もう、壊れたくない。
【キャラクター名称 (ルビ)につきまして、ご報告とお詫び】
本日、燈介の名前にルビを振りました!
遅くなってしまって申し訳ございません( ´ㅁ` ;)
今後どう活躍するかはまだ公にはできませんが、彼の『小さな大冒険』を存分にお楽しみいただけると幸いです!!
「…母さん、なんで育休取らなかったのかな」
佑は遠い目をしながら、ポツリと呟く。すると、それに反応するかのように祖母が口を開いた。
「一応ね、育休は取ってるのよ。ただ、あの子じゃなきゃ嫌だって取引先が一件あって、そこが創業当時からある家族ぐるみでお世話になっている会社なの。あの子がいない間はおじいちゃんが取引先と商談してたんだけど、やっぱりあの子が一番いいみたいで。あの子自身も、そのお相手とは本当に仲が良くて、いろんな事を相談しているみたいなの。だからあの子の息抜きがてら、商談だけは任せてるって事なのよ」
「…へえ。でもちょっと安心したかも。母さん友達とかと遊んだって話聞いた事なかったし。ちゃんとガス抜きしてたんだ…」
「ああ見えてね。自己管理はしっかりできる子なのよ」
祖母はそう言ってにっこりと笑うと、三人を奥の部屋へと案内した。
「たっく!あっちゃん!あっぼ!!」
「うん、何して遊ぼうか〜。車のおもちゃにする?」
「うっ…俺の遠い昔の黒歴史が…過ぎる…」
「そういえば佑、燈芽の車コレクションことごとく奪ってたもんね。懐かしいわー」
「言うなよっ!」
「たっく?」
「あー、なんでもないなんでもない!!ほら、燈介の大好きな救急車だぞーっ!ぶーんっ!」
「きゃっ、きゃははっ!!」
燈介は佑の奇想天外な救急車の動きに全身を動かしながら幸せそうに声を上げて笑う。そんな様子に、思わず綾生も祖母も笑みをこぼした。
途端に窓の外から視線を感じる。急な悪寒に咄嗟に佑は窓の外に目をやるも、そこにあったのはいつも彼が見ている景色だけだった。
「…?」
「どうしたの?」
「いや…なんか見られてる気がして……」
「気のせいじゃない?」
「…だといいんだけど…」
佑は頭に過った不穏な思いを必死に振り払うと、再び笑みを浮かべ燈介と遊び始めたのだった。
それから更に数ヶ月の時が経った。一家はあれから同じような生活を変わりなく続け、燈芽は変わりなく忙しない日々を送っていた。しかし。
「じゃあ、行ってきまーす」
燈芽はいつものように学校に行くフリをして家を出ると、家を出てすぐの喫茶店に入る。家が見える席につきキャラメルラテを注文すると、彼は静かにラテを啜った。
「…一体、いつもどこに向かってるんだ…?」
頬杖をつき、いくつかの思いを巡らせながらも窓の外を眺める。陽の光に照らされた歩道を歩く人々はどこか活気に満ちていて、その姿に彼は思わずため息を吐く。
「…こんなことしないで正直に聞ければいいのに…。なんでオレっていつもこうなんだ…」
燈芽は手元に視線を落とすと、カップに口を付けた。すると。マンションのエントランスの扉が開き、佑と綾生が出てくる。途端に燈芽は飛び上がるようにして立ち上がり、急いで会計を済ませ二人の後を追った。
佑と綾生の二人はいつものように橙里の実家に向かう。そしてそれを追う燈芽。二人が到着すると、燈芽は離れた場所から中の様子を静かに伺った。だが肝心な話の内容や中の様子などは一切見えないまま扉は閉められてしまった。
「…裏口に回るしかないか…」
そして場所を変え、燈芽は再び中の様子を伺う。すると。
「あーっ」
「えっ」
窓越しにバッチリと燈介と目が合い、彼は咄嗟に身を潜める場所を探す。しかし、綺麗に手入れされたその庭は身をを潜める場所はおろか、影を隠す場所すらも見当たらなかった。刹那。
「あれ、燈芽?」
その声と共に奥から佑が顔を覗かせる。その顔はどこか焦っているようで、慌てて燈介を奥に行かせると縁側から庭へと降りる。
「が、学校はどうしたのさ?」
「最近…てかここずっとみんなの様子がおかしかったから。家族の用事って言って休みにした」
「…!」
「その子は?」
「き、近所の子だよ…。この子の親が仕事忙しいみたいで、日中はここで面倒見てるんだって。それ聞いたらなんか俺たちも無視できなくなっちゃってさ…。手伝えること手伝うよーって…ははは…」
「ふーん…確かに、結構懐かれてるみたいだね。佑自身もなんだか慣れてるみたいだったし」
「えっ…!?」
「昔のオレがそうだったから。分かるよ、そういうの。…っていっても直感みたいなもんだからさすがに全部が全部わかるわけじゃないけどさ」
「そ、そっか…」
僅かの間に静寂が訪れる。するとそこへどこからか燈介を抱いた綾生が訪れ、突然の燈芽の登場に目を剥く。
「と、燈芽…ッ!?なんでいるの…!?」
「姉ちゃん。その子は?」
「え、え、えっと…」
綾生は途端に口をつぐみ、目を泳がせる。佑は必死に目で何かを訴えるが、今度ばかりは双子でも上手くいかないようだった。
「…やっぱ、俺たちじゃ燈芽には敵わないな…。正直に話すよ」
「お兄ちゃんっ!!」
「いいんだ、綾生。到底このまま燈芽に隠し切るなんてこと出来ないだろうし、母さんも時を見て燈芽に話そうと思ってただろうし。それがちょっと早くなったってだけの話。多分もう察しは付いてると思うけどね、この子は俺たちの弟。あの時、母さんのお腹の中にまた一つの命が宿ってたみたいで…」
「…そっか。なんか皮肉だね。オレと同じ境遇の兄弟がまた一人できちゃうなんて……」
燈芽は寂しげな目をすると燈介と同じ目線までしゃがみ、その頭を優しく撫でた。
「お前はせめて、オレみたいにならないでくれよ…。真っ当に幸せに生きてくれ…」
「う…?」
燈介は何かを察したのか否か、燈芽の方を振り返るとそのまあるく大きな瞳で彼の瞳を見つめ、きょとんと首を傾げた。そんな彼の姿を、三人はどこか儚げに見守るのだった。
それから約半年の時が経った。
四人は燈介を正式に新たな家族として迎え入れてから、以前よりも笑顔の多い家庭へと変わっていた。燈介は人懐っこく環境の変化の適応も早かった為、マンション内でもすぐに人気の的となっていた。そんなある日。
「母さん、母さん宛に手紙だよ。…いつもの取引先の人から」
「珍しいわね?なにかしら…。……ッ!!」
「「母さん!?」」
橙里は燈芽から手紙を受け取ると、ペーパーナイフで封筒を開く。すると、そこからから出て来た文言は、思わず腰を抜かしてしまうほどのものだった。
『よぉ、テメェはそんなに俺との子供が欲しいか。それとも、俺とのS◯Xにエクスタシーを感じ過ぎてデキちまったか?なにはともあれ、四人もガキを育てるのは大変だよな。仕方ねえから俺が一人世話してやる。今度会いに行ってやるから、指折り数えて待ってな』
「どういうこと……」
橙里は絶望の顔を浮かべ、身体を硬直させる。刹那、橙里の力の抜けた指の隙間から手紙が抜け落ち、ひらひらと舞う。
「…ちょっと、ごめん…。……なッ!?アイツ…ッ。…もしかして燈介を…?」
「「……ッ!!」」
「燈介…ッ!」
橙里は咄嗟に部屋の隅で一人遊びをしていた燈介の方へと駆けていくと、途端に彼にしがみつくようにして抱きついた。
「渡さない…ッ!燈介は絶対に渡さない……ッ!!」
半狂乱状態となった橙里は必死の思いで声を上げる。そんな彼女の様子に、兄妹は唇を噛み小さく俯く。しかし、燈芽は鋭い眼差しをすると静かに橙里に歩み寄った。
「…母さん」
「……」
「怒らないで聞いてね___」
おっつかれー!!
綾生だよーーっ!(ノ˶>ᗜ<˵)ノ
んにしてもとーちゃん可愛いよねっ!( ´͈ ᵕ `͈ )♡
あっ、燈介のことね?なんかママが言ってたんだけどね、燈介の名前の「燈」はママと燈芽から取ったんだって。
燈介はきっとパパがいない環境で育つことになるだろうから、せめてママが守れるように。燈芽みたいに逞ましく生きれるようにってそんな思いを込めてるんだって。
…すごいよね、ママってずっとそうやってアタシたちのこと第一で考えてくれてる…。ママはアタシたちが生まれる前からあの人虐げられて、ずっと辛かったはずなのに……。
…あっ、ごめんね!こんな話するはずじゃなかったのに…!アタシ…。つい….ウァァ˚‧º·(°இωஇ°)‧º·˚.ァァァン!
……綾生〜って、ガン泣き…また…。
すまん、こうなるとしばらく止まんないから今日は代わりに俺が。
それじゃ、なんか締まんないけどまた明日もお楽しみに〜。またねーー。
「ほら、綾生。俺のプリン半分あげるから早く泣きやめって」 「え、プリン…?」 「うん、ほら」 「…それ、冷蔵庫の奥に入ってたやつ?」 「うん」 「アタシの…」 「え」 「佑ぅぅぅぅぅッ!!(゜Д゜)ڡ」 「うぉぉぉぉッ!?マジゴメーーーーンッ!!!!」




