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プロローグ

こういう世界があったら面白いな~って思って考えました。

いて欲しい人材を全て詰め込むつもりです。

つたない文章の時もあると思いますが、よろしくお願いします。

夏は暑い。

当たり前なことなのに、つい思ってしまう。暑くて口がだらしなく開いているため、声には出なかった。汗がバケツの底を枯らすことなく滴り落ちる。汗も滴るいいワカメだ。


コンビニから出てきた男が店内と外の気温差に顔をしかめていた。

彼の職業は新聞記者である。先月末から今月の中旬まで殺人事件が続いていたため駆り出されていたのだが、今は盆休みもかねての休暇中だ。急な休みだったから、家族は旅行で外泊している。のんびり、大通りを散歩しながら帰ろうかと帰路のコースを考えていた。


時代は進んだ。今や全国で機械技術が向上し、各家電などの性能が爆発的に上がった。

この町は周りの町と比べてさらに機械化が進んでおり、大抵の仕事は機械がしてくれるようになっている。中心部には研究施設が集まり、国家機密の物も厳重に保管されているらしい。

研究施設は町の隅に一つずつ3基建立していて、衛星からだと三角形に見えることから「三点機巧化施設トライアングル・フロート」とよばれている。中央には「中央研究施設メトロポリス」という本部があり、その支部をそれぞれファースト、セカンド、サードといった具合に分けていた。


記者は「第二研究施設セカンドシティ」のよく手入れされた公園のベンチに腰掛けていた。

向こうの方では子供達が缶蹴りをして遊んでいる。時代は発展しても遊びは健在するようだ。鬼がすべり台の方へ向かって行くのを見計らって、ひとりの男の子が果敢に缶めがけて走り出した。反対方向へ足を向けていた鬼の子はしまったとばかりに缶へと走る。缶は男の子に蹴られ、街道の方へと飛来した。とそこに、運悪く男が通りかかった。夏だというのに厚手のパーカにフードを深く被っていて、顔が見えない。不審者のような男に危険を知らせる間もなく缶は男へ放物線を描く。全くの死角から飛んできた缶に男はやむなくあたった。一瞬、男がブレたように見えたのは気のせいだろうか。

男は痛そうな素振りも見せず、缶を子供達へ放った。その男の動作からして大丈夫だろうと思ったのか、子供達は何事もなかったように遊びだした。

そして男は記者に気づき近づいてきた。こちらを見据え、記者が座っているベンチへと真っ直ぐに歩いてくる。彼が女だったら逃げ出していたかもしれない。


「そこのあんた、第一研究施設ファーストシティってどこか教えてくれないか?」

声からして若い男だということが判明した。たかが缶とはいえ衝撃は全く痛くなかったのか、疑いたくなるほど自然で声相応の態度だった。


「それなら中央施設メトロポリスから北へ直線の道を行った方が早い。あ、中央研究施設は分かるか?あの真ん中の大きい建物で、この町のシンボルみたいなものだ。」

こんな狭い町じゃ、そんなに分からないもんでもないんだがな。この町に来たばかりなのだろうか。

記者が色々と詮索している間に、彼は背中に背負った大きなリュックサックを邪魔そうにズボンのポケットから地図を取り出し、しばらく眺めた後に、

「・・・チッ」

と舌打ちをした。相手の素性が分からないから口調には気をつけたのだが、何か気に障るようなことをしただろうか・・・。

彼は面倒くさそうに地図をしまい、

「・・・ありがとう」

と言って立ち去ろうとした。


そこでふと、記者は珍しいこの男に名前を聞きたくなった。

「よければ君の名前を教えてくれないか。どうせこんな中年の行き過ぎ、すぐ忘れるだろうと思ってな」

彼は表情の分からない顔をまだ缶蹴りで遊んでいる子供達へ向け、

「・・・無い」

と言った。


・・・いけないことを聞いたのではないだろうか。

記者が内心ヒヤヒヤとしていたが、彼はそれだけ問いて答えると中央研究施設メトロポリスの方へと歩いていった。大きな煙突みたいな物が出ているから今度は迷わないだろう。彼に申し訳ないと思いながら記者も立ち上がり、帰路につこうとした途端、強い風が吹いた。


なんとなく彼の方へ視線を向ける。そして記者は年で悪くなった目を全力で稼働させることとなった。フードが取れた彼の髪は赤く、目を隠した包帯が白く目立っていた。

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