僕とトムとごまドレと
僕の名前はボブ。栃木在住のアメリカ人だ。
僕が幼い頃両親が離婚して、母親に連れられて日本に行くことに。
友人のナンシーの「日本といえば栃木よね!」という意見で栃木に移り住むことに。
栃木は暮らしやすいのだが、噂によると、隣の県では廃れた荒野に全裸で槍を持ったおっさん達が闊歩しているらしい。
そんなアパッチ集団もどきに怯えながらも平和な生活を送っている。
しかし今はそれどころではない。緊急事態だ。
祖母から貰った大切なカーペットを汚してしまったのだ。
祖母は御年97歳。現在は高知県でカツオの一本釣りをしている。
そんな逞しく大好きな祖母のプレゼントを汚してしまったのだ。
事の発端は1時間前の午前8時。朝食を食べ終えて何気なく手元にあったケチャップを部屋中に撒き散らしたのだ。
そこまではいいのだが、あろうことかカーペットまで汚してしまったのだ。
想定外の出来事に戸惑いつつ、どうしたものかと悩んだ。
(ケチャップの汚れ取れないし…せっかくのグランマのプレゼントなのに…)
その時、
ピンポーン
誰か来た。
この時間だとトムかNHKの集金だろう。
扉を開けるとトムが立っていた。
「Heyボブ!冴えない顔をしてどうしたんだい?」
こいつが僕の日本での友達、トムだ。
生まれも育ちも日本だが、両親ともにアメリカ人。なのに英語が喋れない変わり者だ。
「ああトム。カーペットの汚れがとれないんだよ。」
カーペットはケチャップまみれで大惨事だ。
それを見たトムは一瞬驚くも、解決策を見つけたのか懐から何かを取り出した。
「そんな時にはこのごまドレをぶち撒けるのさ!」
そう言うと僕の了解も得ずにごまドレをカーペットにぶち撒けた。
「なんてことをしやがる!!!余計汚れたじゃないか!」
「まあ慌てるなボブ。よく見てみろって。」
なおも冷静なトムに余計腹がたった。
「ふざけるな!これは祖母から貰った大切なプレゼントなんだぞ!!!」
そう啖呵を切ってみたが、直後あることに気がついた
「いや待てよ、なんていい匂いなんだ。汚れが気にならないほどいい香りじゃないか!」
トムの案は得策かもしれない。食欲をそそる香ばしいごまドレの香りはかいでいるだけでやる気が出てきた。
その日は風呂に入るため浴槽に湯を入れた。
ボブは宗教上の理由で2週間に3回しか風呂に入れないのだかそんなことはどうでもいい。
今はとても機嫌がいいのだ。
今晩のご飯は焼肉にしようと決めた。
カーペットの問題が解決して今は上機嫌なのだ。
野生の牛を素手で捕獲すると、持ち帰り焼肉の材料とした。
今日という日はとても充実した日のように感じられた。
ごまドレの香りがするカーペット。これに包まれてその日のうちに就寝した。
日が変わり深夜2時。僕は異臭で目が覚めたのだ。
原因は恐らくこのカーペットだ。電気をつけてよく見てみることに。
するとそこにはケチャップとごまドレで酷く汚れたカーペットの姿があった。
汚れたカーペットは吐瀉物に匹敵する悪臭を放っていた。
手の施しようがないのは一目瞭然だろう。
僕は諸悪の根源である。真夜中ながら呼び出すことに。
電話で呼ぶと15分ほどでやってきた。
気だるそうな感じのトムは僕を見ると急にテンションを上げた。
「Heyボブ!どうしたんだい?冴えない顔をして。」
自覚がないのかこのクソ野郎が。ムッとして睨むとトムは頬を赤らめやがった。
気持ち悪い死ねばいいのに。
しかしそんな事を言っても仕方がないので現状を端的にいうことに。
「昨日カーペットにぶち撒けたごまドレが異臭を放ち始めたんだよ。」
「それでどうかしたのかい?」
しらをきるつもりなのかこいつは。
「君のせいでカーペットが汚れたんだよ。どうしてくれるんだい?」
なるべく怒りをこらえるように言った。しかし返答は
「HAHAHA!当たり前じゃないか。」
この返事にはさすがの僕も堪忍袋の緒が切れた。
「Fuck you!何が汚れも気にならないじゃクソッタレ!」
そう啖呵を切ると彼に巴投げをお見舞いした。
そのまま彼はカーペットに倒れこんだ。
「ちょっと落ち着けよジョン!」
うるせえ僕はボブだ。
「冗談のつもりだったんだ!許してくれ!」
「冗談じゃ済まされないんだよ!これは大切なカーペットなんだ!」
「じゃあボブ、これで許してくれ。」
そういうとトムはおもむろに上着を脱ぎ始めた。
意味不明な行動に一瞬戸惑ったが、彼の上半身裸の姿を見た時に一瞬息が止まった。
胸には大きな3つの傷
背中には鳩のタトゥー
ヘソのしたには毛を燃やした時の火傷のあと
僕はその人物に見覚えがある。
「おとう…さん?」
「元気だったか?ボブ。」
僕はこの時涙が止まらなかった。
どうしてお母さんと離婚したの?
お父さんと別れるのは寂しかったんだよ
どうして長い間僕とあってくれなかったの?
お父さんの顔が見たかったんだから!
どうしてすぐに父だということを言わなかったの?
お父さんだと知ってたら酷いことは言わなかったのに…
どうやって生活しているの?
密漁だけじゃ生活できないでしょ!
どうしてカラーコンタクトを入れてるの?
緑色は似合わないよ。
どうして僕たちの居場所がわかったの?
まさかストーk…
このカーペットは捨てないことにした。
大好きなおばあちゃんと大切なお父さんとの思い出が詰まったカーペットだから。
でも日に日ににおいがキツくなるので、お父さんに保管してもらうことにしました。
おしまい( `・ω・´)ノ
はじめましてやましです。
Twitterをやっててふと思いついたネタを初投稿作品として書きました。
はじめて小説を書くので、友人に文章を確認してもらおうとすると、
「お前に小説とか似合わなすぎwwwww」
と、笑いつつも見てくれました。
きっと彼はツンデレなのでしょう吐き気がします。
でも、本当に初心者でしかも理系なので拙い文章になっているかと思います。
どうか温かい目で見てください。
ちなみに、私の周りにはボブもトムもいませんがごまドレはあります。