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⑤②




* * *




ヴィヴィアンは右手に白銀の光を溜めてから自分の胸元へ当てる。

黒い煙がジュワッと音を立てて上がるのと同時に、久しぶりに血が巡る感覚がした。

ヴィヴィアンの青白い肌に赤みが戻っていき、何度か手のひらを握ったり開いたりを繰り返す。

体温が戻っていく安心感にホッと息を吐き出した。


そしてすぐにマイケルとモネにも同じようにしてアンデッド化を治していく。

ヴィヴィアンは腕を広げて二人を思いきり抱きしめてから感覚を確かめ合っていた。



「ヴィヴィアン、大丈夫か?」


「はい。サミュエル様」



マイケルとモネと抱き合っていると、後ろからサミュエルに声を掛けられて振り返る。

二人に促されたようにしてサミュエルの伸ばされた手を握る。

さりげなく絡まる指にドキドキしてしまう。

サミュエルを見ると優しい瞳でヴィヴィアンを見つめていた。


ヴィヴィアンもサミュエルの背に腕を回して二人で体を寄せ合っていると、ラームシルド公爵の車椅子を押したマイロンがこちらにやってくる。



「ヴィヴィアン、元に戻ったのだな。本当によかった!」


「お父様……!体は大丈夫ですか?無理をさせてすみません」


「いや、構わない。ヴィヴィアンのためだ」


「父上はヴィヴィアンが戻った瞬間、元気になったからな。ヴィヴィアンこそ体調は大丈夫か?」


「はい、わたしは大丈夫です。マイロンお兄様のおかげですべてうまくいきました。協力ありがとうございます」



ヴィヴィアンはサミュエルの元を離れて、車椅子に乗ったラームシルド公爵とマイロンと順に抱き合って、作戦の成功を喜んでいた。


ヴィヴィアンはあの後、サミュエルの力でグログラーム王国のラームシルド公爵邸へ向かった。

驚くラームシルド公爵とマイロンに事情を説明して協力を求めた。

まずは自分がジェラールとベルナデットによって貶められ、その際にマイケルとモネも巻き込まれてしまったこと。

そこで冥王と呼ばれるサミュエルに出会い、助けてもらったこと。


グログラーム王国の先代国王がサミュエルに呪いをかけたことで死の森ができあがり、ヴィヴィアンはベゼル帝国の女性の血を引いているため、特別な魔法が使えるということを話した。

そしてヴィヴィアンの母を轢いた馬車に乗っていたのがスタンレー公爵とベルナデットだということも。


ラームシルド公爵はベゼル帝国のことを覚えていたそうだ。

そしてサミュエルの名前を記憶していたことでヴィヴィアンの話を信じてくれた。

スタンレー公爵に毒を盛られたことやヴィヴィアンの死因についてマイロンも調査していたそうだ。

ヴィヴィアンもジェラールとベルナデットが話していた内容をマイロンに伝えていく。

怒りからかマイロンは何本もペンをへし折っていた。


そこからジェラールやベルナデットにどうやって罪を吐かせるか、ヴィヴィアンは自らやりたいことを話してマイロンの知恵を借りて緻密な計画を立てていく。

ある程度計画がまとまってから一度死の森に帰り、サミュエルやキーンとアーロ、モネやマイケルに作戦を説明していく。


やる気満々なマイケルやモネ、サミュエルは先にラームシルド公爵邸に待機してもらう。

キーンとアーロは森に待機していてもらった。


ヴィヴィアンは死の森に倒れて巡回の騎士に見つけてもらい、タイミングを見計らいマイロンにすぐにヴィヴィアンを引き取ってもらう。

焦ったスタンレー公爵とジェラールはヴィヴィアンの傷が気になり、すぐに動いて恐怖と絶望を与えるための復讐の舞台を自分から整えてくれたというわけだ。

教会の中で混乱する貴族達にヴィヴィアンはすべての事情を説明する。



「お父様、すぐに治療しますからね!」



ヴィヴィアンはラームシルド公爵の胸に手を当てる。

アンデッド状態で力を使うのに不安があったため、元に戻るまで待っていてもらったのだ。

白銀の光がラームシルド公爵の胸元に次々と吸い込まれていく。



「ありがとう。ヴィヴィアン……呼吸がしやすい。体が楽になったよ」


「お父様……よかったです」


「ああ、ヴィヴィアンを守ってくれたサミュエル皇帝陛下に感謝いたします。ヴィヴィアンに事情を聞いた時は驚いたが、真実が明らかになってよかった」



ラームシルド公爵は涙を浮かべながらそう言った。

サミュエルはヴィヴィアンのそばに寄り添っている。



「だが俺はまだまだ気持ちが治らない。二十年分溜まっている」


「安心してください、サミュエル様。わたしもです」



ヴィヴィアンが鼻息荒くそう言うと、サミュエルは微笑みながら国王やジェラール、スタンレー公爵を見据えた。



「こいつらに今からたっぷりと罰を与えよう」



サミュエルはそう言って恐ろしい笑みを浮かべている。


スタンレー公爵、ベルナデット、ジェラールはヴィヴィアンを殺害する計画を立てて死の森に捨てたこと。

そしてスタンレー公爵はラームシルド公爵を毒殺しようとしてマイロンに罪を擦りつけようとしたこと。

マイケルやモネを口封じのために消してヴィヴィアンと同じように死の森に捨てたことで牢に入れられた。


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