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運命の赤い糸、的な。


「…センパイ。一つ、お願いがあります」


「んー?」


「燈芽くんが鍛えてるってこと、周りのみんなには内緒にしててください」


「え、なんで?」


「…すぐにわかると思います」


芽彩は悲しげな顔をすると、静かに告げた。それと同時に燈芽がそれぞれのパンを一つずつ手にして戻って来る。


「お待たせ!…って、なんかあったの?暗いよ?」


「う、ううん!なんでもない!!」


「まぁ…とにかく了解!そんじゃーおいらもそろそろ腹ペコだからメシにするわ!じゃーまたね〜」


男子生徒は少しの戸惑いを残しつつも、二人に笑顔で手を振ると食堂の券売機の方へと向かっていった。



「じゃあ僕たちもご飯にしよっか」


燈芽と芽彩は食堂を見渡すと、空席を探す。

すると、芽彩が壁沿いの二人席を指差した。周囲からの視界を遮断する間仕切りがあるが、お世辞にも景観が良いとは言えない。


「ねえ!あそこ!!あそこにしない!?」


「えっ…うん、いいけど…。カウンター席とか、他の二人席とかも空いてるけど、いいの?」


「いいの!」


燈芽は疑問に思いながらも芽彩に手を引かれ席に着くと、彼女の前にパンを置いた。


「はい、どうぞ。僕、朝食べすぎちゃってお腹空いてないから、芽彩ちゃん食べていいよ」


「…ほんとにぃ…?」


燈芽の言葉に、芽彩は訝しげな顔をしながらうんと近づいた。燈芽は視線を逸らしながらも、両手を胸の前でひらひらと振る。


「ほ、ほんと…。だから…離れて…」


その刹那。


グゥ__


「やっぱウソじゃん!じゃあ半分こね!」


「…っ…」


顔を赤く染める燈芽に相反し、芽彩はニコニコと笑いながら言うとパンを二つに分けた。しかし。


「…ねえこれ、半分こって言うの…?」


燈芽に渡された惣菜パンは、三分の二程の大きさにちぎられたものだった。幸いにも、サンドイッチの方は二枚入りでちぎる必要はなかったようだ。


「半分こにしようと思ったんだけどね、失敗しちゃった…。だから、おっきいのあげる!燈芽くん、お腹空いてるんでしょ?」


「でも…」


「いいの!食べて食べて!あっ、それとも!!」


「…?」


「あーん、する?」


「じ、自分で食べるから…っ!!!」


芽彩は合掌した後、慌てて食べ始める燈芽を微笑ましそうに笑った。



食事が終わると、二人の気付かぬ間に昼休みは終わりの時間を迎えようとしていた。


「あっ…!そろそろ片付けて清掃場所に向かわないと…!」


芽彩は慌てて席を立つ。すると。


バシャッ


振り向き様に背後に立っていたクラスメイトとぶつかると、芽彩は制服に大きく水を被り、背後から服の裾を強く引っ張られ、クラスメイト共々地面に倒れ込む。


「わっ、ごめんなさ__っ…!麗子(れいこ)ちゃん!」


芽彩は起きあがろうと床に手をつくと、自分の腕の中の人物に思わず目を見開く。そこにはつい昨日、燈芽に嫌味を言ってきた一行の中枢(ボス)と思われる者がいた。


「あら、東さん…でしたっけ?不注意にも程がありません…?まさかクラスメイトを押し倒して、その上水まで被せるなんて…!」


「へっ…!?確かに転ばせちゃったのはそうだけど…!」


芽彩が焦って口を開く。しかし、麗子は背後に控えていたクラスメイトからコップを受け取ると、自身の袖の部分に軽く水を掛けた。


「!?」


「何か文句でもあるのかしら?」


「今自分で…!」


「証拠は?」


「…ッ!」


物も言えない芽彩に麗子は顔を近づけると、小さく囁く。


「これ以上今井とつるむんじゃないわよ。アンタがイヤな思いしたくなければ、ね」


「…わたしは…っ!」


芽彩は負けじと口を開く。その刹那。


「芽彩ちゃん」


「「!!」」


そこには、今まで見たことのない顔をした燈芽が立っていた。怒りも悲しみもせず、ただ静かに麗子に迫っていく。


「なっ、なに…。なによ…!!」


「芽彩ちゃんに何したの?」


「何もしてないわよっ!」


「何したの?」


「…っ!!!せ、先輩たちから言われて…。芽彩ちゃんに嫌がらせを……」


先輩たち(・・・・)って、僕の兄姉?」


「そ、そうよ…」


「具体的になんて言われたの?」


「みんなから聞いてるから分からない…。ただ、みんな言ってるのがアンタと親しくしてる人は嫌がらせするのが絶対だって…。嫌がらせしない人は嫌がらせされるんだって……」


「アホか…。構ってらんないね」


燈芽は呆れたように麗子から離れると、芽彩の方に向き直った。


眼前に迫っていた異様な恐怖から解放された麗子は、ヘナヘナと地べたに崩れていった。


「…だってさ。芽彩ちゃんはこれからどうしたい?僕と一緒にいない方が楽しいと思うんだけど__」


「「やだよそんなのっ!!」」


「!!」


芽彩は燈芽が言い終わるよりも早く、その口を開いた。その顔は今までにないほどに険しく、両手は強く握りしめられている。


「わたしは絶対燈芽くんから離れないからねっ!?それに私、ちょっと嫌がらせされたくらいで燈芽くんから離れると思ったら大間違いだからぁーっ!」


「…っ」


芽彩は顔を真っ赤にさせながら捲し立てるように言うと、真面目な顔で麗子に向き直った。


「麗子ちゃん」


「な、なによ…」


「センパイたちに伝えといて。例えセンパイや、学校中のみんながわたしのこと嫌いになっても、お水掛けてきても、わたしは燈芽くんのこと大、大、大好きだから!!」


「…っ、分かったわよ、勝手にしなさいよ…。あたしはもうどうなっても知らないからね…っ。…行くわよ…」


麗子は芽彩の堂々たる宣言に、取り巻きを連れてすごすごと立ち去って行った。


「ふふん…」


芽彩は得意げに鼻を鳴らす。しかし、その宣言を隣で聞いていた燈芽は恥ずかしさの余り、立っていることがやっとだった。




その晩。

父と双子が二泊三日の外泊ということもあり、芽彩は両親の許可の元、燈芽宅へ泊まることとなった。

風呂も食事も終わった二人は、祖父母が来た時にのみ使用を許可される寝室のベッドに寝転がり、仲良く談笑している。


「__でも芽彩ちゃん、どうして芽彩ちゃんはそんなに僕のことを慕ってくれるの?」


「…燈芽くんは覚えてなあい?」


「え?」


「一年か二年くらい前の事なんだけどね、わたしが公園で迷子になっちゃった時、わたしのこと助けてくれたお兄ちゃんがいたの。…っていっても、そのお兄ちゃんはわたしとそんなに歳は変わらないくらいで、でも、すっごくしっかりしてて。一人で泣いてたわたしに声掛けてくれて、おっきい看板見てどこかの建物まで案内してくれて…。ママとパパが迎えに来てくれるまで、ずっと一緒に手繋いで待っててくれたんだ。その手、すっごくあったかくて。今でもよく覚えてる。…それがキミだよ。燈芽くん」


「…あれ芽彩ちゃんだったのんだ。丁度あの日はパパもママも家にいなかったから、公園でトレーニングをする日にしてたんだ。そしたら丁度そこで芽彩ちゃんを見つけて…。ほっとけなかったから、つい」


「ふふ、燈芽くんらしいね。でも、あの日名前さえ聞いとけばよかったってあの後後悔したの。また会いたいって思って。でも、ずっと会えないまま時間だけ過ぎて…。けど、こうしてまた会えて、今目の前にいて。改めて言うね。あの時は助けてくれて、ありがとう」


芽彩は柔らかくも穏やかな笑みを燈芽に向ける。


「いや、そんな…」


「ねえ、燈芽くん」


「うん」


「今日は一緒に寝るんだよね?」


「うん」


「ずっと一緒なんだよね?」


「うん」


「途中で燈芽くんのママ入ってきたりしないよね?」


「…うん。どうしたの?」


「じゃあ____」

おつかれさまですっ!(*`・ω・)ゞ

芽彩です!


今日の燈芽くんもカッコよかったねー!

燈芽くんってなんであんなにカッコいいんだろうね?

わたしね、燈芽くんの好きなとこがあるの。

授業受けてる時、先生からわからないようにこっそり燈芽くんのこと見てると、燈芽くん、たまにとん、とんって指動かしてることがあって。

なんかよくわかんないけど、カッコいいの!キャ─(´∩ω∩`)─♡

他にもまだカッコいいとこあってね、燈芽くん目が合うと必ずニコッて笑ってくれたり、いい匂いだったり、手きれいだったり____

天の声『芽彩さん?そろそろ…』

あーっ、まだまだ言いたいことたくさんあるのに〜( ・̆⤙・̆ )

じゃあ残りの燈芽くんのカッコよさは、また時間ある時に話すね!!…たぶん…。


それじゃ、また明日もお楽しみにーー!!⸜(*ˊᗜˋ*)⸝


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