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ながーーーーーーーーい。


翌日。燈芽が登校するとそれよりも早く登校していた芽彩が席に掛け、窓の外を眺めながらぼんやりとSHR(ショートホームルーム)を待っていた。

燈芽は昨日の昼の束の間の出来事を思い出しながら、躊躇いがちに声を掛ける。


「あ、あの…。おはよう、芽彩ちゃん」


「…!おはよう、燈芽くん」


芽彩は驚きつつも笑顔で振り返るものの、その瞳は少し腫れ、鼻の先は赤く染まっている。


「…どうしたの?」


「えっ!?な、なにが?」


「目、腫れてるし鼻も赤いし」


「き、気のせいじゃないっ!?」


「そっか…」


燈芽は「気のせいじゃないと思うんだけどな」と、言葉を漏らしそうになるのを我慢しながらも席に着くと、そのまま楽しそうに話し出す芽彩の話に耳を傾けたのだった。




四限が終わり、昼食の時間になると生徒たちは一斉に席を立って学食や購買へと向かう。

燈芽も教科書や筆箱を机の中にしまい込むと、席を立った。


「燈芽くんっ!」


「わっ!」


「あの、わたしと一緒に行ってくれない…?」


芽彩は突然燈芽の手を引くと、どことなく強張った顔で問いかけた。


「…別にいいけど…。芽彩ちゃん、朝からなんか変だよ。なんかあったの?昨日の僕のせい?」


「…!違うのっ!!違う…。ただ、わたしは(・・・・)燈芽くんと離れちゃダメなだけなの…」


「…?」


芽彩は瞳に薄らと涙を浮かべたものの、慌ててその涙を服の裾で拭うと、「行こう」と燈芽の手を引いて学食へと向かって行った。



「わぁ……っ、すごい…!」


二人が学食に着くと、そこには体育館ほどの広さの食堂が広がっていた。


陽の光を浴びて、伸び伸びと育った樹木が育つ中庭を望むことができるカウンター席。

一学年から六学年、隣の校舎から来る中学、高等専門学校生とも分け隔てなく話すことのできる六人から四人のテーブル席。

そして最後に、学園といえば青春!とでも言わんばかりにそれぞれ景観の良い場所に際どく二人席が設置してある。

食堂の壁沿いには間仕切りで周囲から仕切られた二人席もあり、敏感な年頃のカップルへの心配りも細かい。


「結構席あるね。来るの遅かったかなって思ったけど、まだだいぶ空いててよかった」


「ね!あ、見て。メニューもこんなにあるよ!和、洋、中…イタリアン、フランス、インド、ベトナム____って、多くないっ!?」


「国内一のメニュー量らしいよ。デザートメニューも結構あるね」


「すご…!でもどれ食べようかなぁ…迷っちゃうなぁ…」


「僕決まった」


「早っ!」


「ゆっくりでいいよ」


「ええっ…そんなこと言われると逆に焦っちゃう…。ええと…決まった!」


二人は厨房のスタッフに注文しようと前に立つと、中に居たスタッフのうちの一人がメニュー横の大型の機械を指し示した。


「あ、食券使うんだ!」


「しょっけん…?」


「あ、知らない?この機械のこと!お金入れてボタン押すと、食べたいメニューの券を売ってくれるんだよ!」


「へえ…でも、お金入れる所なさそうだけど…」


「…あれ!?本当だ…!どこだ…!?」


芽彩はキョロキョロと販売機のあちこちを見渡す。すると、後ろから中学か、高等専門学校生と思われる生徒から声を掛けられる。


「どうしたの?」


「あっ、その…」


「食券用のパスポートないと、学食は使えないよ?」


「パスポート?」


「あれ、知らない?…おかしいな、初日のホームルームで渡されるはずなんだけど。えっとね、パスポートってのは一人一枚支給される学食を無料で利用できるようになるカードのことで、これには種類が三種類あるんだ。一つはこの通常タイプ。通常タイプは、一日につきデザート、ドリンク含む計五食までが限度。もう一つはゴールドタイプ。ゴールドタイプにすれば、一日十食まで増やしてもらえるんだ。おまけに持ち帰りもできるようになる!最後にプラチナタイプ。これは優先的に食事を作ってもらえる上に、二十食まで増えて購買でも使用可能!どう?すごいでしょ!」


「至れり尽せりって感じですね…」


目を輝かせる男子生徒に、燈芽は僅かな温度差を感じながらも返す。だが、思った以上の待遇に、燈芽は少し興味をそそられていた。


「いたれ…つくせ…?」


「キミ、よくそんな言葉知ってるね…。で、このパスポートは普通学期初めに渡されるはずなんだけど…。もらってないの?」


「…昨日のホームルームの時、僕たち保健室にいたんです。途中から戻ったんですけど、もしかしたらその時に配ってたのかも」


「…なるほどなあ。ま、細かいことは自分もわかんないし、後で担任に聞いてみな。多分もらえると思うから」


「そっか…ありがとうございます。じゃあ、早速行ってみます」


燈芽は男子生徒に頭を下げると、職員室へと歩き出す。しかし、男子生徒は慌てて燈芽の肩に手を置いて声を掛けた。


「待って。お昼はどうするの?」


「え、僕は今日はしょうがないし、いいかなって…」


「…わたし、お腹空いた…。どうしよう…」


「…っ」


燈芽はしゃがみ込んで膝を抱える芽彩に、思わず息を飲む。何かせねば、どうにかせねば。そんな気持ちに駆られてしまった。


「んふふ。甘酸っぱいね。しょーがない。今日は特別に先輩のおいらが二人に奢りますよ」


「「えっ」」


「そんな…っ。いいんですか…?」


「うん、じゃ、着いてきてー」


「え?でも食券はここで買うんじゃ…」


「んーん。このパスポートで買っていいのは、自分で食べるもんだけ。このデータを元に、その生徒のヘルスケアみたいなのもしたりするらしいから。だから、おいらのポケットマネーで二人になにか購買で買うよ」


「えっ…!?でも___」


「いーからいーから。健気な淡い恋に乾杯、的な?」


「なっ…なんですか!それ…っ!」


「ハハハッ!やっぱ当たってたか!いやぁ、ごめんよ。なんだか可愛くてさ」


男子生徒は二人の歩幅に合わせながら、歩みを進めていく。


「ほらっ、着いたよ」


そして着いた先にあったのは、十数種類に渡るパンと定番おにぎりの山だった。

しかしその品揃えは定番モノから変わり種まであり、群がる生徒たちはパスポートや小銭を手に、購買部の生徒に我先にとパンに手を出しては会計を済ませていた。


「惣菜パンのオススメはイカ墨スパのお好み焼きパン。イカ墨スパゲティが焼きそばパンみたく挟まれてて、食べやすく刻まれたイカが入ってるよ。アクセントに刻み唐辛子が少々。おたふくソースとあおさが練り込まれたパンも最高!甘いモノなら、チョコ&クリーム背徳感MAXいちごサンドかな。これは名前通り背徳感マジやばい。苺も大粒でしっとり生地のフツーにおいしいいちごサンドで特に変わり種感ないんだけど、その後お会計の時にスプーンと紙コップたっぷりの生クリームと、ランチャーム(弁当の中の醤油差し)にチョコソースが入ったやつがもらえるんだけど、それをセルフで増し増しにしていく…ッ!!マジであれは疲れた時に効くっ…!」


「センパイ!その二つってもしかして…アレですか!?」


芽彩は生徒たちの壁の隙間からなんとか購買を見ようと飛び跳ねながら、そちらを指差す。するとそこには、先ほど男子生徒が話していた二つの商品が残り一個となっていた。


「なっ…!いつもはもうちょいあるはずなのに…!なんで…!?」


「芽彩ちゃん。今の、食べたい?」


「うん…」


「分かった、待ってて」


燈芽はにこりと芽彩に笑顔を向けると、生徒たちの間を強引に入っていく。みるみるうちに生徒たちの波に飲まれていく燈芽に、芽彩は我を忘れて群衆に飛び込もうと一歩を踏み出す。


「待って!この中にキミが入るのは危ないよ。あの子はまだいいとしても…」


「どうして…!」


「おいら、細マッチョ好きでさ。あの子の手とか首とか見た瞬間分かったんだ。あー、鍛えてるんだなぁーって」


「…!」


「だから、止めなかったんだ」


男子生徒は夢心地な顔で群衆に目をやる。燈芽の影は微塵も見えない。もし彼が世間一般的な小学生であれば、ひとたまりもないだろう。


「…センパイ。一つ、お願いがあります」

お疲れ様でございます(*ˊᵕˋ*)

リンドウです。


本日の回は説明ばかりの回でしたね。

ストーリーの進行が全く見受けられず、つまらないと思った方もいらっしゃったのではありませんでしょうか?

でも大丈夫、これから私が___

天の声『リンドウさん?ネタバレはやめてくださいね?』

あら、礼昴さん。ごきげんよう。ですが、貴女が説明をダラダラ書いているから読者様が『ッチ、クソつまんねェな、他見るか』ってならないように、せめて私が最後の防波堤になろうとしているのです。ね?とても心強いでしょう?

天の声『余計なお世話だわっ!!それに、創作系の食べ物とか、施設紹介とかはどーしても長文になるんだよ( ߹ㅁ߹)勘弁してくれよーー』

あらあら。可愛らしいお顔。

天の声『ドSかっ!?』

うふふっ。まあ、仕方ありませんね。それなら、ここら辺で許して差し上げます。

天の声『( *ノ_ _)ノノ╮*_ _)╮アリガタヤーって…逆じゃね!?ま、いいや…。んじゃー、とりあえず今日はここら辺で!!』

また明日もお楽しみに。うふふ( *´꒳`*)

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