表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とガイアの異世界戦記  作者: icefish
突然の異世界
10/15

砂漠の追跡者達

レオン率いる追跡班が砂漠で逃亡者の足跡を追い、危険な砂嵐や複雑な地形を慎重に進む。オアシスで足跡を確認し、逃亡者たちがガルファナに向かっていることを突き止める。追跡班は直接接触を避けつつ、情報を集めながら街へ近づいていく。砂漠を越え、物語は次の舞台であるガルファナへと動き始める。

朝焼けの砂漠が黄金色に輝く。風は冷たく、砂粒が顔に当たるたびに痛みを伴う。

レオンは先頭で歩きながら、低い声で仲間に指示を出した。


「この足跡……昨日のものだ。逃げるような速度じゃない、でも慎重に進んでいる。」


マルタは地図と現在地を照合し、砂丘の向こうに小さな影を見つける。

「あそこ……小隊じゃない、個人の痕跡かもしれません」

カシムは短く笑った。

「俺たちの相手が、まさかこんな砂漠の奥まで来るとはな。ワクワクしてきたぜ」


ロウは少し離れた場所で周囲を警戒している。

「無闇に突っ込むな。砂嵐が来る前に、追跡ルートを整理しておけ」


彼らは逃亡者の足取りを追い、危険な砂嵐に巻き込まれかけていた。あの時の教訓が、今の慎重さに繋がっている。


砂丘を越えると、足跡は二手に分かれていた。

レオンは仲間にうなずき、慎重に分かれる決断を下す。

「マルタ、俺と一緒に左側を追え。カシム、ロウは右。無理に合流せず、各自報告を確実に」


砂漠の静寂を破るのは、時折飛ぶ鷲の鳴き声だけ。

やがて、マルタとレオンは小さなオアシスに辿り着いた。水面には昨日の雨の跡が残り、砂に混じった足跡が鮮明に残る。

「間違いない……ここを通ったんだ」レオンがつぶやく。


一方、カシムとロウは別の足跡を追う。こちらは動物の痕跡も混じっており、注意深く観察する必要があった。

「獣人のような歩き方……でも人族かもしれん」ロウが眉をひそめる。


オアシスで再び全員が合流すると、レオンは地図を広げて指で道筋をなぞった。

「この先、砂漠を抜ければガルファナの森に続く。奴らは街に向かっているかもしれない」


マルタが視線を上げる。

「逃亡者たち……あの街にいるはずですよね」


レオンは微かに笑む。

「そうだ。俺たちは影から追う。ガルファナに入ったとしたら、下手に手出しはできん。直接接触はまだ先だ。だが情報は必ず届ける」


日が高くなるにつれ、砂漠の熱は鋭くなる。追跡班はペースを落とし、装備と体力を気遣いながら進む。

砂丘を越えるたび、彼らは小さな痕跡を拾い集め、まるでパズルのピースを合わせるように足跡を繋いでいった。


そして夕暮れ、砂漠の向こうに薄っすらと森の輪郭が見える。

「見えたな……」カシムが声を落とす。

「ガルファナだ」レオンも息をつく。


砂漠の追跡はまだ終わっていない。

「明日、俺たちは街の縁まで進む。奴らが何者か、真実を確かめるためにな」


夜の砂漠に、追跡班の影が長く伸びる。

星明かりの下、風が静かに吹き抜ける。遠くで、森のざわめきがかすかに聞こえる。


ガルファナ――街の影で、新たな出会いと冒険が待っている。

追跡班の任務は、砂漠を越えて静かに、しかし確実に物語を動かしつつあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ