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NEXT GEARS  作者: 結城 祐
2/21

遅く、騒がしい出発準備


戦争終結から約5万年後、魔族の王はいなくなったものの、レランガートには未だに魔族が世界中に生息している。



そのレランガートの第二の都市、ディラモートの周りは何も無い荒地だ。

荒地側から見ると、荒地の真ん中ににドンと巨大な壁が建っているように見える。

この大きな壁は魔族除けの為に町の周りを囲ったものだが、これはディラモートだけ特別にあるという訳では無く、ある程度大きい町などには全てある物だ。


そのディラモートの町から数キロはなれた場所。

もちろんそこは荒地のど真ん中なのだが、そこに大きくも無く小さくも無い2階建ての木造の家が建っている。

家の前を遮る物などは無い、その為大きくなくても十分目立つ。


その家の二階にある部屋の一室。

部屋には本棚、机、タンスなど、木素材の家具が置いてあり、部屋の窓際に置かれたソファーに一人の女性が寝ている。

そしてそのすぐ隣に置いてあるベッドにも女性が一人寝ていた。


二人とも、眠っているところを見ているだけでも分かる程の絶世の美女で肌の色は二人とも白く透き通っていて美しい。

髪の色はソファーで寝ている女性が眩しい銀色、対照的にベッドで寝ている女性が深い黒色だ。


二人ともスヤスヤと幸せそうに寝ている。



(バタンッ!!)と、いきなり彼女達が寝ている部屋の扉が勢い良く開かれる。


「・・・・何時だと思ってるんだよお前ら・・・もう昼過ぎてんぞ」


ドアの開き方とは対照的に、一人の青年が静かに言葉を発した。

怒り半分、呆れ半分といった感じだ。


この、青年の名はクレイヴ=フォード。

目は切れ長で鋭く、薄い青色、とても整った顔立ちをしている。

髪の色は金色で肩の辺りまで伸びている。


「おいっ!!いい加減に起きろっ!!」


クレイヴは返事が無い女性達二人に対し痺れを切らし、叫ぶ。


「・・・何??もう朝??」


最初に返事が返ってきたのはソファーの銀髪の女性から。


続いてベッドの黒髪の女性からも寝ぼけたような声で返事が返ってきた。


「深夜に決まってる・・・。

 良く見てみろまだ真っ暗だ・・・」


「そうだよね・・・真っ暗だもんね・・・」


「・・・二人とも大ハズレ。

 もう、昼過ぎてるんだ。

 大体な・・・カーテン三重にして太陽の光さえぎってたら暗いのは当たり前だ!!」


クレイヴが強く言葉を発すると同時にカーテンを思いっきり横に引っ張る。

当然、まぶしいばかりの太陽の光が窓際で寝ている二人へ直射する。


「もう昼過ぎなの?・・・・」


ソファーの上に起き上がり外を見て、呑気な声で銀髪の女性が言う。


「昼過ぎてるのか・・・・確かに外の光が眩しいな」


黒髪の女性もベッドの上に座って、目を細めながら、言葉を発する。


「ああ、そうだ、昼過ぎだ。

 こんな寝てばっかりの神様なんているのかよ、全く・・・」


「「ここにいる」」


二人は声をそろえて言った。


この自分自身を神と言う女性二人。


銀髪で眩しいばかりの輝きを放つおっとりした女性がクレイヴと契約を交わしている

光の神シャーネル。


黒髪でシャーネルとは対照的に、暗い雰囲気を出している男性のような口調の女性も同じく、クレイヴと契約を交わしている

闇の神ネイラ。


二人とも髪の色以外は見分けがつかないほど良く似ているが、眼の色はシャーネルが明るい黄色で

ネイラが吸い込まれそうな黒い瞳を持っている。


「大体ね。

 もう契約して3年経つんだよ?

 私達の強さぐらい分かってるでしょ」


シャーネルは自信満々でそう言った。


因みに、レランガートの時間の概念は地球と全く同じである。


「強さは認めるけど、お前ら見てると神様とは思え―――・・・どうでもいいから、早く今日の依頼の準備してくれ。

 それを伝えるために起こしに来たんだ」


クレイヴは否定しようとしたが、途中、部屋に来た理由を思い出し、今日の依頼の支度をするように頼んだ。


依頼とは、レランガートの職業の一つであるレンジャーが受け持つ仕事の事だ。

依頼者はレンジャーのギルドへ依頼を登録し、それをレンジャーが見て依頼を請け負う。


依頼は危険度が低いCランクから危険度が最も高いSランクまでで分類されている。

人探しの依頼から、頼まれた区域の魔族の排除等、様々だ。

そして、それらを達成した報酬金でレンジャーは生活しているのだ。


「じゃあ着替えるから出て行ってくれ」


ネイラが言う。


神とはいえ人間と契約している以上は、実体化しているか、その契約者の精神の中でしか生活することしか出来ない。

契約者の精神ではその契約者と話す事ぐらいしかできない、つまり実体化している以上、戦闘の身支度も自分で済ませなければならないのだ。


ちなみに食事や睡眠もとる。

身体を維持するためにはそういった事が必要不可欠だからだ。

これは、精霊にも言える事だ。


「・・・寝るなよ」


「チッ・・・承知した」


舌打ちをし、ネイラはしぶしぶ了解した。


「寝るつもりだったのかよ・・・」


「まあまあ、なるべく早く準備するから。

 一階でまっててね」


シャーネルがニッコリと笑って言う。


「・・・シャーネルも寝るつもりだったろ」


「な、何の事??」


図星だったのか、シャーネルは明らかに動揺している。


「はぁ・・・一階に行ってるからなるべく早く支度してくれ」


クレイヴは部屋のドアノブに手を掛け「・・・絶対に寝るなよ」と言葉を残し部屋を後にする。



そして、数分後。


身支度を済ませたシャーネルとネイラが一階へ降りてきて

椅子に座っているクレイヴの隣にクレイヴを挟むように椅子に座る。


「それじゃあ、今日の依頼内容だが。

 まず難易度はB。

 此処から南にある、ハンザードの町はずれの畑を荒らす魔族共を退治して欲しいとの事」


クレイヴが依頼内容の書いてある紙を見ながら一通り説明する。


「Bか。

 依頼内容を聞く限り、私かシャーネル、どちらかがクレイヴ着いていけば余裕だろう」


ネイラがいかにも、私は行きたくありません的な、空気を醸し出しながら言った。


「念の為にも二人共連れて行きたい所なんだけど。

 この間、お前らが変な事やって吹っ飛んだ部屋あるだろ?」


「あ〜それって暇だからネイラが太陽を隠すか、私が太陽を闇から守れるか力試しした時だよ。

 その途中にちょっとした不祥事が起きちゃってその部屋が一個吹っ飛んだよね。」

 

シャーネルがとんでもない事を口にした。


「あの時クレイヴは町へ買い物に行ってたからな。

 知らなくて当然だろう」


ネイラがその時の事を思い出しながら言った。


「・・・まてよ、お前ら俺が帰ってきた時なんていったっけ??」


「・・・・さ、さあ??」


とぼけるようにシャーネルが言う。


「大型の鳥系魔族が空から現れて、咄嗟に魔法を撃ったらああなったとかいったよな?」


クレイヴが問う。


「い、いや、本当に飛んできたんだよ」


「ああ、飛んできた」


「ウソ付けっ!!」


「「・・・ごめんなさい」」


二人が罪を認めた。

案外認めるのが早い。


「はぁ・・・」


溜息をつくクレイヴ。


「・・・なら、あの日、数分間太陽が半分になっていたのは、お前らの仕業か?」


もう一度クレイヴは二人に聞いた。


「そういう事だな」


「・・・まさか、町が大騒ぎになった原因が家にいるなんて思わなかった・・・・」


「え〜〜〜そんなに騒ぐ事じゃないのにねぇ」


「ああ」


シャーネルの言葉を肯定するネイラ。


「いや、町の人々の反応は正しいと思うぞ」


通常いきなり太陽が半分になったら驚くのは当たり前である。


「で、話を戻すけど、今日その部屋を直しに来てもらうんだ。

 そういう訳で、一人留守番してもらおう」


「それでは、家は私に任せておけ。

 部屋が吹っ飛んだのは私の責任だからな。

 シャーネル、クレイヴを頼んだ」


ネイラがシャーネルの肩をポンと叩き

ここを立ち去ろうとする。


「え〜、ちょっと・・・」


シャーネルが不満そうに言う。


「あ、そうそう、言い忘れてたけど」


クレイヴが思い出したように手をポンッと叩く。


「今回の依頼の対象、畑を荒らす魔族は夜に出現する魔獣型だからな。

 そういう訳で・・・分かるよな??」

 

それを聞いたネイラの肩がガクッと落ちた。


「・・・面倒な依頼を受けたものだ・・・」ボソッとネイラが呟く。


何故ネイラという選択なのか。

それは、夜の戦闘ともなると辺りは暗闇。

暗闇だとシャーネルの光の能力は十分には発揮されない。

故に闇の力を持つのネイラと行動した方が良いとクレイヴは判断したのだ。


相手が光に弱いヴァンパイア系統ならシャーネルも良いが、今回は相手が夜行性というだけで

特別光に弱い訳ではないからだ。


「それと、シャーネル。

 しっかり留守番しておいてくれ」


「寝てちゃいけないの?」


「・・・だめだろ、普通。

 誰が修理屋が来た時に説明するんだよ?」


「あ、それを私がやるのか」


「そういう事だ。

 しかし、本当にどれだけ寝られるんだお前は」


「最高16時間」


ニッコリとピースをしてシャーネルは言う。


「流石、神様」


クレイブが皮肉をこめて言う。


「照れるから止めてよ〜〜〜」


それを思いっきり真に受け、色白の顔を赤らめる光の神様なのであった。




「褒めてねぇよ・・・」



クレイヴは照れているシャーネルに聞こえないようにボソッとそう言った。



此処からが本編であります。


とりあえず、クレイヴはクールだけども

何処か熱い青年を。

シャーネルは光の神らしく明るく優しい感じで

ネイラは対照的にクールな神様。


てな、感じで書いていこうと思います。


それでは、今後ともよろしくお願いします。

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