な目的があるようにも見えません。


彼らに人間としての性があるのかということ自体が疑わしいです。


……いえ、それ以前に……」


━━と、ここで綾芽は言葉に詰まった。自身が言おうとしていることは、余りにも非現実的な……大半の人々が想像しうる世界から逸しているものだ。


……しかし、この目で見てきたものは全て虚構の世界のものでなく、今自分達が生きている現実で起こったこと……


……やはり疑うべきはここしかないと再確認し、綾芽は締めの一言を口にした。


「……あの暴徒達は、『まだ』人間なのか。まず疑うべきはそこであると、私は判断しました。」


その言葉に、仙堂の眉が僅かに動いた。


「その判断の根拠はなんだ?」


「隊長も大方はご存じの筈ですが。」


「いいから言ってみろ。」


「……では……。私達が遭遇した男は、ちょうどテレビに映っている暴徒達と同じような雰囲気でした。そいつは生気が抜けたように青白い顔をしており、瞳は焦点がわからないほど濁りきり、我々の警告に一切反応を示しませんでした。


そいつは女性にのし掛かり、首筋の肉を食べていたんです。私達の声に反応してそいつが起き上がったときの女性の首筋からは既に半分の組織が欠損し、流血が著しく、誰の目から見ても死亡しているのは明らかでした。


しかし……その女性は、その状態で突如起き上がり、高月を襲おうとしたんです。そしてその女性もまた……自身を殺した男と全く同じ姿に変わり果てていたんです。蒼白な顔面、濁った瞳……男と全く同じものでした。」


「……つまり、何故か規模を拡大し続けている暴徒達は、既に一度死んでいると言いたいわけか。」


「そう……なってしまいます……」


━━そう、信じられないが……奴等は既に人間としては死んでいるとしか考えられない。急所である首を抉られ、致死量の血液を失ったにも関わらず、突然活動を再開した女性の存在が、それを決定付けている。


そして……もうひとつ……


龍介もきっと、私と同じ推測をしているはず。そう思い、綾芽は目配せして龍介にバトンタッチした。それに気付いた彼は、「隊長、続きは自分が」と言って、話始めた。


「……もうひとつ。我々が遭遇した現場ではっきりしたことがあります。」


仙堂は龍介へ視線を移し、頷きながら「言ってみろ」と促した。


「根本的な原因は不明ですが……奴等に傷つけられる、もしくは殺されることによって……その者も奴等の仲間入りを果たしてしまう、ということです。


つまり暴徒達の増殖は感染によって引き起こされている。そしてその感染源も奴等の体内からの『何か』による。故に署長や隊長はしきりに怪我の有無を確認しておられるのだと解釈しております。」


「……見事だ。我々が掴んだ情報とお前達が述べた情報は全て一致する。大したものだ。」


笑みを浮かべ、仙堂は綾芽達の肩を叩いた。


その後仙堂から情勢を聞いた綾芽達は、ただただ頭を痛くすることしかできなかった。


警視庁との連絡が途絶え、既に警察組織としての統率は皆無であるということ。


各署との交信はまだ可能だがそれもいつまで維持できるかわからないこと。


現在署内で匿っている怪我人は、暴徒達による怪我以外を負った者のみ。


……すなわち暴徒達に襲われた怪我人に関しては、いずれ『同じ』になることが判明してしまったために、見捨てるという選択しか許されなかったということ。


「…………」


「黙り込みたくなる気持ちはよくわかるが、とにかく署長は今ここにいる者達の命を最優先に保護するため、署内とその周囲をバリケードで固める方針を決定された。よって動ける者は奴等に備える必要がある。お前達も例外無くな。」


仙堂はそう言って、綾芽と龍介の手に、それぞれ三つずつマガジンを掴ませた。


━━合計45発。今装填しているものも含めれば60発……あ、私は1発撃ったから59発か……


普段携行することの無い量の弾薬だが、それを見ても安心感や心強さは一切感じなかった。理由は先程のLIVE映像だ。


機動隊のマシンガンでの攻撃に対し、まるで何事もなかったかのように起き上がった暴徒達が、パニックに陥る隊員達を次々と襲っていった、あの映像……


奴等には痛覚が無い。いや……機能しなくなった。という方が妥当なのだろうか。


なんにせよ、体に弾を当てた場合、例えそれが心臓だったとしても一瞬足を止めることができるだけで、活動を停止させることはできないのだということがわかった。


だが……奴等は不死身じゃない。


今になって、龍介の背後に迫ったあの女性に弾丸を撃った一瞬のことを冷静に振り返ってみると、女性はあの1発で確実に死んだ。


当てた場所は……そう、眉間。


つまり奴等の弱点は、身体に指令を出す脳髄と推測できる。そこを損傷させることができれば、奴等の活動を停止させることができるということだ。


だが……その情報は有効であると同時に……


奴等を止めるためには、『殺す』以外に方法は無いということを綾芽に突き付ける残酷なものだった……



内ポケットへ予備のマガジンを潜り込ませながら考える。


この警察署に籠城するのはいいが、いつまでもここに留まれるわけではない。食料の備蓄には限りがあるわけだし、ライフラインだっていつまで使えるかわからない。


『籠城したあと』のことも考えながら行動しなければ、いざという時に賢明な判断ができなく━━


「きゃぁぁぁぁ!!」


「っ!?な、なに!?」


突然響いた叫び声に、綾芽は咄嗟に辺りを見回した。だが、室内は自分と同じく「何事だ?」という反応を示す者しか見当たらない。


……となると、部屋の外からの声……


━━その原因って……もしかして……!


機捜本部の扉へ走る。龍介と仙堂もすぐ後ろについてきているようだ。


加速した勢いをそのままに、綾芽はドアを押し開けた。部屋のすぐ外はエレベーターホール兼の拓けたフロアになっている。


普段は署内の人間達の話し声で埋め尽くされているそのフロアが……地獄絵図へと塗り替えられていた。


暴徒達から距離を置くために外郭を固めたはずの新宿署は、皮肉にも自分達を窮地に追い詰める檻と化してしまったのだ。


「そ、そんな……!どうして署内で感染が!?」


綾芽のすぐあとに続いてその光景を目の当たりにした龍介が、顔を真っ青にして言った。


続いて出てきた仙堂が、側で腰を抜かしている女性の肩を掴んだ。


「おい!こいつは一体どういうことだ!?何故署内で感染が起こってる!?」


仙堂の怒声に対して、女性は震えながらも言葉を紡いだ。


「あそこの刑事さんが……最初は意識もはっきりしていたんですけど、急に苦しみはじめて……


一度心肺停止状態に陥って、同僚の方が必死に心臓マッサージをしていると、突然目を見開いたんです……


でも……何か変だと思った瞬間、その刑事さんが突然心臓マッサージをしていた同僚の方に噛み付いて……それから……!」


「くそっ……わかった!もう言わなくていい!落ち着くんだ!」


背中を擦りながら、仙堂が肩を貸して立ち上がらせた。落ち着くんだと言った等の本人も、動揺を隠せていない様子であるのは誰の目から見ても明らかであった。


その横で龍介と綾芽は既に腰のホルスターへ手を伸ばしていたが、そこから拳銃を抜くことが出来なかった。


同じ仲間である刑事達までもが、何らかのルートであの暴徒達と同じ症状に感染した。その証拠に、側で腰を抜かしている仲間であるはずの警官へ飛び掛かり、容赦なくその肌に牙を立てている。


つまり……彼らはもう元には戻らない。


故に、頭ではわかっているのだ。


……殺す以外に、楽にしてやれる方法が無いことを。


だが、そうわかっていても尚……


暴れ出す彼等を、そのパートナーが拳銃を使わずに、涙を流しながら羽尾いじめにして動きを止めようとしている光景を見てしまっては、綾芽達に拳銃を抜く力はどうしても湧かなかったのだ。


騒ぎを聞き付け、あらゆる部屋から警官達が現れては驚愕した表情を浮かべ、たちまちパニックは全体へ広がった。


……無理もなかった。


綾芽達が飛び出した時は一人だけだった感染者が、彼が噛み付いていった内の何人かが体を痙攣させ、力無く床に崩れ落ちたかと思うと、ゆらりと起き上がり始めては、側でパニックを起こす者達へ襲いかかっているのである。


……無論、既にまともな人間からはかけ離れた状態で。


「一体何事……っ!?な、なんで感染者が!?奴等からの傷は申告するように命令されていたはずなのに……!」


いつの間にか綾芽の横には、後輩の名取が。彼も例外なく、驚愕した表情を浮かべている。


彼は咄嗟に右腰のホルスターへ手を伸ばしたが、眉をピクリと動かしただけで、そこから拳銃を引き抜くことはなかった。


既にフロア内は入り乱れ、的確に感染者のみを狙える状況ではない上に、綾芽達同様、その引き金を引くことにブレーキをかける何かが心にあるからであるということは間違いなかった。


「……た、退避しましょう先輩!ここは危険です!部屋に鍵をして閉じ籠ってしまえば……」


焦燥した様子で綾芽達へそう言う名取に、


「んなことしたらそれこそ俺達も終わりだ!自ら檻の中に入ってどうする!?」


龍介が振り向いてそれを遮った。


「っ……じゃ、じゃあどうするんですか!?」


「それを今考えてんだよ!」



この状況をどう鎮めるか。

おそらく皆、考えていることはこの一点である。だが、いくら知恵を絞ろうとも、警察学校で学んだ犯罪者への対処方法等を思い出そうとも、ここまで常識から逸脱した状態を即刻食い止めるための対処法が出てくるはずもなかった。


ただ、その惨劇に捲き込まれるのでないかという恐怖に押し潰されそうになりながら、悲鳴が轟く混乱状態の塊から距離を置くことしかできない。


……しかし、勿論距離を置いたからといって、どうなるというわけでもなく……


「っ!ヤバい、目つけられたぞ!」


龍介が叫んだ通り、三人の『警察官だった』者がこちらへ目を向けたのだ。


綾芽もホルスターの拳銃に手を添えて備える。同時に、目を向けてきた三人が勢いよく地面を蹴った。


━━……蹴った?


「っ!?」


━━今朝遭遇したあの男と違う!こんな……駆け出したりはしなかったはずなのに……どうして!?


一瞬にして距離を詰められた綾芽は、不意を突かれたことも重なり、拳銃を引き抜くことが出来なかった。


そのまま飛び付いてきた一人に対して、辛うじて相手の両腕に手をかけ牙の接近を食い止めた綾芽だったが、その勢いにそのまま床へ押し倒された。


「くっ……!」


━━何これ……力が強すぎる……!


押し倒されている側とはいえ、綾芽が感じた圧力は並みの人間の出せる力を超越したものだった。


合気道で受け流す余裕すら生まれない。


必死に押し返そうと手に力を加えるが、歯を剥き出しにする感染者の顔は眼前にまで迫っていた。


「くっ……ヤバ……!」


じわじわと腕の耐久力が削られていく。こちらはもう抑えるだけで手一杯だというのに、目の前の感染者の力は全く緩む気配がない。


プルプルと腕が震えだし、徐々に押されていく。


目の前でガチガチと歯を鳴らすその口から、仲間の血肉を貪って染み付いた死臭が漂っている。


自身の最期を悟った綾芽は、目の前の感染者から顔を逸らし、目をきつく瞑った。


━━もう……ダメ……


……諦めて抵抗を解こうとした、その時。


突如、今まで掛かっていた重圧がまるで空気にでもなったかのようにフッと消えた。


恐る恐る目を開けると、自分を押し倒していた感染者が、数メートル先に倒れている。


「ギリギリだったな!」


同時に、龍介の手が上から差し伸べられた。どうやら間一髪のところで彼が横から蹴り飛ばしたらしい。


綾芽が立ち上がると同時に、龍介が蹴り飛ばした感染者が呻き声を漏らしながらゆっくりと立ち上がる。


更にそのとなりで倒れていた感染者も同じく立ち上がった。そちらも綾芽達に飛び付いてきた内の一人だ。婦警の格好をしているその感染者を見て、龍介が舌打ちしながら、未だに名取と取っ組み合っている感染者を引き剥がし、投げ飛ばした。


「……す、すみません先輩……」


「礼は後で構わねえ……くそっ……何だこいつら!力が今朝の男の比じゃねぇぞ!」


どうやら龍介も飛び掛かる感染者に襲われていたらしい。感想も綾芽と全く同じものだ。


「あんた、あれを自力で押し返したの?」


床に打ち付けた頭を押さえながら、綾芽が問い掛けた。


「ああ……俺に飛び掛かってきたのはあの婦警さんだったからな……何とか押し返したが、ありゃ女が出せる力じゃねぇよ。どう考えてもおかしい。」


もう一歩下がれ。そう言って龍介は綾芽と名取と共に感染者との距離を取る。


「どうしますか?撃ちますか?」


「後ろで混在してる生存者に当てずに、不規則に動く感染者の脳天を撃ち抜ける絶対的な自信があるなら俺は止めんが?」


「高月先輩、そういうこと言わないでください!ホルスターに手が行かなくなります!」


「なら今は控えろ。」


「うっ……じゃあどうするんですか……!」


結局一度感染者を弾き返して同じ会話に戻ってきた彼らだったが、背後から届いた仙堂の声によってもう一周することはなくなった。



「お前ら、ここから逃げるんだ!」


「えっ?」


「逃げろって……いきなり何を!?」


突然仙堂から自分達だけが逃げる、という選択肢を突きつけられ、龍介と名取は、目を見開き背後の仙堂へ目をやった。


綾芽も眉を潜めて仙堂を見つめる。


対する仙堂はホルスターから拳銃を抜き取りながら、三人を見据えて続けた。


「……お前らはここに居てはいけない……!生きなきゃならん存在だ!……お前らには生き残らなければならない『理由』がある!」


「た、隊長?突然何を……!」


「俺には今わかったぞ……そう言うことだったんだ……これが俺の使命だったんだ……!」


「隊長!訳がわかりません!どういう事ですか!?」


「お前らが今理解する必要は無い!いずれ必ず何かコンタクトがあるはずだ!」


突然不可解なことを口にする仙堂に、龍介と名取が困惑した表情を露にして必死に呼び掛けるが、仙堂は首を横に振るだけで彼らの問いには答えようとしない。そんな仙堂の表情は、綾芽にとってこれまで見たことが無いものだった。


名状するならば……


何かを思い出し、そして一瞬恐怖し……しかしそれを確信して、決意した……


そんな風に彼女には見えた。だからこそ、余計に今の仙堂の言葉と素振りが不気味で……不安でならなかった。


━━どういう事……!?使命って……向こう側って何……!?


考えれば考えるほど不気味さを増す仙堂の言葉を振り払うように、綾芽は仙堂へ詰め寄る。


「隊長、何を仰りたいのかわかりせん!生きなければならない存在だというのは、今生き残っている全員に共通して言える事です!隊長も含め……っ!?」


言い切る前に、仙堂の拳銃が三人へ向けられる。綾芽達は予想外の展開に一瞬狼狽えたが、よく見ると彼の目は三人の向こう側を見据えている。


「伏せろ!」


同時に響いた仙堂の声に、三人は咄嗟に頭を下げた。


次の瞬間、仙堂の拳銃から発砲音が二発立て続けに轟いた。


刹那、何かがバタバタと倒れる音が響いた。見ると、背後に感染者が二名倒れている。


先ほど龍介が蹴り飛ばした者達だ。


そしてその先で……次々に理性を失い暴れ狂う者達を必死に抑えつけようとしていた刑事達が、とうとう感染者達の勢いに呑み込まれて壊滅しようとしていた。


既に警察署内の統率は皆無に等しい状態となっていた。聞こえるのは署員の悲鳴と銃声、感染者の金切り声が大半を占めている。


綾芽達にもわかっていた。もうここに残っていたって生き残る術は無いということを。


しかし、だからこそ綾芽は仙堂の命令に納得できなかった。


「ここに居てはいけないと仰るなら、隊長も一緒に! 」


そう、何も自分達だけが逃げる必要は何処にもないのだ。にも関わらず、先ほどの仙堂の言葉はまるで自分はこの場に残り続けると示唆するような言い方だった。


仙堂は綾芽の言葉に一瞬笑みを見せるも、首を縦に振ることは無かった。


「俺がこのまま逃げたら、まだ署内で抵抗を続けている奴等はどうなる?仮にも一組織の指揮を任されている人間だ、部下を見捨てて行くわけにはいかん。」


「なら!私達も……」


「ならんと言ってるだろ!お前らは一刻も早くこの危険地帯から出る必要がある!三人とも体も装備も無事な内に都心部から離れろ!」


「しかし……!」


「これは命令だ!!」


「っ……」


これまで耳にしたことがない仙堂の怒声と、感じたことのない覇気に、三人は思わず口を紡いだ。


なぜ、そこまでして自分達を優先して逃がそうとするのか。そして、何がわかったと言うのか。その理由を綾芽はどうしても聞きたかった。しかし、それが許される時間が一行には残されていなかった。


フロア内の感染者が、数少ない生き残りの自分達に狙いを定めてきたのである。


それを見た瞬間、仙堂は高月に歩み寄った。そして、彼のスーツのポケットに一枚の便箋を突っ込み、肩を掴む。額に汗を滲ませながら、仙堂は高月の目を見据えて静かに言った。


「いいか、どこか落ち着ける所を見つけたら読むんだ。理解し難い内容かもしれん……だが!それでも全員で最後まで読め……必ずだ……!」


そしてそのまま三人を追い越し、目の前の感染者達へ拳銃を構えながら叫んだ。


「早く行けぇぇ!!」


高月のポケットに便箋を入れる仕草を見た瞬間、突如視界が歪み始めたことを綾芽は感じ取った。


━━もしかして……死ぬつもりじゃ……!


「っ!隊長!ダメです!」


綾芽は涙ぐみながら、その一声に全てを込めた。仙堂もまた、ここで死なせていいような人間ではない。自分がそう思うように、龍介も名取も、彼が死ぬことを望んではいないことなど聞かずともわかる。


対する仙堂は、視線を感染者に向けたまま僅かに口角を上げるだけだ。


そして、同時にこちらに目を向けていた群れの先頭に立つ感染者が、濁った瞳をギョロギョロと動かしながら、血が滴る口を大きく開けて雄叫びをあげると同時に床を蹴った。それを合図として後続の感染者達も一斉にこちらへ向かってきた。


仙堂は目を見開くと、瞬時に先頭を走る感染者の足を狙い二発撃ち込んだ。


走り出したことも重なり、バランスを崩した感染者は勢いよく転倒。後続がそれに足を取られ、感染者の群れは次々と壮大に倒れ込んだ。


「今のうちだ!高月、二人を連れていけ!」


「くっ……」


「嫌です!隊長!あなたも一緒に……」


歯を食い縛り、仙堂の命令を受け入れるか否かと迷う龍介の横で、尚も仙堂の考えを変えさせようとする綾芽。だが……突然腕を引っ張られ、体が感染者の群れから遠ざかった。


「えっ……!?」


綾芽を引っ張ったのは龍介だった。


「龍介!なんで!?」


自身の手を強引に掴み引っ張る龍介に抵抗するように、綾芽は彼の背中へ目を向けた。


「ねぇ!龍介!」


「っ……」


「ねぇ!!龍介!!」


「っ綾芽!」


「っ!」


その瞬間、綾芽の抵抗する力が抜けた。振り返った龍介の溢れんばかりの涙が溜まった瞳が、自身の行為を誰よりも望んでいないことを物語っていた。


「綾芽……隊長の命令に従うんだ……!」


震えた声でそう言うと、龍介は綾芽の手首を掴んだまま名取も呼び、非常階段を目指し早足で進み始めた。


どんどん引っ張られる綾芽には、ただ離れていく仙堂の後ろ姿を見続けることしか出来なかった。


「……隊長……嫌……!」


やがて非常階段にたどり着いた名取が、扉を開ける。感染者がいないことを確認して、三人は階段を駆け下りていった。




バタン、と非常階段とを隔てる扉が閉まった音を確認し、仙堂はマガジンを換えながら起き上がりだした感染者の群れを見据えた。


「……安心しろ、宮野……俺は簡単にくたばる気はねぇよ。ただ……目の前で苦しむこいつらを楽にしてやらないといけねぇ……お前らをこんなことに付き合わすわけにもいかんしな……」


マガジンをはめ込み、仙堂は感染者に━━自身の部下達に優しい笑みを浮かべた。


「……さて、お前らもよく頑張ったな。今、俺が楽にしてやる……」


階段を駆け下りる綾芽達の耳に響き続けた銃声は、やがて届かなくなる。


それは、綾芽達にとって尊く、失いたくなかった命が、また一つ消えていったことを非情にも突き付ける沈黙だった━━




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