決着、そしてムフフなお姉さん
二人はやっとのことで互いの手を取る。俺はゆっくりと二人の元へ歩み寄ると、未だ微かに息のある二人の喉元に両手に握られた得物を突き付けた。そして二人の繋がれた手を容赦なく踏みつけた。
「「___ッ!!」」
「終わりだ」
待て、待て、キョウ__!もう十分だ!!これ以上してなんになる!!それ以上したら、本当に二人は…。
キョウは息が荒い二人を見下ろし、両腕をゆっくりと振り上げる。そして____
「キョウスケ。最期に一つだけ、いい?」
今まで瞳を閉じていたエミが、突然目を開けた。すると、キョウの身体もピタリと止まる。
「今までありがとう。アタシ、ユウキが死んでから生き地獄だって思うことばかりで、コッチに来てからもキョウスケとトウガさんと離れてからは退屈なことばっかで。でも、またキョウスケと会ってからはユウキとも再会できて、二人のことももっと知れてスッゴく楽しくて。死んで良かったってわけじゃないけど、世の中捨てたもんじゃないなって思えた。最期にこうしてちゃんと話せずにまた死んじゃうのは悲しいけど、きっと今のキョウスケはワケありだよね。さっきので確信持って言える。キミはあんなことする人じゃない。まぁ、とにかくアレだ。…来世があるなら、また会おうね。もう会えないなら、バイバイ。キョウスケ。大好きだよ」
エミは一筋の涙を溢すと、俺の得物に触れ、瞳を閉ざした。
____すると。得物は消え、俺は再び霧に包み込まれた。
「あれ____俺…なんで…泣いて__」
気がつくと俺の姿は元の幽体に戻り、俺はエミの前に崩れ落ちてボロボロと大粒の涙を溢していた。
「…アハハ、おかえり。キョウスケ」
「____ごめん。エミ」
エミはいつもと変わらない笑顔で俺を抱きしめた。
これだけたくさん傷付いて、服も身体もボロボロになって。コイツは一体どこまでお人好しなんだか…。
俺はそんなエミの身体を優しく抱きしめた。
「ところでキョウスケ、その子は?」
「えっ…と。話せば長いんだ。とにかく、道中出会った俺の旅のお供だよ」
「ふーん…。そっか。あ、あと助けて欲しいことがあるの…!」
「…?」
エミは焦った様子で言うと先ほど俺が見た、倒れていた人影の元へ案内した。
「この精霊さん…!私たちのこと見守ってくれてたみたいなんだけど、途中で急に様子がおかしくなっちゃって……。私たち慌てて逃げて来たんだけど、突然突風が来たっ!て思ったら倒れちゃってて…」
「突風?」
「うん、ホントについさっきのことなんだけど、突然スンゴイ風が吹いたの!ビュゴォォォォォッて!!そしたら、その風に乗って飛んできた石とか枝が精霊さんに当たって精霊さん倒れちゃって…。危うく私たちも巻き込まれかけたけどなんとか、ね」
「…すまん。それ、俺。ちなみに、その子はジェイの友達のリンドウって子で二人の見守りを頼んでもらってたんだ」
まさか俺が原因でリンドウが倒れていたとは…。でも、暴走の原因は別であったのか…?
「マジ!?じゃあ急にリンドウちゃんが暴れ出したのもなんか知ってる?」
「それはわからん…」
てか、さっきからユウキから刺すような視線を感じるんだが…やっぱ怒ってるのか……?
「ユウキ…?あの____」
「キョウスケ、一つ聞きたい」
「…うん」
「さっきのは、キョウスケの本心じゃないよね?もしマジでやってたなら、今ここで君を殺す」
「…ッ!!」
「ユウキ!!」
「…うん、本心じゃない。けど、俺自身も自分がどうなってたのかよくわからないんだ。心と身体が正反対のことをした。あの時、心を持った俺が居たら、二人のために戦った。でも、いくら今口で言ったって、あの時エミが止めてくれなかったら俺の身体は何かに支配されたまま、二人を殺してたはずだ。これ以上、言い訳なんてしないよ……」
「そっか。それが聞ければ十分だよ」
「え」
「ぼくが知りたかったのはね、あの時、キョウスケが『キョウ』じゃなかったことについてなんだ」
「…どういうこと?」
「キョウスケがいつも死神として行動する時、キミはキョウの身体になっていた。でも、さっきぼくたちに襲いかかってきたキョウの姿は全身真っ黒で、溢れ出た呪力が滴っていたんだ。あれはもう、死神というよりも亡霊と言った方が似合っていたかもね。今までこんな姿見たことなかったし、これは何か意味してるのかなって思ってね」
え…。俺が、知らぬ間に…?
「ごめん…全く、わからない……」
「フフ、記憶まで無いの?これはぼくたちをちゃんと幸せな形で転生させてくれないと、格好がつかないね」
「が、がんばります…」
そうして俺たちは倒れたリンドウを連れ、樹海の出口へと向かっていった。
樹海を抜けた先にあったのは、ポツンと佇む樫の木のドアだった。野晒しにされている割にはきれいで、傷どころか、汚れ一つない。
「なんだろ、コレ…」
「ただのドア?後ろ見ても特に何も無さそうだけど……」
「開けてみようよ!!どこでも◯アかもしれないよ!!」
「えっ」
「んーとね!じゃあ…いざ、コンカフェ〜!!」
エミは満面の笑みでドアノブを押し、中に入る。しかし、その中の景色は誰が想像したものともほど遠いものだった。
「何…コレ…?」
漂白されたかのように真っ白な空間。それがどこまでも続き、風も音も無く、どこまでも静寂と虚無が続く。
たまにアニメとかで見る光景だけど、こうしてちゃんと目にして体験するってなるとなんか…心がふわふわする感じがするな…。
「ここが審判の間だ。十王の入り口からここに来るまでの間、正当な方法で来たかどうかの審議をした上で他の魂との相性を見て、魂の転生を行う。しかし、違法な行為が見つかった場合、直ちにその魂は消滅させられてしまう。それが、この場所だ」
「嘘…って、なんでそんなこと知ってんの?さっきキョウスケが旅のお供って言ってたけど、キミ、魂じゃないの?」
「ああ。わしはこの特殊空間に住む精霊さ。ここのことならなんでも知っとる」
「え、お前、さっき管轄外だからわからないって__」
「キョウは頭が硬いねえ。そんなことあるわけなかろう。わしはあくまであそこで魂たちの聞き取りを行い、崖上まで案内を行うだけの精霊。ゆえに、魂たちの直接的補助をしてはならないのだよ」
「あんな雑なやり方で…案内……」
すると、今まで複雑な表情で聞いていたエミが俺とキョエの間に割って入る。
「ちょっと待って待って!!この子はお供ちゃんなんでしょ?でもさっきから話聞いてるとなんかおかしいよ、なんかアタシたちを拉致ったあのクソババアみたい!!」
「「そのクソババアです____」」
「「え____」」
途端に、大地が大きく揺れる。すると、今までピクリとも動かなかったリンドウがふわりと浮かび上がり、艶かしく威風堂々たる佇まいへと変わる。そして、俺たちの正面ですっくと立った。思わず俺は、息を飲む。
「よくここまで辿り着きましたね。エミ、ユウキ、そして、キョウスケ。これからあなたたちには____」
「ちょ、ちょっと待って!!」
俺は思わず、自分の名前を呼ばれたことに声を上げる。
そうか、今の俺の姿は幽体。この格好でここに来たから、転生させられちゃうんだ…!まだ、ダメだ…!トウガさんとの約束があるんだ…!!
「どうかなさいましたか?」
「お、お前ッ!!大精霊様が降臨されたのだぞッ!!こんなこと、滅多にないのだぞ!?そんな方のお話を遮るとは何事かッッ!?!?!」
「いや__その、すいません、俺はまだ転生できないんです」
「どういうことでしょう?」
「俺にはまだ未練があるんです。霊界で果たさなきゃいけない、未練が…。でも俺、この二人が心配で追っかけてきちゃって……。だからお願いします。俺を霊界に戻らせてください。ある人と約束してるんです。絶対戻るって」
「……そうですか。それなら改めて、あなたたち全員の記憶を見させてもらいます。私の部下が既に判決を出していたのですが、私も今一度あなたたちのことをしっかり見極めた方が良さそうですね」
リンドウの姿をした大精霊は目を細め、俺たちの眼前で手のひらすっと横に動かす。そして、しばらくの間目を瞑った。
俺は何も嘘なんてついてない。エミもユウキも、なんも悪いことなんてしてない。
もし何か罰されることがあるなら、俺だけでいい。俺があの時暴走して、二人を傷つけた。それで俺が殺されるだけで……。
でも…やっぱり最期に会いたい。一目だけでも、トウガさんに____
「判決を言い渡しましょう」
よーっす、お疲れーっ!
トウガだよ〜!( ´ ▽ ` )ノ
今日は礼昴から伝言を預かってきました!!
なんとなんとな、ん、と!!!
本日!閲覧者数が500を突破しましたッ!!!
いやぁーーーっ、すごいね!もうありがたい限りですっ!
この調子でオレもみんなも頑張って、もっともっとみんなに楽しんでもらえたらなって思います!!
…トウガさん。また俺の肋骨、折らないでね?
大丈夫だよ!!あの時はちょぉーっとミスっちゃっただけだし!
…怖えなぁ…:( ;´꒳`;)
アタシたちもこれからどんどん活躍するよおぉぉッ!!
燃え滾ってるとこ悪いけどさ、エミ。そろそろぼくたち、なんか終わりそうな雰囲気だよ?
Σ(゜∀゜;)!?
だ、大丈夫だよ!きっとどこかでまた会えるよ…多分…( ˊᵕˋ ;)
う、うん…ありがと….˚‧º·(°இωஇ°)‧º·˚.
う、うん。えと、それじゃ、今日はそろそろこの辺で!
また明日もお楽しみにーーっ!!ヾ(*ˊᗜˋ*)
わぁーーっ、ボク置いてかれたでちゅーーッ!?なんでみんな呼んでくれなかったでちゅーーッ!!




