類は友を呼ぶんだってさ、だから落ち着けよ。
街が家のライトで照らされるようになる夜の時間。
街の隣にある森からある人影の姿があった。
「...........やっと着いたぜ......」
金条は今にも消えてしまいそうな、線香の火のような声を放った。
長時間森の中でさまよっt.........いたため時間がかかってしまった。
しかし長時間といっても、ワニを倒してからそんな時間はたっていなかった。
まぁ、女子が外に行く前に風呂に入ってから、化粧をして身支度を終えるぐらいの時間である。
「いや、クソ長ぇじゃねえかよ.......」
そうやって金条は女づきあいもないのに、知ったかぶりをする。
「知ったかで悪かったな........さて...どうしたものか.....」
金条は空を見上げる。
現代日本と違って文明はまだ発展していないのか
街灯などがないためよく星が見える。
辺りには満天の星空が広がっていて金条の心を奪った。
「東京でもこれくらいの星が見れたらなぁ.........」
金条はそう妄想するが、彼は内心はもう東京の夜景を
見ることはできないとほぼ確信している。
なぜならあの仙人クソじじいに魔王を倒して来いと
訳も分からず母親が子供にお使いを頼む風[ほぼ強制]に言われてしまったからだ。
魔王を倒せるわけがないため、金条はこの世界で生きることを決心したが.......
それはこのスキル『ギャンブラー』が使い物にならなかったときの場合だ。
以外にも感覚派な金条はスキルを使い、味を占めていた。
(このスキルの汎用性は分かった......だがこれをどう使って魔王を倒すかだな。)
考えるのが苦手で後先考えずに行動する金条は、ギャンブルにより酷使された脳を使って考えた。
そして一つの結論へと至る。
「........寒ぃな............」
実にバカであった。
いや理解できることではあった。
今もワニに襲われ汗だくになった体に、針を刺すような夜風が当たる。
このままの状態だと風邪をひくだろう。
しかし、今ここまで真剣に考えていたのに寒さを感じるのだろうか.......
この男やはり何かがズレている。
「とりま泊まるとこねぇかな?」
そう金条は冷え切った体を強引に動かす。
すべては静かな安眠を確保するために........
◇◇◇◇◇
「だぁ~かぁ~ら!絶対後で払うから泊めてくれよぉ~!!」
「駄目だつってんだろ.....この話聞かねぇ兄さんはよ.....」
まるで駄々っ子を見るような目で、この宿のオーナーはあきれ気味に答える。
「今は金ねぇんだよぉ~....頼む!!一生のお願いだ!!俺を止めてくれ!!」
金条はそう言うと涙目、34.7度の上目遣いを披露する。
34.7度とは金条が生前に千冊以上の同人誌を見てたたき出した
もっとも人が相手を本能的に許してしまう上目遣いの角度だ。
金条の涙目と上目遣いは完ぺきだった。
必要な要素は一つを除いて揃っていた。
そう、一つを除いて............
「何やってんだ兄ちゃん?」
そう金条、彼は男である。
上目遣いは男がやるか、女がやるかで雲泥の差がある。
確かに美少年だったら、まだましだったろう。
しかし.......
「金がないなら帰りな。」
そう言いオーナーは金条を店からつまみ出す。
「まっ待ってくれ!!」
ガチャン!っと金条を否定するように扉は閉じる。
金条に残されたものは喪失感と寒さのみ
「クッソ!!.......風呂があった最高の宿なのに.......」
まるで行きたかったライブのチケットが不当選とスマホの画面に出たときに
スマホ画面を睨むような目つきを扉に向けていた金条だが、彼は一つ思い出す。
「......あれ?ピースって全部使い切ったっけ?」
こんな時こそ、この男の脳みそは回るのだ。
◇◇◇◇◇
「シエラ!!急ぎだ、早く残りのピースを出してくれ。」
「.........そんなことだろうと思いましたよ主.........」
暇なときに本を読むような、足を組んでリラックスした姿勢で
タブレット端末を見ていたシエラは言った。
「一部始終は端末これで見ていましたよ。お金ですね?
少々待っていてください。」
そう言いダルそうにシエラは立つと
商品交換所の棚の隣にあるちょっとお高めそうな扉の中に入っていった。
そして、でかめなカップラーメンが出来上がるくらいの時間を待っていると....
「お待たせいたしました。全部硬貨に換金しておきましたよ。」
出てきたシエラは、金条の前に茶色い袋を置いた。
「………全てこの袋の中に入ってますので……」
と言い、シエラは丁寧に袋の口を開ける。
金条が袋の中を覗き込むとその中には赤い硬貨がたくさん入っていた。
「これは、赤貨と言います。」
せ、せっか?と言いたげな顔をしている金条にさらにシエラは続ける。
「この世界の硬貨は主に七種類に分けられます。
低い価値から、赤貨、青貨、緑貨
銅貨、銀貨、金貨、白貨となります。
さらに上に大白貨と呼ばれるものがありますが、
触ることすらないと思うので省きます。
百枚でその硬貨の一つ上の硬貨一枚と同じ値段になります。」
「なるほど......でもその大白貨は商品交換所ここにあるんでしょ?
商品交換所ここには何でもあるって言ってたじゃん。
どれくらいの価値なの?」
そう問うと、シエラは顔を曇らせる。
「ありますけど......価値ですか?..........価値が大きすぎて説明しづらいですね....
そうですね......例えると、主の生前に住んでいた国で
政治を100年は回せるくらいです。」
「............ピースに換算すると?」
「1000ピースで赤貨500枚ですから.......1ピース0.5赤貨です。
つまり大白貨を手に入れるには、20の100000000000000乗枚です。」
「おっしゃ!やめよう。」
とても諦めが良い金条はさらに尋ねる。
「あっ、じゃあこの袋には赤貨が500枚入ってるわけ?」
「はい。そうだと思います。」
「そうだと思います?........えっ?数え間違えてないよね.......?
じゃあまぁ、青貨5枚と変えてくれない?」
「分かりました。また少々お待ちください。」
シエラそう言ってまた扉に入っていくと、今度は10秒待たずに出てきた。
「はやっ⁉」
「どうぞ。」
彼女の手に握られているのは、青貨5枚。
それを優しく金条の手の上に乗せると、優しく微笑んで言った。
「行ってらっしゃいませ.......主カスタマー............」
◇◇◇◇◇
「だから、足りねぇって兄ちゃん。」
「はぁ?高すぎんだろこの宿⁉」
そう言って金条は怒り狂う。
何せ宿泊代が青貨8枚だったからだ。
あと3枚足りない。
「なんでだよ?俺の世界の民宿はめちゃくちゃ安かったぞ!」
「み、みんしゅく?知らんがな。足りないなら帰れ。」
オーナーがそろそろ限界に近い。
それを感じ取る金条だが、引くわけにはいかない。
「外に出たら、俺は死ぬぞ!!いいのか!?」
「知らん。勝手にしやがれ。」
そう言って裏に消えていこうとするオーナーを金条は呼び止める。
「あぁー!!そうやって見捨てるんだぁー!!いけないんだぁ~」
とここで金条の小学生が考えそうな煽りがオーナーの心をえぐる。
「あ?」
パキパキとオーナーが指の関節を鳴らす。
オーナーの方がどう見ても体格がいい。
殴り合ったら金条が瞬殺されてしまう。
ここで素直に謝ればまだよかったものを.......
しかし、金条はギャンブル精神でこぶしを構えてしまう。
終わった........................この物語は3話で終わりか.......
二人が見つめ合い、両者のこぶしが動こうとしたとき.........
「えっ!?......何してるの!?、ストップ!ストップゥ~!!」
宿のカウンターに女の高く、耳が痛くなりそうな声が響いた。
「ちょっと、オーナーさん!?喧嘩はだめでしょ?」
そう言って女はオーナーと金条の間に入り込む。
女はリラックスできるようなちょっとダボっとした
パジャマみたいな服を着ているため、
女のダブルマウンテンが強調されていた。(服が伸びやすいため)
「い、いや、嬢ちゃん、そうじゃねぇ.....全部こいつが悪いんだ!!」
オーナーはそう責任転換したが、
とても自身に不都合なことを言われそうになった金条は反論しようとする。
「そうなんだよ~。そこの.....巨乳のお姉さ.......んッ!!」
ここで金条の26年間の女性ノウハウが裏目に出る。
いつも読んでいた同人誌では男が女のことを巨乳と言っても許されていた。
なので言ってみても大丈夫かと思ったが.......
金条は見返りを受けることになる。
金条は頬に赤い腫れを作り、2メートル後ろに吹っ飛ばされていた。
「......オーナーさんわかりましたッ!!こいつが悪ですねッ!!
すぐ吹っ飛ばすんで待っていてくださいねッ!!」
そう言って女は胸を手で押さえて、金条に向かって双剣を突きつける。
「待って、待って!!!、死んじゃうから!死んじゃうから~‼」
「問答無用ッ!!」
この鬼ごっこ風の殺人ゲームは、
金条が走りながら状況を説明し終えるまで続いた。
◇◇◇◇◇
「なるほどね!で、君はお金が足りないと?」
「そうです.......分かってくれたら降りて........重たいから。」
今は、金条の上に女が馬乗りして拘束している状態。
そんな時に重いなんて言ったら........
「........へ~.......まだそんなこと言えるんだ?」
女が金条の首の横に剣を持ってくる。
天井の照明に反射されてキラリと光っている剣が恐怖を与える。
「いや、あのね、圧っすよ。圧。」
そう誤魔化すと、女の顔が少し和らいだ。
あっ、これは許されるんだ、と思いつつ金条は女の顔を見上げる。
「はぁ、そんなことなら最初から言えば良いものを....
いいですよここは貸し1です。」
そういうと女は青貨を3枚取り出し、カウンターの上に置いた。
「はい、払ったんでもう大丈夫ですよ。」
そう言われたが、別の問題が発生する。
それは金条ならではの問題.....
「ありがたいが......返済日は?」
「へっ?」
生前ずっと消費者金融に金を借りていたため、
返済日というものが体に染み付いていたのだ。
そのため、金の貸し借りには人一倍敏感なのである。
「えっ?......あぁ〜、大丈夫ですよ。
私って実は冒険者やってて、結構ランク上なのでお金いっぱいあるんですよ。」
「..............貴方あなたは女神か?.........」
この瞬間、金条の中でこの女が巨乳殺人鬼から女神に変わった。
◇◇◇◇◇
カポーン!
浴場の桶の音が心地よく響く。
体を洗い終えた金条が滑りそうな床をゆっくりと
踏みしめながら露店風呂に向かって行く。
そして、湯船に浸かる。
湯船の熱い湯が金条の疲れた体に染み渡る。
「ふぅ〜、ごくらく極楽ってやつだな。」
湯船から白い煙がもあもあと上がる。
その湯船の中でこれから行わなければいけないことを整理する。
①最優先事項 魔王討伐
②仲間づくり
③冒険者としての活動
この3つとなる。
①は置いといて
③はラノベで仕入れた知識があるため、
ギルドでなんやかんやすることなどは金条自身理解している。
②がこの世界での最初の難関だろう。
果たしてパーティーを組んでくれる人がいるのか?
生前でも金条は集団行動を苦手としていて、
高校生の時の文化祭でクラスの演劇を行うさいには
ほかのクラスの屋台に行って参加し忘れた伝説を持つ。
しかし、そこは明日の金条自身に任せることにする。
いわゆる『丸投げマイセルフ』である。
こうして頭を悩ませていた金条だが、
今は気にすることなく湯船につかりたいと願う。
今日はワニと戦い、あの女神様とデスゲームをし終えた後なのだから。
夜風が当たり、金条の頭を冷やしていく。
だが、その冷やした頭は再度灼熱のように熱くなるのである。
「ふん♪ふふん♪ふふん~♪いや~、いい湯だな~」
あの女神様の声である。
ガバっと勢いよく金条は立ち上がる。
そう、隣は女湯である。
生前一度も見ることができなかった。
女の生裸。
金条の金条が星を見上げる。
こんな時の男がやる伝統......覗き。
幸いあのオーナーは男湯と女湯の間を木の板で隔てている。
つまり木の板同士の間から覗けば、女神様の素晴らしい肉体を見ることができる。
(あの女......結構デカかったよな?)
どのような感じなのだろう?
そう金条が胸を膨らませながら木の板に近づいていくと.....
「........ん?何?.......えっ?..............キャァァァァァーーーー!!!!!!!!」
女湯から急遽叫び声が聞こえた。
なんだ?何があったんだ?そう思っていると......
ダンッ!という大きな音が鳴り、木の板が金条めがけて吹っ飛んできた。
「は?」
そのまま何もすることができず、
金条は木の板ごと吹っ飛ばされ湯船にダイブする。
「.........ブハァッ!!...あぶねぇ!死ぬところだったぞ!」
湯船から飛び出し女湯に向かって叫ぶと、
目の前にはダッシュでこっちに突っ込んでくる女神様の姿があった。
そして金条に抱きつくと......
「ねぇ!ちょっと君!お願い助けてぇ!!.....今こそ私に恩を返す時だよ!!」
そう言って女神様が女湯の湯船に向かって指をさす。
「れ、レイクスパイダーが出たのぉ!!.......助けてぇ~」
レイクスパイダー?金条は脳を自身の体にあたる女の胸に
9割9分支配されながらもそう疑問に思った。
恐る恐る女湯の湯船に近づく。
さっきの板が倒れた衝撃によって周りは煙に覆われていた。
そのため見づらいと思っていたが.......
「はぁ?.....なんだよ、アメンボかよ。」
速攻で発見した。
流石、夜中の1時に自動販売機の下でお金を探していた男は伊達ではない。
こうして金条はアメンボを掴み、露天風呂の外へと投げ捨てた。
「おい~。終わったぞ。」
「ほんとに?......もういない?」
「あぁ。いないぞ自分の目で確認するか?」
「ううん、大丈夫。ありがとう。」
そう言い、姿はシルエットでしか見えないが女神様も女湯に入ってきた。
「しかし、派手にやったね?」
「いや~、虫が苦手なもんでして......」
そう言った直後、女はとんでもないことを発言する。
「あ~、煙立っちゃってるね.....風で飛ばすか...........」
ふぁ⁉︎⁉︎
過去最大級のピンチが訪れる。
今は煙が立って自分の裸が相手にみられることはないが、
煙という防御が失われたらもうおしまいだ。
金条の金条が女神様の脳内メモリに保存されることになってしまう。
それはまずい。
見るのはいいが、見られるのは違う。
金条は自分の秘部を隠すべく、何かないか周りを見ようとしたところ.....
「ごめん~!今飛ばすね。」
ブンッ!という音でその思考は止まる……
かけた。
こんな時こそ頭が回る金条。
しっかり相手の裸を見ようと目を思いっきり開くが.....
見えるのは体をタオルで包み、板を振り回した様子の女神様のみ。
しっかり上から下まで完全防御だ。
はぁ?上にも下にも弱点があるのに何で隠せてんだよ?金条はそう考える。
対して自分はタオルなし、金条の金条は寒さで縮こまっている。
そんなバットコンディションの状態の金条は気づく、
女の目線がある一点に集中していることを.......
「..............はっ!....気にすることないよ!小さいのだって個性だから!」
「.....なめてんじゃねーぞぉぉ‼風呂場にタオルなんか巻いてんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!
この痴女がぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
金条の叫びは夜空に吸い込まれた。
ちなみにこの事件をきっかけにこの宿は混浴になることを二人は知らない。
◇◇◇◇◇
鶏がコケッココーと鳴くであろう時間帯。
金条は宿を出ていた。
「はぁ、あの宿なんだよ?マジで........」
昨日の夜のことをまだ引きずっているらしい。
小さい。それは全世界の男には一撃必殺である。
まだその後遺症に苦しめられている金条だが、
今朝はオーナーから聞いたこの町のギルドに向かっていた。
ギルドでは冒険者登録、クエストの受注など諸々やっているらしい。
まずはそこを目指す。
しかし、もう足取りが重い金条、彼はこの先どうなるのだろうか?
◇◇◇◇◇
「ここかぁ.......」
街の中心部にある、冒険者ギルド。
看板には大きい剣が描かれている。
意を決し扉を開ける。
少し顔をのぞかせると、中には屈強な男達やいかにも魔術が打てそうな女達。
バタンッ!と金条はドアを閉める。
「いや、ムリムリムリ!あんな中入っていくのかよ!?」
確かにいつも御用達のパチンコ店では、ガリガリな連中しかいなかった。
入ったら殺られる。
金条の本能が危険だと叫ぶが.......
「おい、お前邪魔だ。」
後ろでそんな声がした。
振り向くとごつい体つきをした男が4人、金条を見下ろしていた。
「すいませんすいません!!どうぞどうぞ~」
金条は爆速でドアを開けてあげる。
「おう。助かるな。」
開けたドアからぞろぞろと4人が入ってくる。
最後の一人が入り終わった後、小さく息を吐く。
(あぶねぇ~。殺されるところだったわ。)
そう安心しているが、彼は気づいていない。
もう彼はギルド内だ。
「あっ、やっちまった……」
もうここまで来てしまったのなら仕方がない。
金条はカウンターへと向かう。
カウンター内にはきれいな顔立ちの女の係が4人楽しく女子トークをしていた。
そのうちの一人が金条に気づくと、金条の前に立つ。
「どういたしましたか?」
「あの~、冒険者登録をしたいんですけど。」
「分かりました。では、お名前をどうぞ。」
そう言うと係の人はカードのようなものを取り出し書き込んでいく。
「金条賭博です。」
「.....はい。ありがとうございます。次に年齢と出身をお願いします。」
「年齢は、26歳で出身は東京です。」
「とうきょう?(どこかの集落かな?)まぁいいでしょう。
最後に使用武器とスキルをお願いします。」
「えっ?......使用武器はなしで、スキルは『ギャンブラー』です。」
「??????........ぎゃんぶらーですか?」
係の女は首をかしげる。
それに反して、あれ?俺なんか変なこと言いました?状態の金条。
「失礼します。その~、スキル内容を
お聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
「あぁ~いいですよ。このスキルは私の■■世界へ■き、
そこで■いだ■ー■を使って自分が■しい■■と■■して
それをこちらの■■に■■■■て使用できるスキルです。」
「.......あの~何が何だかさっぱり......」
「だから、簡単に言うと自分の■■な■を■■入れられるスキルです。」
「.........?....とりあえずわかりました。....え~と『ギャンブラー』ですね?」
「はい。そうです!」
「..........分かりました。こちらがあなたの冒険者カードになります。」
「なんですかこれ?」
「簡単に言うと、あなたが冒険者だという証明書みたいなものです。」
「へ~、ではこの『Ⅰ』というのは?」
「それは冒険者ランクです。
下から『Ⅰ』『Ⅱ』『Ⅲ』『Ⅳ』『Ⅴ』『Ⅵ』
『Ⅶ』『Ⅷ』『Ⅸ』『Ⅹ』まであり、
冒険者個人やパーティーの強さを表す値です。
これはクエストをこなせばこなすほど上がっていき、
上位ランクほど受けられるクエストの幅が広がります。
『Ⅷ』以上からは国家から手厚くサポートされるんですよ。」
「はえ~。」
間抜けな顔でうわ~、僕も上位ランク行きたいなと考えている金条だが、
金条はまだ駆け出しの『Ⅰ』だ。
「あの~パーティーの募集って?」
「あちらに掲示板がありますよ。」
そう言い、指をさした方向には20枚ほどの張り紙の前に
複数の人が立っている場所があった。
「ありがとうございます。おかげで分かりました、では!」
「お役に立てて何よりです。お気を付けて。」
そう言って金条はカウンターを後にした。
◇◇◇◇◇
「おぉ~!あるある。」
金条はパーティー募集の掲示板の前に来ていた。
それを順に眺めていく。
張り紙には〈剣士募集〉や〈魔術師募集〉など書かれていて、
希望するランクも書かれていた。
(なるほど~。だいたい『Ⅰ』から『Ⅲ』で、たまに『Ⅳ』がある感じね?
なんかクエストをこなしてランク上げてから来るのもいいけど......)
そう金条が考えていると、後ろから係の人が来て新たな張り紙を掲示板に張った。
金条はそんなこと気にせず、『Ⅰ』か『Ⅱ』の張り紙ばっか見ていたが.....
突如、おぉー!という声が上がる。
なんだ?と金条が声がした方を向くと、そこには金の張り紙があった。
パーティーランクは驚異の『Ⅶ』で、希望ランクは『Ⅴ』、
役職は「未指定」と書かれていた。
(こりゃまたすごいな。)
金条はすっかり滅入ってしまう。
さっき言われたの国の手当てがもらえるランクまであと一歩のパーティー。
果たしてどんなパーティーなのだろう?
そう思っていると、後ろから再度声がした。
「ほら言ったぁ!僕らランク高いから場違いだって。」
「い~や、大丈夫。すぐ集まるから。」
この話的にこの張り紙のパーティーなのだろう。
後ろを振り向き金条は絶句する。
それはなぜか?
その理由は.......パーティーメンバーが全員女子だからだ。
数えて5人。
明らかに場違いそうな雰囲気が漂っているが.......
この娘達は相当強いのだろう。
金条はそう本能で感じる。場違いだけど.......
そう考えていると、そのパーティーメンバーの1人と目が合う。
スタイルが良く、巨乳な女。
ん?巨乳?
あれそういえば........
「.....あっ、君はあの宿の.....」
「なんで痴女がここにいるんだよぉぉぉ!!!!」
その瞬間ギルドが凍り付いた。
◇◇◇◇◇
今は場所をずらし、ギルドの端の待合スペースに
金条と痴女パーティーは腰を下ろしている。
「へ~。そういう経緯なんだ。」
痴女と同じパーティーであろう、
黒ローブを被った茶髪ロングの魔術師っぽい女が答える。
「そうそう。で、この痴女が......」
「痴女じゃないし!私にはパチシーっていう名前があるんだからぁ!」
どうやらこの痴女の名前はパチシーというらしい。
「あっごめんごめん自己紹介してなかったね。
僕の名前はチュリスだよ。
このパーティーでは魔術師担当してるよ。よろしく。」
そう言ってチュリスは金条に手を伸ばす。
そうされたので握手しようとしたところ......
「待って!チュリス。貴方またドレインしようとしたでしょ?」
「当ったり~!なんで分かったの?」
「いつものことだから。」
え?ドレイン?
「あ~ごめん。チュリスが今あなたの魔力を握手の際に
奪おうとしてたから止めたの。」
えっ?なにそれ?コワッ!
「えへへへ~。ごめんね?.....それじゃあ。紹介続けま~す。」
と言うとチュリスは隣にいるボブカットの二人を見ながら話す。
「最初にこの黒髪のボブカットの子がムフェイで、担当がアーチャーね。
もういかにもって感じでしょ。」
確かに後ろには弓と矢の入ったバックみたいのを背負っていている、が、
「..........なんで眼帯してるの?」
右目に眼帯をつけていた。
明らかにアーチャーだったら両目の方がいいだろう。
「...........あなたバカ?.....」
おう~。自分より年下そうな子に言われるときついな......
「.........普通矢を打つときは目を片目つむるでしょ.........」
あぁ~、と金条は納得する。
確かに理科の授業とかでやる顕微鏡は反射的に片目つむってしまう。
それに近い事だろうか?
「......まぁ、生まれてから片目が見えないだけだけどね。........」
はぁ。そういうことなら早よ言えよ。と思うが気にしない。
「......あぁ~、次ね?ムフェイの隣に座ってるがカフェイね。
白髪のボブカットで、担当がバッファーね。
後方で回復してくれたり、バフをかけてくれたりするの。
ほら、いかにもって感じでしょ?」
もう絶対いかにもって言いたいだけだろ。
けどこの子もまた......
「......眼帯...........」
カフェイは左目に眼帯をつけていた。
「えっ?私ですか?私はお姉ちゃんのまねっこです。」
お姉ちゃん?
「あっ、そうそう。この2人双子なんだよね。」
えっ、双子ってこんなに分かれるものなんですか?
「まぁ、生まれた時から見えないけど!」
.........なんだろう。こっちの方がなんかいい。
「で、その次。」
チュリスは金条から最も離れた席に座っている眼鏡をかけた青髪の女を指した。
「この子は、スリミンね。ちょっとだけ人見知りなんだけど......
まぁいいやつだよ....担当はブロッカーね。これこそもうそんままだよ。」
すりみん.......一文字変えたら危うい名前になるな。
そんなスリミンだが、彼女の座っている椅子には大きな盾がかけられいていた。
「戦闘とかで防御する人ってこと?」
「そうそう。ねっスリミン?」
「................あ、え、あの、そ、そうです。........」
ほんとにこの子、ブロッカーなの?
と金条に思わせるほど、か弱い声で答えた。
「で、最後にこの痴女!」
「誰が痴女よ!」
と、ものすごい反射でパチシーが答える。
「えっと、さっきの話の通りだけど.....
黒髪ロングのこの子の役職はち.......ゴホンッ、剣士ね.......しかも双剣ね。
そ、う、け、ん。双剣を扱える人って滅多にいないんだよ?」
へ~、そんなすごいのかこいつ?
「あなた今ものすごい失礼なこと考えなかった?」
「いや、俺じゃないよ!俺じゃない!」
「そう?」
パチシーは軽くため息をつくと、金条に尋ねた。
「で、貴方は?」
「ん?」
「あなたの自己紹介よ。」
「確かに~。まだ君の名前とか聞いてないかも......」
パチシーとチュリスに同時に言われた金条は自己紹介を始める。
「え~と、俺の名前は金条賭博って言う。現26歳のアラサーだ。」
「「アラサー?」」
「あぁ、いい。そこは気にしないでくれ。」
ふぅ、終えたな。
「まだ終わってない。」
「........えっ?」
「貴方のスキルとかは?」
「はいはい、スキルね。俺のスキルは『ギャンブラー』だ。」
「「ギャンブラー?」」
「そう。このスキルは俺の■■世界へ■き、そこで■いだ■ー■を使って
自分が■しい■■と■■してそれをこちらの■■に
■■■■て使用できるスキルだ。」
「へ?なんて言ったの?」
「うん。そうだよもう一回。」
「だから、俺の■■世界へ■き、そこで■いだ■ー■を使って
自分が■しい■■と■■してそれをこちらの■■に
■■■■て使用できるスキル。はい。もう言わねぇぞ。」
「ねぇ、だからどういうことって.....」
「ちょっと耳貸してパチ[チュリスが呼ぶパチシーのあだ名]。」
「何よ?」
パチシーはチュリスに耳を傾ける。
「多分こいつ私たちのこと試してるよ。」
「どういうこと?」
「だってスキルの説明があんな分かりづらいんだよ?
こんなん俺のスキルを理解してみな!って言ってるのと同じだよ。」
「.........本当かな?」
「そうそう、僕こいつに興味わいてきた。」
「え~?」
「僕のスキルコレクションに新たなスキルが刻まれるかもしれない。
........ねぇ、賭博。さっき僕たちの張り紙見てたでしょ?
良かったら僕たちのパーティーに入らない?」
「ちょっと!何勝手にっ......」
「いいから、いいから。賭博、カード見せて。」
なんかいきなり名前呼びされたし、危なそうだけど......
まぁ魔王を倒すってなったら、いいパーティーメンバーだろう。
「わかった。.......はい、これが俺のやつ。」
「サンキュ~.......どれどれ、いかがな物....か.........な?」
チュリスは俺のカードを見て固まってしまう。
「.........え、見間違え?.......『Ⅰ』?」
「そう。それが俺のランク。」
「.......えっ?弱くね?.......?...」
おっとそれは、男子のハートに刺さっちまうぜ?
「今日始めたばっか?」
「はい。」
「今までパーティー組んだ経験は?」
「0」
「.....クソじゃん。」
そんなに言わなくてもよくない?と思う金条。
「え?じゃあ、さっきのパチから4分間ぐらい
宿で逃げ切ったっていうのは?うそ?」
「いいや、ほんとだね。」
「悔しいけれどほんとよ。」
「..........そう?」
はぁ、『Ⅰ』だからってこんなこと言われるのか?
やれやれしょうがない、とキザ思考をしている金条にチュリスは言った。
「.......う~ん。採用。」
「えっ?マジでっ⁉」
「うん。パチから逃げれるってことは
『Ⅳ』ぐらいに相当する身体能力があるから。
あっ、あと1つ届かないのは僕の興味で分ね。」
まぁまぁ、及第点って感じなのかな?
金条はほっと一息つく。
「じゃあ、賭博のカード申請しとくから。」
「あっ、あざす。」
とりあえず第一歩を踏み出すことができた金条だが彼には一つ心配事があった。
「何?」
少しにらみながら答えるパチシーに言う。
「襲ってくんなよ。」
よかったら評価よろしく。




