オトナとコドモ
「芽彩…オレ____」
芽彩の上に四つん這いになった燈芽はそこまで言うと息を飲む。
二人は汗だくになり、その服は極限まではだけている。芽彩に至ってはパジャマが前開きだったこともあり、第三ボタンから僅かに見える下着のシルエットがなんとも際どく、今の燈芽の気持ちをさらに昂らせてしまうほどのものだった。
すると、遂に気持ちの制御が効かなくなってしまった燈芽は彼女のパジャマのボタンに手をつける。
「……」
両手を顔の横に置き、芽彩は甘い瞳で燈芽を見つめる。なすがまま、なされるがまま。燈芽は全てのボタンを開き切ると、そっと彼女の身体から服をずらした。そこには薄桃色を基調とした花柄のレースがついた下着があった。
「あ、あんま見ないで…恥ずかしいよ…」
「ご、ごめん…。可愛くって、つい…」
「…!」
燈芽の言葉に芽彩は思わず顔を両手で包み込む。すると、その柔らかな肌に彼は優しく触れる。
「…付けてもいい?」
「えっ…?」
「キスマーク」
「へっ…!?」
途端に芽彩は足を引き寄せ、腕を胸元で組む。しかしその羞恥と戸惑いの顔の中には、どこか期待の色も滲んでいた。
「イヤ…かな…」
「……」
「…ごめん」
顔を逸らし、口を紡ぐ芽彩に燈芽は複雑な思いを巡らせながら芽彩のはだけた服を摘む。
「…やだ…」
「…え?」
「付けて…」
芽彩は背中を浮かせて燈芽の頭を抱き抱えると、彼女の方へと抱き寄せた。途端に、腕の痺れを切らした燈芽は芽彩の胸の中へと飛び込む。
「____ッ!?!?!?」
だがそれも束の間に、芽彩は両腕を背中へと回すと手探りに動かした。
「大丈夫だよ」
「えっ…」
芽彩は恥ずかしそうに微笑むとスルリとパジャマを脱ぐ。すると彼女の肩に掛かっていた下着の紐が緩んだ。
「燈芽くんから、もっと、ほしい…」
「ま…っ」
布団の上にははだけるようにして脱がれたパジャマが落ち、芽彩は片方ずつ下着の紐を外していく。そして遂に、彼女の艶やかな素肌が露わになった。
「…燈芽くんも…脱いでよ」
芽彩は視線を流すようにして呟くと、燈芽はハッとした様子で服を脱いだ。
「…じゃ、ちょっと痛いかもしれないけど…」
燈芽は芽彩の胸元に顔を近づけると静かに瞳を閉じ、その肌に唇を合わせた。熱い想いは唇を通じ、芽彩の肌を赤く染めていく。二人の高鳴る想いと鼓動は少しずつ、少しずつ形を作っていく。
「…っハ__。…痛くなかった…?」
「うん、全然。むしろ気持ちよかったよ。…ちゃんとついたかな?」
「うん。…結構強めについちゃった…」
「大丈夫だよ!燈芽くんのキスマーク…嬉しいっ!!」
芽彩は自身の横に寝転がる燈芽の方を向き少し俯くと、刹那の間に満面の笑みで彼に抱きついた。
「ちょっ…芽彩!当たって__」
「なあに?いまさら恥ずかしいの?燈芽くん、さっきそこにキスマークつけてたんだよ?」
「…ッ!!」
芽彩はイタズラな笑みを浮かべるとわざと自身の上半身を動かし、燈芽をからかった。
「だ、だから、芽彩____」
『芽彩ー、燈芽くんー。まだいるなら私の部屋のトートバックの中の抽選券、取ってくれない〜?』
「「!?!?!?!?!?!?」」
『おおーい、寝てるのーー??』
唐突に一階から響いてきた芽彩の母の声に二人は慌てて飛び起きる。そして、互いの格好を改めて凝視する。
「服着ないと…!」
「え、えっと…コレ芽彩の…っ」
『芽彩〜?燈芽くん〜?』
芽彩の母の足音はゆっくり階段を登る。しかし暗闇の中の二人はまともな身支度などできるはずもなく、母との距離は徐々に狭まっていく。
「____もうっ、返事くらいしてくれたっていいじゃないのっ」
「あ、アハハっ…ごめんなさい。芽彩ちゃんあの後また二度寝しちゃって。僕もこの通り動こうにも動けないし、芽彩ちゃん起こすのも申し訳ないかなって思ったので……アハハ…」
燈芽は引きつった笑顔を浮かべると、隣で布団を首元まで被って壁の方を向く芽彩の方を見た。そんな彼女と燈芽の手は指を絡めて握られている。
「…そうだったのね。でも、そろそろお昼になるし芽彩のこと起こしてあげてちょうだいね。それじゃ、行ってくるわね」
「あ、はい。お気をつけて」
「あ、それと」
「はい」
「芽彩が色々とごめんなさいね。そして、芽彩のことをこれからもよろしくね」
「…え」
母は笑顔でそう告げると呆気に取られる燈芽を置き去りに、部屋を出ていった。
「…一応大丈夫そうだよ」
「うん」
燈芽は窓から車が去っていくのを確認すると、布団に潜っていた芽彩に声を掛けた。すると中から下着とパジャマを抱えた芽彩が出てくる。
「ごめんね、イヤな思いさせちゃって…。…元々燈芽くん、こういうこと嫌がってたのに…」
途端に芽彩は口を紡ぐと自身の身体を抱き、複雑な表情を浮かべた。そんな彼女の顔に燈芽は静かに布団の中に入ると芽彩の肩を抱き抱え、優しく口を開いた。
「…全然、イヤなんかじゃないよ」
「え…?」
「確かにオレは、初めの頃はこういう行為に対して嫌悪感しかなかった。正直、芽彩と初めてキスした時も気持ちいいって感覚とか好きって感覚はあったけど、心から楽しむことはできなかった。心の内のどこかにその行為に対する気持ち悪さとか蟠りみたいなのがあったんだ。…すごい失礼なこと言ってると思うんだけどね。でも芽彩とこれまで一緒に過ごしてきていろんなことを一緒にしてきて、オレ思ったんだ。そういうことをするってことは相手や誰かを傷つけるって事じゃなくて、目の前の大切な人や自分自身をもっと深く知って、もっと深く想うってことなんだって」
「…さすがだね、燈芽くん」
「え?」
「ううん!なんでもない!!…うん、決めた!私燈芽くんと結婚する!!」
「えぇッ!?」
「イヤ?」
「いや…あぁっ、その、イヤとかじゃないけどそういうのって大人になってから……」
「ええ?そんなこと言ったって燈芽くん。海外では十二歳を大人って定義する宗教や文化だってあるんだよ?ってことは、もう私たちは立派な大人なんだよ!!」
「いや、ここ日本だしオレたち無宗派じゃん…っ!」
目を輝かせて迫る芽彩に圧倒されながらも燈芽は胸の前で手を開き、芽彩をなんとか宥める。しかし、それごときでは治らないのが彼女である。
「そんなの関係ないよっ!!ねぇっ、いいでしょッ!?」
「うーん…」
しかし燈芽は眉をひそめ、答えを濁らせた。そんな燈芽の様子に舞い上がっていた芽彩は途端に息を飲み、言葉を重ねた。
「…あ…!ごっ、ごめんねっ、また困らせちゃった、よね…?私の悪いクセ、また出ちゃった…。いつも勝手に一人で舞い上がっちゃう…今もまた____」
すると。
「ん____」
燈芽は芽彩の肩を抱き寄せるとその唇に自身の唇を合わせた。束の間の出来事に芽彩は思わず目を見開く。
「…ごめん。突然こんなことして…。でも、これだけは言わせて。悪いのは芽彩じゃない、オレだから。さっきちゃんと答えられなかったのも、ここで勝手に頷いて後から取り返しのつかないことになったら嫌だから。…ウチがそうだからさ。だからもし本当に芽彩と結婚するってなったら、ちゃんと時を見てプロポーズする。だからそれまで返事は待ってくれる?」
「…うん!」
燈芽のその言葉に芽彩は大粒の涙をボロボロと溢しながら顔いっぱいに笑顔を浮かべ、燈芽に抱きついたのだった。
お疲れー!
燈芽とー
芽彩だよー!
あっ、今キミ、このリア充がぁ!(ꐦ°᷄-°᷅)って思ったでしょ!はい!そのリア充です!(*ˊᵕˋ*)
芽彩。読者様を煽らないの。ごめんね、たまに芽彩はSな言動があるから…。オレもよく振り回されてて…。
えぇ?私全然そんなことしてる自覚ないんだけどなぁ…。
いや…。いっぱいあるから…。学食であーんされたりとか手繋いで庭園歩いたりとか昼休み教室のど真ん中でチョコ渡されたりとか、オレにとっては武勇伝ばかりだから。
そういえばそんなことあったねえ。イヤだった?
い、イヤじゃないけどさ……。視線が気になるっていうか…。
そんなの気にしたら負けだよ!確かに学校の外だったらやり過ぎ注意だけど、学園内なら他にもウジャウジャいるんだし、ましてや私たちはやっとまともに恋愛させてもらえるようになったんだもん!!ロミジュリじゃなくなったんだよ!?だったら思う存分青春を謳歌しなきゃッ!!!٩⁝( `ᾥ´ )⁝و
…いつになく芽彩が熱い……。
よしっ!じゃあそろそろ行くよ!
え、どこに?
お台場!!一緒に映画見てその後夜景の見えるレストランでご飯じゃーーっ!!
えっ……もう時間的に無理……
じゃあウインドウショッピングじゃーー!
……閉まりそうだけど…いっか…。
じゃ、芽彩が聞く耳持たなそうなのでこの辺で。
礼昴は風邪を拗らせたみたいなので、みんなは病気ならないように気をつけてね。
それじゃまた明日お楽しみに。またね!




