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NEXT GEARS  作者: 結城 祐
18/21

別れそして旅立ち






「じゃあな。

 短い間だったが、世話になった」



時間が経つのは早いもので、完全に昇った朝日が夜の出来事がまるで無かったかの様に家々を照りつける。

それは彼らにとっての別れの時を意味する。


クレイヴは、家の外に出て最後まで3人を見送ろうとしているフォルシオとタリス、そしてカロナリアに向かって小さく一礼する。

カロナリアは体の悪さ故、基本的には外には出られないのだが、今はフォルシオがおぶっている状態。

彼女が話をしてくれた三人を最後まで見送りたいと、どうしても聞かなかったのだ。


「世話になったのはこちらの方だ。

 本当に助かったよ、それに娘に話までしてくれてな」


フォルシオも戦闘の中とは言え、一時を共有して過ごしたクレイヴ達との別れを惜しむかのように言った。


「お兄ちゃん達、本当にありがとねっ!

 話、とっても面白かったよ!」


本当に楽しかったのであろう。

今から分かれる事も忘れて、満面の笑みを浮かべながらカロナリアは言った。


「それは良かった。

 俺達も話した甲斐があったよ」


「話してる私達も楽しかったしね~」


クレイヴとシャーネルもその笑顔につられて、自然と笑みが浮かぶ。


「タナトスお姉ちゃんも、ありがとねっ!」


「うん、私もすっごく楽しかったわ。

 また来るからね」


「うんっ、絶対にだよっ。

 約束だからねっ!」


「うん、約束っ」


そう言って、タナトスは笑顔で少女の頭を撫でた。


カロナリアの体の事を考えれば、この『約束』も必ず成り立つものでは無い。

それを知っていながら尚、笑顔で接するタナトス。

いや、むしろ必ず再会する為に笑顔で接しているのだろう。

そしてカロナリアもそうであるのだ。



「それじゃ、そういう事らしいからさ。

 また機会があれば、寄らせてもらうよ」


クレイヴはそんな二人の姿を見てから、フォルシオに向かってそう言った。

彼もまたそんな二人の心情を察して、再会の約束を遠回しにしているのだ。


「あぁ、いつでも来い。

 歓迎してやる」


「その時はう~んと美味しい料理を用意するわよ~」


「あぁ、それじゃ」




クレイヴ一行は、手を振るフォルシオ達を背に駅へと歩を進めるのであった。























恐らくいつもどおりの朝が、町の人々には訪れている。

勿論多少の損傷はあるものの、砕かれた結界もすでに回復し、人々も普段どおりに生活をしている。


一行はそんな風景を列車の席に座り、やや眠気が残る目でぼんやりと見つめていた。






すでに列車は動き出しており、窓の外の風景は速度を増して流れてゆく。

行きと同じく水の壁を突き破り、一行が乗る列車が向かうはこの世界一の巨大都市『インティス』





「いよいよ、あともうちょっとでインティスだね」


「あぁ、そうだな」


「あ~、そう言えば俺ってば、一旦そこで皆とお別れって事なんだよねぇ~。

 何か滅入っちゃうねぇ、折角楽しかったのにさぁ」


タナトスは本当にそう思っているとは思えないような軽い感じで、両手を頭の後ろで組みながら言った。


「ようやくお荷物が減るって事で、こっちは大助かりだよ」


これも本心かは分からないが、出発したばかりの町の風景をぼんやり見ながらクレイヴは皮肉っぽく言った。


「えぇ~そうかなぁ・・・タナちゃんといると楽しいのに~」


「そうか?疲れるだけだろ。

 さっきみたいな、ややこしい事になったり・・・」


クレイヴはすぐさま嫌がるシャーネルを否定した。

『さっき』とはフォルシオ宅でのタナトスの演技に対してだろう。

その事もあってかクレイヴは窓の外から目を離さない。


「それをいわれちゃあ、困っちゃうんだけどねぇ~。

 あ、そう言えば聞かないワケ?俺が演技してた意味さぁ」


「いや、それはもう良いよ。

 何となく分かった様な気がするし。

 あんまり話したく無いんだろ、お前も」


勝手にクレイヴの中で解決しただけなのだが、聞くほどにまでの興味は無くなってしまった様である。

と言うよりも面倒くさいだけか。


「う~ん、何だかんだ言ってクレイヴって優しいんだよねぇ~。

 シャーネルちゃんとネイラちゃんが何でクレイヴを選んだのか、分かる気がすんねぇ~」


「でしょ、でしょ?

 そうそう、あ~だこ~だ言っても結局は優しいんだよね~」


「お前らな・・・・」


興味が無くなっただけなのに、勘違いで褒められても嬉しく無いのだろう。

しかし文句を言っても不自然でしかないので、ひとまず窓の外から視線を外してから正面を向きシートに深く座り込む。


するとふと思い出した。

昨晩から寝てない事に。


会話に疲れたのも相まって、睡魔はここぞとばかりにクレイヴの瞼を下ろそうとする。


「・・・んじゃ、俺は寝るわ。

 二人は問題ない程度に行動しててくれ」


これは敵わないと思い、会話を無理やり切って目を閉じる。

目を開けたときにこの二人が問題を起こしてない事を祈りつつ。


「はぁ~い」


「はぁい」



間の抜けた返事がどうも心配な心を揺さぶるが、睡魔には対抗できず、

クレイヴは一瞬の内に瞳を閉じ、眠りに着いた。









遅れた割に文章短くて申し訳ないです。

今回は別れから、出発までの展開で区切りたかったので短めなんです。


さて、笑顔で再会を誓ったクレイヴ達。

次に向かうのはいよいよ折り返し地点のインティスです。


そろそろ、物語的にも大きな転機がやってきます。

乞うご期待!


追記:そう言えばブログ始めました。

良かったら見てください、損はしないっ・・・はず。↓


http://u0831.blog89.fc2.com/

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